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初心者のためのサックスの選び方

今回はアルトサックスを中心に話をしますが、他のサックスでもやることは同じです。
とはいえ、サクソフォンには結構な種類があったりします。
上からソプラニーノ、ソプラノ(カーブドソプラノ含む)、アルト、テナー、バリトン、バス、コントラバス。
ことソプラニーノやカーブドソプラノ、バス、コントラバスなんてまず無いと思います(コントラバスにいたっては日本国内に数台もないそうです:テレビで見ましたがバカでかすぎて驚きました)のでここでは割愛します(笑

私が購入したときの考え方をもとに書いていますので、あくまでも一手法として参考にしていただければ幸いです。

意外な話ですが・・・

スティーブン・ハワード著「サクソフォン・マニュアル」によると、海外のプロのサックス奏者の手持ちのサックスのなかに(何本か持っているのは当然ですが、その中の1本に)ヤマハのベーシックモデルがあったりするそうです。
・・・まぁある意味外国人特有の「盛った」話だとは思いますが、にしてもそれだけヤマハの製品は、ベーシックモデルだからといって手を抜かず、いい音がするということです。
日本人だとどうしても中級上級機に目が行きがちですが、ベーシックモデルだからといって引け目を感じることは無いということですね。

基本的な本体価格の相場

基本的に、メーカーものだと、新品の場合スチューデント(ベーシック)モデルで定価20万円前後、中級機以上だとある意味青天井ですが、定価30万前後からあります。
ヤマハを例に挙げるなら、ベーシックモデルのYAS-280で実売16万前後、YAS-380で実売20万強、中級機だとYAS-480が実売27万といった具合です。
ヤナギサワだと、中級機以上になるので、だいたい40万前後からになるようです。
これがセルマーになると、(最近値上げしているので)50万オーバーぐらいから、になりますね。
※私の調べが不足していて「おい、もっと安い新品あるぞ!」でしたら、こっそり教えていただけると助かります・・・・

これら以外のところだと日本でもありそうな有名どころとしては、
・アンティグア(使用アーティストもいたりしますし、野中貿易さんが扱ってるので悪いものではなさそうです):実売9万前後~
・クランポン(フランス):実売14万前後~(但し上は100万前後まである)
・ジュピター(台湾):実売16万前後~(但し上は100万前後まである)
コーンなどはどちらかというとヴィンテージが多く、私が調べた限りでは新品を扱っている店の情報はありませんでした。。。

※個人的には、ヤマハを買っておけばまぁ間違いないでしょうとお話しておきます。まぁ実際学校の吹奏楽の備品はだいたいヤマハだったりしますし

機体の価格はすでにわかっているわけですが、もちろん機体とケースだけではダメで、維持や長持ちさせるために必要なものは別途必要です。

本体のマウスピースはあくまで「ついているだけ」と思うべし。

本体にはだいたいマウスピースが付属してますが(アンティグアは実はセルマーのが付いてるそうなので例外としても)、吹きやすくするためには、付属のマウスピースを使わず別途書い直すのが一番です。詳しくは下記リンクにて。

あと、もし可能であれば、マウスピースはプロの方に選定してもらいましょう。
私も実はおねがいしました。youtuberでプロのサックス奏者の方でも、選定を受け付けてる方は結構お見えになるので、そういう方にお願いするのもいいかと思います。
私はこの方におねがいしました。
製品代+選定料&諸費用で3万3千円前後。(S90/170:2024/03現在)。
価格は諸事情で変動する可能性があるので注意です。

To be or not to be, that is the question.
(新品か中古か、それが問題だ)

ここで重要なのは、新品のほうがいいか、中古の方がいいかは、判断が非常に難しいということ。特にネットフリマやネットオークションの場合、【メンテナンス(整備)済】と無い限り、ほぼほぼ要メンテナンスと思って差し支え無いので(逆に到着してみていらなかったらその分得したと思うべき)、とにかく不安を覚えたらまず新品から考えるべし、というのが私の持論。そのペイオフをしてでも中古のほうが上級で、かつ値段も考えに見合うものであれば、それは良い選択かも知れませんが。

お前は中古買うてるやん、と言われそうですが、実は「整備済み」とはなくとも、それに近い文言は説明文にありましたので、それを読み取って購入した次第です。実際めちゃくちゃ綺麗でしたし、タンポの息漏れもゼロでした。先程LEDリークライトが来たのでチェックしましたが問題なしでした。
わずかにキーの動きが鈍い程度(注油調整すれば大丈夫)。
私は整備の勉強をするためもあってあえて中古を買っていますが(もちろんそれなりに覚悟して購入しています)、普通の人ならそこは考えないと思うので、「売ってる人は考えてないかも、要整備かも」というのを頭に入れて買いましょう。

私の今回のケースがそうだと思いますが、「超大当たり」ってこともあります。
とはいえ、基本は「見る目」がない限り「ハズレ」を落札してしまうこともありますので、それは自分の「見る目」も反省すべき点でしょう。
最近は中古品取引でトラブルになっているケースも散見されます。中古ですから、そのものそれぞれにはかなり差があります。中古の場合はそれなりに不具合の可能性もあるものと覚悟して購入する必要があることをお忘れなく。

※ちなみにネットフリマジャンキーとかネットオークションジャンキーと言われる人たちはそういうのに魅せられてついついいろいろ買っちゃうんですが、私は本末転倒にならないよう、最近はネットはもっぱら(断捨離もあって)売り専です。

どうしても予算がない&自宅で吹く程度なら中華機もあり

管楽器は、思いの外お金がかかります。エレキよりもかかります。
ですから、金額聞いて衝撃を受ける方も結構いるんじゃないでしょうか?
私もそれに近いものはあったりしました(苦笑)
まぁそのために楽器店ブランド(中華機)があるわけですが、その多くは市販メーカー品のコピー(で著作権や特許にかからないようそれを外した設計になっています)。最近はセルマーのコピーが多い気がしますが・・

実は昔の日本のサックスもそうで、ことヤマハに吸収される前のニッカン時代は、コーンのサックスのコピーから始まったと言われています。そこから色々と改良や設計変更を加え、今の形に落ち着いたと言われます。
なので、ある意味完成された機体のコピーですから、中華モノにしては(マウスピースとかさえしっかり音が出せて快適であれば)それなりにいい音が出ると言われてます。
とはいえ、公にそれ使ってる、というのはちょっと恥ずかしいところでもあったりはするので(結構このあたりはメーカーや金額的なステータスはあったりするんですよね)、まぁ自宅で趣味程度に吹くぐらいとか、芸術系やその整備系の学校に行くまでも無いが、勉強はしたいって人なら、選択肢としてはありだと思います。(中にはメイン機の予備として使っている方もプロの中にはお見えになるそうですが・・日本だと少ないそうです)
※とはいえ、中古の中華機は結構錆がひどかったり、キーを抑えるテンションがおかしかったりする(一部のキーは強すぎたり、違うキーは弱すぎたりする)ことがありますので。。。

同じメーカーでも怪しいものがある

これはエレキギターでもそうなんですが、一度経営破綻したりで経営体制が変わったり、吸収合併とかでブランドだけ残している場合だと、よく某メーカーで言われているのが古いものだと品質的に???だったり(=新しい方が品質がいい)と言われることはよくあります。
中古を買う場合は特に、その楽器メーカーの「歴史」などもしっかり頭に入れておく必要があります。
例えば一部の中古セルマーは、一説によると経営不安定な時期があったそうで、一部の製品のその時期に生産されたものはいわゆる「置き割れ(トーンホールの歪が経年劣化で酷くなりクラックが入る)」が結構あります(他社でも古いものはあったりします)。置割れになってしまうとラッカーでシーリングするのが修理屋では手一杯。管体交換がベストですが古いものはもうありませんし、特にセルマーは管体頼むと到着したときいろいろな部分のすり合わせ作業が大変とはよく聞きます)
あと、演奏画像を撮影する場合は中華じゃないほうがいいかも知れません。
「吹いてみた」系だったら良いとは思うんですが、うるさい方がコメントで突っ込んでくる可能性は否定はできないので。

中古は迷ったらGOしない。スルーするほうが安全

とにかく中古は迷ったら買わずにスルーするほうが重要です。安物買いの銭失いになるなら、少し値が張っても良さげなものを買うほうがいいですからね。

同じ機種でもマイナーチェンジしていることはよくある

前述のYAS-62が実は良い例だったりするんですが、外国車でも同じモデル、同じグレードで〇〇年モデル、というのがあるように、サックスでもそれに近いものがあったりします。
私の持っているニッカン・インペリアルも実はそうで、部品で別でジャンクを入手したら一部の意匠が違っていたりしてびっくりしました(多分部品で入手したほうが型が古い)。1950年代より前に生産されているオールドタイプになるとマイナーチェンジ前後でキィの位置が違うとかも普通にあったりしますので注意です(修理の際にそれで修理の値段が上がってしまったり、修理不能と言われる、修理が長期化する可能性もあるため)。

中古は整備するかどうかも考慮すべし

中古でよくあるのが、キィからの息漏れ(タンポ老朽化)。
そうなるとタンポ交換になりますが、コレが結構高かったりするんです。
全交換となると(基本完バラメンテナンスと同様の整備になるので)安くても5万ぐらい、高ければ10万程度と考えたほうがいいです。
部分交換という手もなくはないんですが、何回もやってるとその分時間も掛かるし結局高く付いてしまうことも多々あります。
(比較的新しい整備済みの中古か、できれば新品、と言っているのはこれが理由の一つとして大きなファクターを占めるというのがあります)
その他前述でも少し描きましたが、キィのテンションの調整だったり、細かい部分の調整などもありえますので注意しましょう。

そうなると整備もできる専門中古店(質屋やハードオフみたいな横流し系の中古店もあるので要注意)とかで直接買うほうが有利で、整備済みかどうかはお店がよくわかってることが多く、その多くが整備済みになっているはずです。
(その代わりその分値段は高いですけどね)
そういう事もあって、結局中古より新品のほうが安かった、ってことはちょくちょくあります。

初心者はオールドサックスには手を出すな、ヴィンテージも一部以外は避けるべし

ネットでは最近はかなり安値で古いサックスが出品されていたりしますが、マニアでもない限り初心者は手を出さないのが吉です。
この手のサックスはある意味「リファレンス」が必要です。
私の場合はニッカン・インペリアルというヴィンテージですが、前述の整備や、色々調べまくってその特性や背景を承知の上で購入しています。
部品に関しても、しっかりした「リファレンス」があるからこそ、そのパーツが正常かそうでないかの判断ができるのであって、それもない状態では修理がどこまで必要なのかがわかりません。
例えば、別記事に出したネックなんかがいい例です。
コレなども、正常品というリファレンスがなければ絶対にわからないですし、分かったとしてもどこまで直すべきなのかもわかりません。

で、修理に出したら法外(と思えるぐらい)な金額・・・なんてことも充分にありえます。まぁ修理屋からしたら妥当な金額なんですけれども。

あとは皆さんの「耳の好み」「吹き方(その人それぞれ)」で変わってきます。
例えばセルマー(の音の感じ)が嫌いって人もいれば、その逆の人も居たりしますからね。
あと、ぱっと見では分からないトラブル(ネック管が変に曲がりすぎていたり)もあったりするので、その点は新しい機体のほうが、実際に演奏している動画が多くでているので、それで聞いてみてしっくりする物を探し易いです。古い機体だとどうしてもそのあたりのデータも少ないので・・・

いちばん重要なのは、楽しく長く吹けること

とにかく、どんな機体を買って使うにしろ、最初から楽しくないってのは「なんのために楽器買ったの?」になっちゃうわけで、演奏して楽しいっていうのが一番なので、それを目指して予算を貯めるなりするほうがいいかと思います。
私自身も、マウスピースの購入でお金をためて注文したところで、コレを書きながら、先日購入したサックスの本をじっくり読んで英気を養っています。

「音楽」という字は、【音を楽しむ】という意味であり、楽しめなかったら音楽じゃないんですよね。
レーシングカーのエキゾーストノートも、レーシングカーの醍醐味を知っている人からすれば「排気音が奏でる音楽(だからエキゾーストノートっていうんですが)」ですが、興味もない人からしたら単純にうるさい騒音で、迷惑なだけなんです。
範囲の差はあれど、それと全く同じことです。
音楽は、歳をとっても楽しめるものです。

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