ベストプラクティスを活かす@Sports Digital Forum

鹿島アントラーズ主催のSports Digital Forumに参加してきました。

LAギャラクシーのBrendan Hannan氏、シカゴ・ブルズのDan Moriarty氏が登壇し、両チームのデジタル戦略と成功事例、主催の鹿島アントラーズの経営とデジタル戦略について話を聴き、翌日はカシマスタジアムの細部に渡るこだわりとスタジアムビジネスのノウハウを学んだ。

そこで感じたのは書ききれないくらいたくさんあるけど、まとめると以下。

・常に学ぶ経営陣の姿勢。
・すべき事を的確に行い投資する経営判断。
・地域特性を活かしたマーケティング。
・考え方や事例は、ビジネスシーンにおいての手法としては決して新しくはない。
・デジタルは経営のツールの一つでしかない。
・「ファンベース」
・英語力、活躍するには必須。

まず、アントラーズはニューヨークにも海外拠点を持ち海外のスポーツビジネスの情報を常にキャッチアップして経営に活かしている。

また、スタジアムを見せてもらうと自前でコンテンツ制作ができる中継室を用意しリモートで制作を可能にしていたり、芝生も独自の手法で開発していつでも張り替えができるようにすることでスタジアムの稼働率を上げて収益をあげるなど投資に対して未来のリターンが描きやすい状態になっていると思った。

(ピッチ保温シートとターフを使った芝へのこだわり)

この辺りは経営陣の多くが情報感度が高く、クラブとして常にベストプラクティスから学ぼうという姿勢が国内の他のクラブと一線を画しているのではないかと感じた。

また、鹿島という人口が減っている地域においては、スタジアムというおらが町の象徴を地域の人に開かれたホームとするマーケティング戦略はとても有効だと思った。

(金曜の夜のスタジアムビアガーデン)

(夜のピッチを眺めながら)

スタジアムをビアガーデンにするだけでなく、プロスポーツクラブのメソッドと信頼度を活かしてフィットネスクラブやクリニックの経営もスタジアム内で行い、地域に貢献している。プロサッカークラブがサッカーだけでなくスポンサー、チケット、グッズ以外の第4の柱になる事業をつくることはこれからのスポーツビジネスをビジネスとして成立させ、発展させるうえでも必要。

(朝から地域の人が集まるフィットネス)

(クリニックはリハビリ施設も充実していて、プロのトレーナーが見てくれる事もあり、10代の患者が意外にも多いらしい)

地域の人が自然と集まり、スタジアムに足を運ぶことが日常になっていくことがクラブが地域の文化として根付くことにも繋がる。

鹿島が日本のサッカー界の中で進んでいるのは、スタジアムの管理者がランニングコストを払うのではなく、稼ぐことで地域に還元するという考えのもと、海外の情報を常にキャッチアップして新しい取り組みをし、オリジナルのノウハウを他クラブへも販売できる程に昇華させていく経営陣のビジネス感覚とそれを遂行する様々なパートナーの存在が大きいと思う。

日本よりもビジネスとして確立しているMLS(LAギャラクシー)やNBA(シカゴブルズ)での取り組みはというと、参考になるものがとても多かったけど、デジタルの役割分担をそれぞれのメディアごとにきちんと行い、それにあったコンテンツをファンに提供する。コンテンツに触れたファンのエンゲージメントを重視し、ファンベースを施策の軸に置いて展開するなど、取り組みとして普通にやるべき事をやっているという印象だった。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180913-00000008-ibaraki-socc より。

デジタルを活用すれば何か好転するだろうと魔法のようにデジタル導入を唱えるのではなく、戦略的にやるべき事とやらない事を分け、やるべきものはどんな目的で行うのか、ゴールから逆算したKPI設計がしっかりしている印象。

その中でKPIの一つであるファンエンゲージメントを獲得するためにストーリーテリングの重要性があってスポーツの経験に人々が何を感じ、クラブや選手に何を求めているかを考え、そのストーリーを拡散するためにデジタルを活用する。

そしてファンとクラブの感情的なコネクションをしっかりと構築することで勝敗だけに限らずに常にホームスタジアムに戻って来てくれる状態が理想だ。

日本とアメリカで最も大きい違いはスポーツをビジネスとして考える業界全体の捉え方で、日本はプレイヤーファースト、アメリカはファンファーストである点。どちらか一方を重視すれば良いというものではないけど、お金を出してくれるファンやスポンサーのエンゲージメントを重視するアメリカ的発想と競技としてプレイヤー環境を重視した日本の違いは、稼げる産業になっているかどうかを見極める一つの要素でもあると感じた。

海外のベストプラクティスから学ぶ事は新しい発見がある。そのベストプラクティスを日本的に活かしてどう取り入れるかが大切。

ただ、どんなに新しい事例やITを導入しデータを蓄積しても、そこに汗をかき使いこなす人財があって初めて組織の成長がある。

(今は鹿島のスタッフ、SHCの卒業生でもある浩二さんと)

そして改めて感じたのは英語が話せるというのはスタンダードでなくてはいけないということ。(ということで勉強します)

Boasorte...

よろしくお願いします🙇‍♂️