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水墨画っておもしろい

 今日は、東京音楽コンクールの二次予選ピアノ部門を聴こうと、上野へ出かけました。

ところが。

当日券が売り切れてしまって、聴けなかった・・・!!!!

去年はものすごい余裕あったのになんで!?(1年前、金管楽器部門を聴いた)やっぱりピアノだから聴きに来る人が多かったのでしょうか。前売りを買っておくべきでした。

 当日気が向いたら、一緒に聴こう!と声をかけていた友人がいて、彼女のほうが先に着いて教えてくれました。あぁ、ラヴェル。聴きたかったなぁ~~。

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 ひとまずカフェに入りお昼ごはんを食べ、だらだら過ごすこと約2時間。その後、友人の友人が「日美展」という公募展に出品しているから見に行くというので、わたしも六本木にある新国立美術館へついていきました。

 目的である「友人の友人の作品」は水墨画ということで、水墨画の展覧会なのかな?と思っていたら、「水墨画部門」と「絵画部門」が同時開催されていました。しかも、絵画のほうは「油彩・水彩・デッサン・ちぎり絵・絵手紙」と多彩なジャンル。

 さっそく水墨画のほうから見はじめたのですが、、、水墨画の定義っていったい何????となってしまうくらい、それぞれの作品の方向性が全然違う。題材もそうだし、表現技法もしかり。

 黒と白だけで、こんなに豊かに表現ができるものなんですね。絵の具を濃いめにつけてタッチを際立たせる人、にじみの出やすい紙を使って柔らかなグラデーションを作る人。かたちを線ではっきりと描く人、シルエットで表現する人。色が限られた分、紙と絵の具の相性やブラシの使い方、様々なタッチの使い分けなどの、一人一人の違いがとても面白くて、一枚一枚、じっくり鑑賞しました。

 時折「黒じゃない色」が使われている絵があったのですが、その色が、ものすごく印象に残る。

 たとえば、雪の中の温泉旅館みたいな風景画では「旅館の明かり」が色で表されていました。黒と白の世界のなかで、本当に明かりがともっているような、オレンジとも黄色ともいえない、あたたかい美しい色。(忘れられなくて、最後ににもう一回見に行った!)

 山の風景画で、上半分が薄い水色で塗られたもの。最初は「これ空の色でしょ、青で塗るってそのまんますぎない?なんかずるくない?」と、思ったのですが、少し遠ざかってもう一度その絵を見たら、すっきりとした青が透き通ってすごくきれいで、それはまさに山の上から臨む空の色のようでした。

 たった一色で塗ってるだけなのに、なんで、こんなに訴えかけてくるんだろう・・・。色の力を見せつけられました。

 

 水墨画を見ていて意外だなと思ったのは、「静けさ」よりも「動きのある場面」を表すのに向いていること。馬が走る様子とか、雨・霧・雪とか、滝とか、動き続けるものの表現が素敵でした。あと、「余白」の使い方。白い部分をつくることでメインのモチーフを引き立たせることができる。

 ある絵で、電車内が描かれていて車窓の向こうが「真っ白」というのがありました。「いったいどんな景色が見えるんだろう・・・旅人たちはどんな人生を歩んできたのだろう・・・」なんて、想像をかき立てられました。まぶしい白。白の使い方が上手だなと思いました。

 水墨画の表現の豊かさに感動しすぎて、カラーの絵画のほうはあまり集中できませんでしたが、画材の特色に見合った技法を使うことって大事だな~と思いながら見て回りました。色鉛筆画ってやさしいイメージがあったけど、鉛筆って直接握るから力が入るのかな?エネルギッシュな雰囲気の絵が多くて意外でした。あと「ちぎり絵」ね。細かくちぎって表現された木洩れ日の繊細さには目を見張りました。それとデッサン。デッサンの定義は、たぶん鉛筆画・・・ということだと思うのですが、水墨画に通ずるものがありました。大賞か、最優秀賞か忘れてしまったけど選ばれていたある絵は、ひと目みてあまりの細かさと、それにかかったであろう時間と、この絵を描いた人が最後まで手を抜かず、一枚の絵に向き合い続けてきた忍耐強さを思い、感動しました。

 

 時々、モノトーンで写真を撮るようになりました。それは「カラーより、白黒のほうがよく撮れる題材って確かにあるな」と、だんだん感じるようになってきたからです。白黒のほうが表現したいことに集中できる。色に惑わされないで、本当に見てもらいたいものが撮れる。今日の日美展は白黒の写真を撮るうえですごく良い刺激になりました。予定とはぜんぜん違う一日になったけど、楽しかった!!

#日記 #エッセイ #美術 #水墨画 #モノトーン

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