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この"カーブ"がすごい!2020

こんばんは。
鬼滅を読み終えたのでドラフトキングを読みましたがおもしろいですね。
扉絵の郷原の形態模写が好きです。

また関係ないですが、ドラマ"サ道"のスペシャルが2/14(日)に放送されるようです。うれしい。

球種シリーズも第6弾になりました。カーブ編です。
まだ取り上げていない"ツーシーム"は、投手によって変化の種類が異なりすぎて一括りにするのはいかがなものかという気が個人的にしているため、今回がシリーズ最終回になると思います。なんとかキャンプイン前に終えられてよかった。。

前回のチェンジアップ編はこちら↓


1. カーブのNPB平均

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昨季NPBで投じられた球種のうち、"カーブ"と名の付くものは4種類(カーブ・ナックルカーブ・パワーカーブ・スローカーブ)。

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いずれの球種も球速はNPB全体で最も遅い水準にありますが、140km/hを超えるナックルカーブを投じている猛者もいるようです。

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カーブ全体の空振り率は8.2%と高くはなく、被打率.248はリーグ全体の平均とほぼ同水準ですが、wOBA.302はリーグ平均.320を下回ります。
純粋な長打力を示す指標ISO(長打率-打率)がリーグ全体で.134であるのに対し、カーブのISOは.113と優れており、長打を浴びるリスクが相対的に小さいボールであることが要因と考えられます。
(今更気づきましたが、ここで示しているリーグ全体のOPSやwOBAには敬遠を含んでいません。各球種の比較対象としては目が合ってるからいいのか。)


2. カーブの各種成績

① 投球割合(総投球数100以上)

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投球割合トップはオリックス・ディクソン
入団当初からナックルカーブを持ち味としていましたが、リリーフに転向した2019年から投球割合をさらに上昇させているようです。
カーブ(ナックルカーブ)で奪った三振20個は、昨季のNPBでは5位・リリーフとしてはモイネロの26個に次ぐ2位で、決め球として有効なボールだったことが窺えます。

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カウント別に見ても2ストライクからの投球割合がただ一人50%を超えており、ナックルカーブには相当な自信を持っていることが感じられます。

ところで、投球割合の上位には楽天の投手陣が多いようです。

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楽天のチーム全体のカーブ投球数は12球団で最も多く、被打率やPitch Valueといった各種指標も優れています。
MLBでアストロズがカーブの回転数に着目した投手補強で頂点に登りつめたことを参考に、データ分析に比較的長けた球団とみられる楽天がチームの方針としてカーブを重視している可能性はありそうです。


② SwStr%(=空振り/投球数、カーブ投球数50以上)

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右投手のトップは投球割合でも1位だったオリックス・ディクソン
平均球速139.3km/hもカーブ系ではトップであり、ディクソンのカーブはNPBを代表する球種と言えるでしょう。

左投手のトップは巨人・メルセデス
こちらはディクソンとは異なり120キロ程度で大きな弧を描くようなカーブで、左右別の空振り率は右:8.7%に対して左:19.7%と、肩口から入ってくるような軌道に左打者が苦戦していたようです。


③ Pitch Value/100(投球による100球あたり失点増減、カーブ投球数50以上)

前回記事同様、ここで算出しているPitch Valueは同一球種間での相対的な評価を示す一般的なPitch Valueとは異なり、全球種の平均と比較した評価値になります。

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右投手のトップは中日・R.マルティネス
弱冠24歳ながら中日の守護神として君臨し防御率1.13をマークしたライマルは、平均球速155km/hのストレートに加え、被打率.045のスプリット、そして平均140キロに迫るナックルカーブを武器としています。
データサイト"1.02"ではスライダー(SL)に分類されているようですが、2018-19はマイナスだったwSLが昨季はプラスに転じており、成績向上の一因と言えるかもしれません。

左投手のトップはオリックス・田嶋大樹
規定投球回を初めてクリアした昨季は躍進のシーズンとなりましたが、ストレートの威力向上とともに緩いカーブも活きるようになりました。
投球割合は6.6%に過ぎませんが、多投する120km/h前後のスライダーとの絶妙な球速差が相乗効果を生んでいた可能性も考えられます。


3. 注目投手

① オリックス・ディクソン

右投手のSwStr%でトップ。

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150キロ前後のストレートと140キロ前後のナックルカーブのほぼ2ピッチの投球で、ストレートのクオリティは決して高いものではありませんが、ナックルカーブの質はそれを補って余りあるものだと言えます。

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投球割合は初球から50%近く、追い込んでからは特に右打者に対しかなりの割合で投じています。

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右打者(上)・左打者(下)ともに追い込むにつれ低めで空振りを誘う傾向が強まる様子が見られ、特に右打者に関して2ストライク時の投球の大半は低めのボールゾーンに集められています。
左打者にはインローで凡打を稼ぐケースも多く、球速的にもスライダーに近い用途で活用するシーンも多いようです。


② 巨人・メルセデス

左投手のSwStr%でトップ。

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ストレートとの球速差はおよそ25キロと大きく、被打率は.300を超えるものの持ち球の中では最もSwStr%の高い球種となっています。

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SwStr%の項で触れたように左打者への使用がメインであり、カウントが深まるにつれ投球割合が上昇する点が特徴的です。

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左打者への投球は肩口から入ってくる軌道でアウトローに集められています。コースが甘くなった際にはヒットを許すケースが多いものの、打者から遠く感じられるコースへの正確なコントロールが実現できれば強力なボールになるようです。


③ 中日・R.マルティネス

右投手のPitch Value/100でトップ。

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MAX161km/hを誇る強力なストレートと、140キロ前後の複数の変化球を持ち球としています。ナックルカーブによる三振こそ多くありませんが、スプリットに次ぐ強力なボールとなっています。

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左打者にナックルカーブを投球することは少なく、右打者の初球や1ストライク時に多投する傾向が見られます。
ストレートの印象が強い投手ですが、初球は比較的緩い変化球から入っていく場合が多いのは意外に感じられます。

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右打者への投球チャートを確認すると、初球はゾーン内でストライクを取りに行く傾向が見られます。初球のナックルカーブのZone%は7割近く、速いストレート待ちの打者の裏をかく形でカウント有利に対戦を進めることができる点は昨季の安定感に繋がっていたようです。
1ストライクからの投球は制球よくアウトコース中心。バットに当たりこそすれ長打にはならないリスクの低いボールとして活用できていました。


④ オリックス・田嶋大樹

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多彩な球種を操る投手で、スポナビ仕様の球種分類ではストレートを含め8球種を投じています。
カーブから話は逸れますが、ストレートがフタコブになっているのが興味深いですね。

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カーブの投球割合は左右ともにカウントによって大きくは変わらず、投球のメインはストレート・スライダー・カットボール・フォークであり、あくまでアクセント的な使用になっているように見えます。

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右打者(上)に関しては初球は甘いコースでストライクを稼ぎ、その他のカウントではバックドアで外から入れるケース・インローのボールゾーンに投じるケースの二種類の用途が見受けられます。
左打者(下)にはアウトコース中心の投球で、1ストライク以降でゴロアウトを奪うシーンが多く見られました。先ほども触れましたが投球の軸となるスライダーとの球速差が非常に小さく、打者の想定にあるスライダーより"来ない"感覚をうまく利用できているのかもしれません。


4. 番外編 "縦スライダー"

番外編として"縦スライダー"を取り上げます。

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上の表はスポナビで"縦スライダー"と分類される球種を投じた投手の一覧ですが、球速や軌道的にはパワーカーブに分類されるボールが多いように感じられます。
パワーカーブや縦スライダーは一般的なカーブとは異なる膨らみの少ない軌道でストレートとピッチトンネルを作りやすく、現代野球では非常に有効な球種となっています。
特に縦スライダーに分類されたボールはカーブに比べ球速が速いこともあり、"カーブのNPB平均"の表中で最も指標の良いボールであることが示されています。

ここでは昨季縦スライダーのPitch Value/100でトップをマークしたソフトバンク・杉山一樹に注目します。

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ファームでもトップクラスの数値をマークしたストレートを軸に、縦スライダー・フォークの3球種を一軍では投じました。
今回取り上げる縦スライダーでは1安打も許していません。

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投球割合に関しては、カウント別で大きくは変わらないようです。

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サンプルこそ多くありませんが、ゾーン内では確実にストライクや凡打を稼ぎ、低めボールゾーンでは高い割合で空振りを奪うことができています。
アウトの内訳は三振4・ゴロアウト4・フライアウト1と、打者がボールの上っ面を叩いてしまうシーンが多いようです。

強度のあるストレートとパワーカーブ的な縦スライダー、さらには新たに習得する"千賀カット"で今季の新人王候補にも挙げられている杉山の躍進が楽しみです。


5. 最後に

カーブに関しては、近年強度のある"パワーカーブ"が日本球界でもトレンドとなりつつあります。
2019年に阪神に在籍したPJことピアース・ジョンソンや、今回取り上げたディクソン、ライデル・マルティネスなど、外国人投手のイメージが強い"パワーカーブ"・"ナックルカーブ"ですが、杉山一樹をはじめ強度のあるカーブ系球種を投じる日本人投手もちらほらと出てきているように感じます。
強力なカーブがNPBを席巻する日も近いかもしれませんね。

今回で球種シリーズは最後となります。
また来年、各球種の注目投手がどんな顔ぶれになっているかをお楽しみに!

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