見出し画像

40th Anniversary Final THE STREET SLIDERS『Thank You!』NHKホール 2024.4.21.

2023年から始まったストリート・スライダーズ40周年のライヴは、結果的に再集結1発目になった4月の豊洲PIT『SPECIAL PREVIEW GIG』に運良く参加できてから、5月の日本武道館『Hello!!』と9月はTOUR 2023『ROCK’N’ROLL』LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)と足を運んできた。そしてファイナル・ツアーとして発表された2024年の『Thank You!』。単なるツアーだけでなく、40周年のファイナルでもあるから、目に焼き付けるのは最終日の一択に決めた。激戦だったであろうチケット争奪戦を無事に勝ち抜き、あとは当日を待つだけ。思えば、ストリート・スライダーズのデビュー35周年として、JOY-POPSの全国ツアーが開催された2018年も最終日の青森公演一択で臨んだのだが、このときと同じような気持ちだったのだろう、たぶん。

NHKホール一択で臨んだ

3月からのツアー開始後の情報はこちらから取りに行かず、何も目にせず耳にせず、完全シャットアウト。体験しているであろうファンの思い入れをたまに想像しながら最終日を待っていた。2ヶ月ほどの時間は長くもあったが、当日になってみればあっという間にも感じた。小雨模様のパッとしない天気の中、「いい天気」を脳内再生して会場へ向かった。

ほぼ開演時間通りに4人がステージに登場し、各ポジションにつく。特別なライヴ…しかも最終日だというのに、意外と冷静にステージを見つめる僕だったが、HARRYの " Hello!" を聴けば一気にスイッチが入る。そういえば、乾いてもなく、ザラついてもなく、何だかこの日はとても清々しく、若々しく、明るささえ感じる " Hello! " だったなぁ。

スライダーズのライヴは、1曲目が始まる瞬間が醍醐味だ。何が来るか全く予想がつかない。この喜びと快感を得ることも、これまでのツアー情報をシャットアウトしていた理由だ。はたして…。

40周年のファイナルは、イントロだけでココロが瞬間沸騰するロックン・ロールで始まった。HARRYのストロークと、縦横無尽にホール内を駆け巡る蘭丸のスライドを浴びる。かっこいい。いきなりのクライマックス的オープニングの余韻に浸っていたら、続けて演奏されたのが「おかかえ運転手にはなりたくない」。

冷静に振り返ってみれば、この2曲の強烈なコントラストが千秋楽の夜を象徴していたように思う。それを簡単に言ってしまえば、 " 圧倒的なロックン・ロールと、圧倒的な歌 " である。HARRYの歌をロックしロールさせるのがスライダーズというバンドであることを、あらためて感じた。ストリート・スライダーズは " 歌 " である。この日の「SLIDER」と「おかかえ運転手にはなりたくない」が、こんな個人的思いを証明してくれていたかもしれない。

とりわけこの日はスローなナンバーが印象的で、特に「すれちがい」は沁みた。武道館で聴いた「すれちがい」に感じた " ヤバさ " とは異なり、メロディを丁寧に歌うHARRYによって曲は歌に変わり、同じ曲とは思えないほどグッときた。続けて演奏された「ありったけのコイン」も同様で、ただただ " いい曲だなぁ " と聴き惚れていた。よくあるような歌詞の内容にグッときたのではなく、歌に心が動いたのだ。「のら犬にさえなれない」や「Dancin' Doll」も含めて歌とメロディが本当に沁みた。HARRYは本当にいい曲をたくさん書いているよな。心からそう思う。名曲だらけだ。それでいて一級品のロックン・ロールなのだから最高だよ。

とにかく40周年の最終日。『LAST LIVE』と同じく、すべての演奏を終えたあとのHARRYの姿を僕はしっかり焼きつけようと思っていた。ラストの「風の街に生まれ」が終わる。HARRYはスタンド・マイクで “ Thank you !” と叫んだあとに、ずいぶん長いあいだ…本当に長いあいだ、客席を見つめていた。いい笑顔だった。2000年の武道館。「のら犬にさえなれない」演奏直後、武道館の客席の向こう側まで見つめていたときとは異なるこの日の穏やかなHARRYの表情を、この先、僕は忘れられないと思う。

終わる夜は、終わりたくない夜と終わって欲しくない夜となっていつまでも残る。いつかまた、次の再集結を祈るとともに、HARRY、蘭丸、JAMES、ZUZUには最大級の感謝を。ありがとう、ストリート・スライダーズ。

ファイナルの会場は90年代東京公演のホームグラウンドとも言えたNHKホール


SET LIST

SLIDER
おかかえ運転手にはなりたくない
Angel Duster
Let's go down the street
のら犬にさえなれない
Dancin' Doll
すれちがい
ありったけのコイン
曇った空に光放ち
ミッドナイト・アワー
天国列車
Hello Old Friends
カメレオン
So Heavy
Back to Back
TOKYO JUNK
【Encore】
いつか見たかげろう
風の街に生まれ

P.S. 土屋公平インタヴュー(1988年)
Q:蘭丸さんから見たハリーさんとジェームスさんっていうのは
火の玉みたいなね 他の一緒に出たバンドとは全然違ってた すごいんだ歌が、やっぱし 「うたいに来た、ちょっと」って感じなんですよ

Q:スライダーズに入ったときに決心したことは
だから…「あの歌をやるんだなあ一緒に」みたいな ひとつの歌をやるってことなんだよ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?