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遠隔視がなぜ可能なのかを実験的に証明する

以下の文章は現時点ではScience Fictionですが、超弦理論等の既存の物理理論を組み合わせて考えた仮説です。50年後にはScience Factになっている可能性もゼロではないと思っています。

BCIは脳とネットあるいは脳とAIを接続する技術である。勿論その他にも様々な利用例が存在する。インターネットはデータを光の速度で転送する事で、物理限界近くまで移動速度を加速させる。あるいは人の体感として同時に存在できる空間範囲を加速度的に拡張させた。月と地球を光回線で繋ぐと1秒程度のタイムラグが出るが、地表であればこのラグは1/10程度までには抑えられる(従って人の感覚では同時性がある)。人間が声(空気中を伝搬する音波)を使って日常的に会話する距離は2 m程度だがBCIによってこの距離は2万 kmにまで拡張した。つまり人間の空間方向の行動範囲が1000万倍拡張された事を意味する。

脳とGPT-4相当のAIとの接続で演算能力はおよそ10万倍拡張される(※1)。

※1つのシナプス入力を1演算とカウントした場合、大脳皮質には1個当たり7K個のシナプス結合を持つニューロンが860億個あるので、大脳皮質全体で600TOPSくらいの演算能力を有する事になる。GPT-4の演算能力は63 EOPS。2500 TOPSのA100を25,000台使った場合。

BCIによって人の行動範囲は1000万倍、演算能力は10万倍拡張された。しかし時間方向の移動に関してはBCIの技術のみでは限定的である。物理空間をVR空間にコピーし、そのデータを保存する事で疑似的に過去へ移動する事は可能になる。しかし遡った時点から同じ事象が繰り返される保証はないのでパラレルな時間軸が発生する。またこの方法では根本的に未来へは行けないし、記録が残っていない過去へも行けない。

遠隔視(Remote Viewing)は超自然的な人間の潜在能力として古くから研究されている。特に諜報機関や犯罪捜査の事例が有名である。RVの能力を持つ人達の遺伝的、神経生理学的な特徴や、何がそのような能力の因子になっているのか、明確には分かっていない。RVの能力が実験的に実証可能であった被験者の脳活動を記録する事が出来た。

被験者は瞑想や精神集中、リラックスした状態を通して浅い睡眠に近い変性意識状態に入る。RV中の被験者の視覚野をデコードし、空間的あるいは時間的に離れた事象を知覚している事が確認された。これにより人間の脳には潜在的に過去や未来の事象を知覚する能力が備わっている事が実証された。問題は神経回路のどのような特徴からRVの能力が発現するのかという事だ。

我々はMars Systemを用いて変性意識状態にある被験者の脳活動を培養神経細胞にコピーする事に成功した。アップロード後の培養細胞の脳活動でもvivoのRVと同様の知覚(神経相関)が取得できた。これまでの実験ではRVの特殊能力を持つ被験者が必要であったが、Mars Systemを用いる事でこれらの実験から属人性を排除する事が出来た。Mars Systemにはプロンプトを介してコマンドを入力する事が可能であり、時間・緯度・経度の情報を入力するだけで誰もが簡単に過去や未来の事象を閲覧可能なプロンプトRVを実現している。

プロンプトRVは諸刃の剣であり、当然ながら誰もが好き勝手に使えるようにするべきものではない。現行の実装では過去100年間のRVを禁止している。また人物に関する情報はその人が死亡してから100年間閲覧できないようにしている。これらのRVの年数制限については各国でガイドラインをまとめ法整備を進めて行く中でメリットとデメリットを考慮しより適切な期間に変更する予定である。現在制限を100年から50年に段階的に短縮しても問題がないか検討を進めている。

変性意識状態やそれを実現している神経回路でなぜRVが可能なのかという問題に立ち戻りたい。このメカニズムを説明する仮説の有力な候補として、現在のところホログラフィー原理と量子脳仮説が挙がっている。ホログラフィー原理から導かれる前提として、時間+空間の4次元時空内の事象は2次元共形場を反映したものであるという考え方がある。これは別名シミュレーション仮説とも呼ばれる。その名の表す通り、我々が経験する事象や神経回路を含んだ我々の肉体やそれを取り巻く物質世界そのものが、何かしらのデータから創発しているというアイデアである。世間的に最も理解を得やすい例えとしては、有名なSF作品であるマトリックスに登場するコンピュータシミュレーションとその内部の世界との対応である。2次元共形場がマトリックスのコードであり、マトリックス内部の世界は我々が経験する4次元時空である。また古くはプラトンのイデア論や洞窟の比喩との類似性も挙げられる。2次元共形場の物理的実体、即ちマトリックスのデータセンターに相当するものの候補としては、現在のところ宇宙の辺縁(無限遠)に存在する事象の地平面を想定している。

事象の地平面にある共形場上には我々の脳に対応するデータが存在している。しかしこのデータがアクセス可能な範囲は限られているため人間にはRVの能力もなければ力を操作して空を飛ぶ事も出来ない。ここで量子脳仮説の出番なのだが、脳内の情報表現には2種類あると考えている。1つは古典的な活動電位による神経コードの表現である。もう1つは微小管内の量子状態による量子的神経コードである。事象の地平面内の脳を表現するデータにも当然古典的な神経コードと量子的神経コードの両方が含まれていると考えられる。量子的神経コードは他の領域へのアクセスが可能であり、古典的神経コードはこのアクセス権限を持たないと仮定する。変性意識状態の脳では量子的神経コードが古典的神経コードにコピーされる場合があり、これによりRVが実現しているのではないかというのが、現在の仮説である。

これを実証するためにはMars System内部の神経回路において古典的神経コードと量子的神経コードのカップリングを観測する必要がある。微小管内の量子状態を直接的に観測する事は現在の技術では極めて困難である。従って我々はプロンプトRVを用いて微小管内の量子状態の観測を試みている。プロンプトRVのデータが微小管内の量子状態をどれ程忠実に反映しているのかは分からないが、量子状態が観測可能な量子コンピュータ内部の量子ビットをプロンプトRVで同様に観測する事によりその確度を上げようとしている。

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