「慢性腎臓病」を考える

腎代謝の薬剤を投与する際は腎機能に応じて投与量を決定する
薬剤の排泄量は糸球体濾過量(glomerular filtration rate)に依存する

推算GFRの式(mL/min/1.73):194×年齢(歳)⁻⁰・²⁸⁷×SCr(mg/dL)⁻¹•⁰⁹⁴
女性は×0.738する

薬剤投与を行う場合は個別eGFRが必要
個別eGFR(mL/min)=eGFR×(患者の体表面積)/1.73

腎障害がある場合の薬剤投与量の決定はサンフォード感染症治療ガイド、薬剤性腎障害診療ガイドライン、薬剤添付文書は等を参照する。

Cockcroftの式
推算CCr(mL/min)=[(140-Age(years)×Weight(kg)]/[Scr(mg/dL)×72]
女性は×0.85
Cockcroftの式を使う場合は血漿クレアチニン(Scr)の測定値に0.2を追加する

蓄尿によるクレアチニン・クリアランスの式
CCr(mL/min)=尿中Cre(mg/dL)×尿量(mL/day)/SCr(mg/dL)×1440

慢性腎臓病:
①尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らか。特に0.15g/gCre以上の蛋白尿(30mg/gCre以上のアルブミン尿)が存在
②GFR<60mL/min/1.73m²
①or/and②が3ヶ月以上存在する状態

CGA分類で慢性腎臓病の重症度を分類する
CGA分類ではeGFR(mL/min/1.73m²)を使用する
糸球体濾過量が同じでも蛋白尿の程度で心血管死亡のリスクが変わる。
CKD患者は心血管リスクが非常に高いことを理解する。

CKD患者の管理
Double ABCDで覚える

Anemia
erythropoietin-stimulating agent産生低下に伴う腎性貧血
目標値:Hb11−12g/dL
治療:ESA製剤皮下注、鉄欠乏性貧血の併存に注意

Acidosis
NH3排泄低下に伴うHCO3-低下
目標値:HCO3-22−24mEq/L
治療:炭酸水素Na1−3g/day投与、腹部症状に注意

Blood Pressure
高血圧をコントロール
目標値:130/80mmHg、高齢者(75歳以上)140/90mmHg
治療:糖尿病性腎症ならばACE-Ⅰ/ARBが第一選択、その他はCa拮抗薬やβブロッカー

Body Weight
腎機能低下が進行する場合は利尿薬の使用を検討する
治療:ループ利尿薬から使用、難渋した場合はサイアザイドを併用する

CKD-MBD(Chronic Kidney Disease-Mineral and Bone Disorder)
P排泄低下による高P血漿、ビタミンD活性化低下に伴う低Ca血漿、その結果として二次性副甲状腺機能亢進症(intactPTH)に注意する。
目標値:基準値内
治療:高P・低Caの併存ならば炭酸カルシウム、高Pのみならばリン吸着剤、高iPTHに対してはビタミンD製剤の併用も検討する

Cholesterol
目標値:LDL-C120mg/dL未満
治療:食事運動療法、スタチンを使用する

Diabetes
目標値:HbA1c6%台
治療:食事運動療法、薬剤はメトホルミンが第一選択だが腎機能低下が進むと併用できないためDD4阻害薬、GLP1作動薬、SGLT2阻害薬、インスリンの併用を行う

Diet
カリウムやタンパク制限
目標:eGFR<60未満ならば食塩6g/day、タンパク摂取量0.8-1.0g/kg/day
治療:栄養指導、高Kがある場合はカリウム吸着剤を使用する

尿たんぱく/クレアチニン比
24時間蓄尿が行えない場合、成人の1日のクレアチニン排泄量が約1gであることを利用し

尿タンパク(mg/dL)/尿クレアチニン(mg/dL)

で1日の尿タンパク推定量を得る。

透析の延期が可能かどうかは緊急透析の適応(アイウエオ)に準じて判断する。
高Kや溢水がなければ透析の延期は許容される場合が多い。

シャントの診察
視診:周囲の発赤・腫脹などの感染兆候はないか
触診:血流が保たれているシャントでは振動(thrill)が触れる
聴診:動脈吻合部-腋窩-上腕付近の聴診
連続音を聴取する。高調音や断裂音はシャント狭窄が疑われる。

透析患者で集める情報:
最終透析日、週の透析回数と曜日
アクセスの種類(内シャント、グラフト、動脈表在化、パーマネントカテーテル)
ドライウェイト(透析後の目標体重)
透析条件 抗凝固薬(ヘパリン、ナファモスタット)、血流量、ダイアライザーの種類、透析時の投与薬剤(ESA製剤、鉄材、ビタミンD製剤、カルシウム受容体作動薬、ドロキシドパ・アメジニウムの内服)、透析経過表、除水上限


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