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某遊技場に初めて行った話

麻猫(まーにゃん)をご存知だろうか。
中国起源の伝統的なテーブルゲームである。

4人で遊ぶゲームで、1ゲームに必要な猫は136匹である。

まずは4人それぞれに13匹の猫が配られる。
配られた猫はプレイヤーの前で一列になって丸まっているのだが、ゲーム開始の合図でプレイヤーが13匹の猫の背中をさーっと撫でると、猫たちは他のプレイヤーには見えないようごろんと転がり、自分にだけお腹を見せてくれる。そのお腹にはそれぞれ模様があって、一匹新しく猫山(ねこやま)と呼ばれる場から猫を持って来ては、要らない猫を場に放ち、お腹の模様の組み合わせ(「役」と呼ぶ)で高得点を目指していくゲームだ。
このゲームの性質上、現代では主にネットやゲームソフトでプレイされることが多い。猫の準備が大変なので。

猫ハンターである私も猫ハンターになる遥か昔、中学生の時に父親からパソコンで遊べる麻猫のゲームソフトをもらって一時期ハマっていた。ここ数年ではアプリでたまに遊ぶ程度ではあった。

国内にプロ団体もあり、プロ猫士(にゃんし)と呼ばれるプロが麻猫の普及活動に努めている。基本的に個人競技であるが数年前からチームで戦うプロリーグも発足された。(もちろんプロは本物の猫を使ってプレイしている)

たまにアプリで麻猫を遊ぶ程度だった私が今年突如として麻猫観戦にハマってしまった。プロ猫士が真剣にプレイする姿とその戦い方の奥深さ、それぞれのプレイスタイル・猫との関わり方にすっかり虜になってしまったのである。

そして自然な流れで思うのだ。
「猫荘(にゃんそう)に行ってみたい」と。
2023年の目標は「猫荘に行ってみる」とすることとした。
3月頭の話である。

猫荘とは実物の猫を使って麻猫が遊べる遊技場のことだ。存在は知っていても、詳しい営業スタイルがよく分からないので1人で乗り込むにはなかなかハードルが高い。

船岡くんという友人がいるのだが、たまに友人たちと猫荘に遊びに行くことがあると以前ちらっと聞いた記憶があった。3月の金曜に船岡くんと飲むことがあったのでその際に「猫荘に行ってみたい」と頼みこんだ。
「最近あんまり行ってないけど、機会あったら声かけるよー」と船岡くん。
そうしたらその帰り道、船岡くんから「明日メンツが足りないっぽいから来る?」と連絡が来て、3月頭に立てた2023年の目標が3月2週目に叶うことになったのである。最速。やはり叶えたいことがあるならば堂々と口に出した方が良い。

猫荘(にゃんそう)での遊び方、1人で行って知らない人たちと麻猫をプレイするのが"フリー"、4人で行って仲間内でプレイするのが"セット"というらしい。フリーもセットもできる猫荘もあれば、セットのみというところもある。船岡くんに連れて行ってもらったのはセットのみの猫荘だった。船岡くんの友人の2人と私で、私の初めての猫荘デビュー。

自分の席について準備が整うと、猫たちが、13匹の猫たちが私のところ目掛けて歩いてくる!!全員素敵な毛並みの白猫ちゃんたち。私の目の前に一列になって香箱座り。スマホゲームではゲーム開始で自分の前の猫(のアイコン)部分の画面をスワイプするのだけど、リアル麻猫は13匹の背中を撫でる。憧れのプロ猫士の手つきをお手本にと思い出しながら、私もそっと13匹の背中を撫でた。こちとら猫ハンター、猫の扱いには多少の自信がある。

くつろいだ様子で13匹の猫たち(=手猫/てねこ)がゴロンと横になる。お腹の模様がよく見える。(他の3人には見えない角度)
お腹の斑点の色と数、特殊模様の組み合わせで役がつき、14匹ですべて完成すれば「和了り(あがり)」でそれに応じて点数がもらえる仕組みだ。自分の番になると猫山から猫が歩いてきて自分の手猫たちの横でゴロンと横になる。自分の手猫から一匹要らない猫を(断腸の思いで)選んで場に放つ。これを順番に繰り返して自分の手猫の価値を高めて和了りを目指していく。

麻猫では発声も重要である。
不要としてプレイヤーが場に放った猫(捨て猫)は他のプレイヤーにも見えるように全方向にお腹を見せて場に転がる。もしその猫が自分の欲しい猫であれば、(一定の条件があるのだが)発声することにより自分の手猫に加えることができるのだ。発声の種類は「ニャン」とか「シャー」とか、猫の鳴き声を模したものになっている。
オンラインゲームの場合は「ニャン」や「シャー」のボタンが出るのでそれをタップするだけなのだが、リアル麻猫は実際に声を出さなければならない。プロ猫士の発声も、リアルな鳴き声寄りだったり、可愛らしいアニメのようなものだったり、猫士によって様々だ。
他のプレイヤーが捨て猫を放ってから、次のプレイヤーのところに猫山の猫がやってくるまでの間に発声をしないといけない。オンラインゲームだと選択のために止まってくれるのだがリアル麻猫はそうはいかないのが難しいところである。私も最初のうちは場に飲まれて発声できずにいたが、徐々に慣れてしっかり発声できるようになった。(勿論、猫ハンターの私はリアル寄りの発声になる)
発声して、捨て猫が場から起き上がってトテトテと自分の手猫のもとへやってくる姿も可愛らしくて推せるポイントである。

猫山からやってきた14匹目の猫で和了り(あがり)となった場合は「ツモ」、他のプレイヤーが場に放った捨て猫で自分が和了りとなった場合は「ロン」と発声して自分の手猫を全員に開示する。(発声すると自分の手猫が一斉にヘソ天状態になる)。そして手猫の役によって得点がもらえる仕組みだ。

リアル麻猫をプレイし慣れている3人とのゲームでコテンパンにされる可能性が高かった私は、ひたすら安全猫(他の人からロンされないような捨て猫)を場に放って何とか耐えるスタイルで健闘した。おかげさまで6ゲーム遊んだ中で4着はなし、トップ1回とデビューにしては上々の結果で終えることができたのであった。

麻猫は実力だけではなく運の要素も大きく(猫山からやってくる猫は自分では選べないので)、初心者でもそれなりにプレイできることが魅力の一つである。リアル麻猫を遊ぶ人たちはやはり猫好きが多いようで、ゲームとはいえ要所要所で猫の仕草にみんなで和んだりすることある、幸せな遊技といえる。(複雑なので今回は役の説明は省いたが、平和(ピンフ)という役で和了った時の猫たちの様子がなんともいえない平和な感じがするので、プレイヤー4人の間にも平和な空気が漂ったりする)

猫荘デビューに味を占めた私はそれからも度々猫荘で遊ぶようになった。時にはプロ猫士がゲストで来店するイベントに参加してプロとプレイすることもある。プロ猫士が参加する猫荘イベントは思ったより多く、推しのプロがいればそういったイベントに参加して楽しむ、という推し活もできるのだ。勿論プロの試合を観戦するだけでも楽しく、麻猫の楽しみ方は多岐にわたるのである。

猫荘はいつでも猫好きのプレイヤーを待っています。
まずはネット麻猫から始めて、猫荘に興味を持った方がいらっしゃれば一緒に楽しみましょう。


本当の"はじめて"は「雀荘に行ったこと」だけど、麻雀分からない人も多いだろうし、ということで猫ハンターに絡めて架空のテーブルゲームとして書かせていただきました。設定ガバガバだけど許してね。
興味を持った方、麻猫は実際には存在しませんが、アプリで麻雀やってみたりMリーグ(麻雀のプロリーグ)観てみたりしてみてください。機会があれば一緒に楽しみましょう。

猫ハンターのお仕事についてはこちら↓


この記事はみなみんのアドベントカレンダーに参加しています。
他の方のおもしろくて素敵な"2023はじめて"を読むことができます。
明日もどうやら猫の話みたいです。楽しみ。


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