備えあれば憂いなし?広島への全盲子連れ旅 準備編2

 全盲子連れ旅の準備二つ目は持ち物の用意だ。
 私たちの持ち物には必須アイテムが三つある。
 一つ目はジップロックだ。私たちは旅行の荷物を、大きなリュック一つにまとめている。泊りがけかつ三人分荷物ともなれば、もっとバッグを増やしたいところだが、私たちは多くの荷物を持ち運べないのだ。
 まず10キロを超えたひなちゃんの抱っこ担当に一人人員が割かれるため、全員分の荷物運びは残りの一人に委ねられることになるからだ。さらに大人二人の片手には白杖もある。
 しかし、必要最低限とはいうものの、おむつやお着換え、入浴後の保湿剤等、ひなちゃんの荷物は私たちのそれよりも格段に多い。体のサイズなど、私たちの半分にも満たないというのにだ。良くも悪くも態度と存在感だけは私たちの何倍も大きいのがひなちゃんである。
 そこで荷物の小型化を心がけている。その際とても役に立っているアイテムがジップロックだ。
 ひなちゃんのおむつやお着換え等ぎゅっと潰しても支障のない物は全てジップロックの袋に入れ、渾身の力を込めながら上から全力でのしかかり、圧縮していく。全くどうあがいても1gとて減らない私の体重が役に立つのはこの時くらいだ。悲しい。
 このように荷物を圧縮することによりリュックの空き容量を増やしているのだが、ジップロックも万能ではない。袋の質が悪かったり、うっかり爪で傷を付けたりすれば最後、私の許可もなくあいつらは空気を取り込みふわふわと膨らみリュックをぱんぱんにしてしまう。空気の入りにくい有能なジップロックの情報を随時募集している。
  次に、二つ目のアイテムは大きな紙袋だ。特に宿泊を伴う旅行の際は大きな紙袋を1枚小さく折り畳み、リュックに入れている。
 旅行最終日の朝、前日までに使っていらなくなった物やおみやげをこの紙袋に詰め、ホテルから自宅に送るのだ。これで帰りのリュックを軽くできる。送り陳は確かにもったいないが、キャリーケースをがらがら引いて移動しづらい私たちにとっては、必要経費だ。
 最後に三つ目のアイテムは「ひなちゃんもしもグッズ」だ。
 具体的にはひなちゃんのいつ訪れるとも知れない空腹に対処するための小さなパンや、ラムネと暇つぶし用の小さめな本屋ぬいぐるみだ。
  パンやお菓子があることで、すぐにコンビニを探せなくてもひなちゃんのお腹をある程度満たすことができ、本
やおもちゃがあることで、暫くは静かにしていてもらえる。言わばお守りだ。これを忘れるととても困ったことになる(主に大人が)。
 こうして、t先生への連絡や下調べ、持ち物準備が完了し、当日を待つばかりとなった。
 1歳半の見える赤ちゃん一人と、全盲の大人二人、それに大きなリュック一つと白杖二本でいよいよ広島に出発だ。

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