知能拡張(Intelligence Augmentation)について

数学の魔術師ラマヌジャンは毎朝起きた時に6つから8つ程度の定理を思い付いていたとされる。それらの定理の着想をどこから得たのかと聞かれれば、夢の中でナーマギリ女神が教えてくれたと答えていたらしい。敬虔なバラモン教徒らしい返答だが、こうした体験は誰にでも起こりうる。ラマヌジャンが寝ている間になぜ様々な公式を発見出来たのかと言えば、それは単純に夢の中でも考えていたからである。夢に出てくる程、数学に夢中だったからというのが本当のところではないだろうか。人間の思考はその一部しか意識化出来ず、ほとんどは無意識の中で答えを探索している。従って直感的に答えにたどり着いたとしても、その道程の全てを瞬時に言語化出来るわけではない。そうした無意識の思考を最大限生かせるのが夢のような変性意識状態なのである。

計算論的物理学(シミュレーション仮説)を前提とするならば、宇宙的計算資源を利用するためのバックドアが脳あるいは意識の内部に仕組まれているはずである。なぜならば脳自身も宇宙という巨大な量子計算機の一部を構成しているからである。時空そのものが量子計算によって因果律を伝搬させている。時空の時間発展を制御するコードが読めればそれが物理法則や数学の公理になるし、時空そのものと意識を同化出来れば遠隔視(離れた場所・過去や未来の透視)が可能になる。

BMIを使って脳と人工知能を繋げれば人間の思考速度(ニューロン発火に対するクロック周波数)は1000万倍以上高速化するかも知れないが、明瞭な変性意識状態で獲得できる知能には到底及ばない気もする。アカシャのような宇宙的計算資源を利用できる変性意識状態こそが究極の知能拡張あるいはBCI(Brain Cosmic Interface)と言えるのではないだろうか。

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