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師匠と飲んだ日本酒あれこれ

たまには日本酒の話でも。

先日、私がライターとして執筆している「酒蔵萬流」という雑誌のデスク(編集長)と飲みに行った。
デスクのYさんとは年に1~2回、2人で飲みに行く仲だ。
「さんのうさん(私のこと)と飲みに行くの、ホント楽しいから好きなんですよ~」といつもおっしゃってくださるのがうれしい。

私も2年前のように元気なら、もっと頻繁に飲み歩きたいのだが、最近は「飲み会」というと、ちょっとした「覚悟」がいる。アルコールが入ると薬を飲めないので、帰宅後の激痛にひたすら耐えなければならないからだ。
それでも、そのちょっとした覚悟を決めて、颯爽と酒場へ向かう私。これぞ真の酒飲みである。

なんて。
最近は「飲みたい」というより、「飲む場」を大事にしたくて、その気持ちが強いから行く。
人と会いたい、友達と会いたい、仕事仲間と会いたい。
それはもちろんお酒なしでもいいのだが、何年、何十年とやってきたあの空間、時間を今もやっぱり同じように味わいたいのだ。私は居酒屋や酒場の雰囲気が大好きなのだ。

16時半、前回もYさんと一緒に行った日本酒の品揃えの良い店へ。
この「16時半」というのが決め手だ。2人ともフリーランスなので、わざわざ混み合う時間帯には行かない。「世のサラリーマンが街に出てこないうちに集合しましょう」と早めスタートにした。

外で日本酒を飲むなんて、いつぶりだろう。6月の初めに夫と青森へ行った時、1日目の夜ごはんを居酒屋で食べた。その時に飲んだ「田酒」以来かな。(あの夜の田酒は旨すぎてしびれた!!)

日本酒メニューを見ると、素敵なラインアップだ。
ちょっと値段が高いのが気に食わないが、そこはまあ「たまのことだしね」と眼目を瞑る。(原価を知っているので気になってしまう)
90mlグラスなので、今の私が飲めるのは3杯くらい。となると、むやみに冒険はできない。確実に自分の好みだとわかっているお酒を選んだ。

1杯目、私は山口県の長州酒造「天美 純米吟醸」を、Yさんは静岡県の土井酒造場「開運 ひやづめ純米」を注文。

「天美」は女性の杜氏さんが造られているお酒で、甘みと酸味のバランスがバツグンに良い。「みむろ杉」とか「写楽」が好きという人なら気に入るんじゃないかと思う。
「開運」もおいしいが、特に新酒の時期に出る「開運 無濾過純米 山田錦」が私のこの世で一番好きなお酒。

2杯目は、福島県の宮泉銘醸「会津宮泉 純米酒」。うま味はあるが口当たりが軽く、さらにキレもある。「写楽」と同じ蔵が造っている。
Yさんは山形県の酒田酒造「上喜元 純米吟醸」。ちゃんと瓶を見なかったが、ラベルから察するに夏酒だろうか。この蔵はどこまでも王道。昔から手を抜くことなく誠実に造り続けている、名杜氏のいる蔵だ。

3杯目は、福岡県の若波酒造「若波」なのだが、見たことないラベルだし、妙に値段が高いなぁと思っていたら、なんと「若73(わかなみ) 純米酒 創業100周年特別醸造」だった!ラッキー!
そういえば取材に行ったとき、「100周年記念酒を出します」と話されていたが、これだったのか。
私は昔から「若波」が好きだったが、毎年どんどんおいしくなっていると感じている。「若波」は飲んだ時にその味わいよりもまず「美しい酒だな」と思う。取材に行ってその理由がわかった。とにかく衛生的で美しい蔵なのだ。歴史ある蔵なので建物は古いが、仕込み蔵(発酵タンクが置いてあるところ)は全面ステンレス。ピカピカだった。
ジューシーさもあり、やさしい甘みもあり、ほどよいキレもある。押し寄せて消えていく、まるで「波」のようなお酒なのだ。

Yさんの3杯目は長野県の豊島屋「豊香(ほうか)純米酒」。結構昔に飲んだことがあるが、その時は私の好みではなかったため、最近飲んでいない。話に夢中になっていてYさんに感想を聞くのを忘れた。1口飲ませてもらえばよかったなぁと後悔。

予想通りこの日は3杯で終了。なんとか1合半飲めた。やっぱり日本酒はおいしい。

最近、日本酒の話を書いていなかったので、たまに「情報待ってます」とリクエストされます。笑
日本酒好きな人は、よかったら選ぶ時の参考にしてくださいね。
今回飲んだお酒は、Yさんのも含めてどれもおすすめです。


結局、16時半から20時まで、3時間半もYさんと話し込んでいた。
昔だったらこの2倍は飲んでいただろうなぁ、というか、絶対2軒目に行っていた。
まあ、仕方ない。それでも3杯おいしく飲めたことが幸せだった。

何よりYさんとの楽しい時間を過ごせたことがよかった。
お酒のこと、「酒蔵萬流」のこと、ライターの仕事のこと、病気のこと、旅行のこと、ご家族のことなど、話は尽きない。
Yさんは私が尊敬する「書き手としての師匠」でもある。

「本を書く仕事(ブックライティング)とかしたいなぁ」と言ったら、
「自分の本を書いたほうがいいですよ。僕はさんのうさんはライターというよりアーティストだと思うので」と言ってくださった。
それは、とてもうれしい言葉だった。噛みしめた。

そして最後にまたいつものように「こんなに一緒に飲んで楽しい人、他にいないですよ。もっと回数増やしましょう」と言ってくれたのも、じんとした。
本当に、もっと行きたいなぁと思う。
そのためにも、もっと元気にならなくては!
久しぶりに尊敬するYさんとの楽しい飲み会、おいしいお酒だった。
(やっぱり帰ってからが地獄だったが……)

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