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合成オッズの本質と「競艇予想」の深化


投資は簡単なことではない。簡単だと思うのは愚か者である。ーーチャーリー・マンガー


はじめに~競艇におけるバリュー投資~


効果的な投資を行う絶対的な方法は「安く買って高く売る」ことです。
株、FX、不動産などにおいては、この「安く買って高く売る」という大原則を、直感的に理解できると思います。
さて、競艇をはじめとする公営ギャンブルの場合には、この規則をどうあてはめたらいいでしょうか。

「おいしいオッズ」という言葉があります。
名前で売れているのに実は調子が悪い場合や、数値的にはいいと思われているけど実は悪いモーター、逃げなさそうなのにインからド被りしている、隠れF持ちなのに人気を集めている……枚挙にいとまがありません。
しかし、それをいかなる尺度で「おいしい」と言っているのか。なぜそれが「妙味がある」と言い切れるのか。
あなたが目にしている”25.8倍”は、本当に「適正オッズよりも高く、買い時である」と言えるのか。
このことについて真剣に考えている人は少ないと思います。

株式売買の世界では、企業の《本質的価値》を見極め、それよりも安い値がついているときに買って、《本質的価値》に収斂したときに売るのが正着と言われています。これを「バリュー投資」といいます。
競艇におけるバリュー投資は、《本質的価値》よりも高く見積もられているオッズを避け、《本質的価値》よりも高い(低く見積もられている)オッズを買い続ける、という行為に他なりません。

ここで問題が生まれます。先ほども書いたように、その《本質的価値》を「いかなる尺度で測るのか」という問題です。

1-2-3の最終オッズが3.8倍だったとしましょう。直感的に「安い」か「つきすぎ」か答えろ、と言われたら、大多数の人が「安い、こんなの怖くて買えない」と回答すると思います。
ですが、もし1-2-3の「本質的価値」が2.9倍であれば、この目は「買い」なのです。
それを正確に測るすべを多くの人は持ち合わせておりません。だからこそ経験や勘、時には「過去の統計」に頼って、それが得な賭けなのかどうかを考えます。
そしてその判断は、負けているときと勝っているとき、好きな選手がいるときとそうでないとき、新しいデータを手に入れる前と後、自身の心理状態、こういった競艇予想に直接関係しない外的要因で、大きく変わってしまうのです。

あなたが性懲りもなく損なベッティングを続けてしまうのは、なるべく正しくて洗練された「一定の尺度」を持っていないからなのです。
その尺度を扱うすべを知らず、オッズに対しての認識が甘い状態で気分賭けしているから勝てないのです。

1-2-3が3.8倍。これがどういうことかを分析しましょう。
そうですね。言うまでもなく1-2-3とは「インが逃げ、2号艇が2着になり、3号艇が3着になる確率」です。抜き決着は無視するとして、1-2-3に賭けるというのは、この「確率」にベットする行為に他なりません。
これが3.8倍。つまり26.4%以上の確率で「インが逃げ、2号艇が2着になり、3号艇が3着になる」のであれば、このベットは「バリュー投資」になります。逆に未満なのであれば、そのベットは不適切だと言えます。
極端な話、1-2-3以外の確率が数%くらいしかない番組であれば(ほぼ論理的にあり得ないことですが)、たとえ1.1倍程度でもベットするべきなのです。

ここで再度「あの問題」を考えることになります。
26.4%以上の確率で1-2-3になるかどうかを、いったいどうやって求めればいいのでしょうか。
1-2-3の《本質的価値》、つまり「適正オッズ」を、どうやって推定すればいいのでしょうか。
1点買いならまだしも、たとえば1-234-234の《本質的価値》って、いったい何なのでしょうか。


本論では、この《本質的価値推定》という、今までおよそ語られてこなかったファクターについて解説するとともに、あなたが知らない「合成オッズの隠れた意義」について詳述いたします。
また、勝つためには今後どのような尺度でレースを選択すればいいか、その思考のパラダイムシフトに役立つ考え方を紹介します。


あなたが開くべき扉のうち、最も堅牢で、最も捉えどころのない「オッズの扉」のその先を、実例と実現可能なプロセスを明示しながら歩いてみようと思います。


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