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《展示航走》の本質について


【定量化】
〘名〙 通常の場合、質的にしか表わせないと考えられている物事を数値で表わすこと。
――精選版 日本国語大辞典


長い長い前書き


 競艇というギャンブルを始めて、一通り展開のエトセトラを覚えたあたりでしょうか。多くの人は「展示で何かを見極められるようになりたい」と考えるようになります。
 事実、私のような若輩者のところにも、展示の観方を教えてほしい、コツは何でしょう、どこに注目すればいいですか……といったような相談が寄せられてきました。

 しかしながら、そういった要望に「適切にこたえている」人がいるかどうか。これについては疑問符がつきます。
 展示の極意を喧伝する怪しげな商材。展示は経験だと言って憚らない無責任な自称上級者。展示よりもタイムを見て買うと宣う似非データ派。そのどれもが「親切ではない」し、何ら「論理的でもない」と感じます。

 このnoteに記すのは、展示の極意でも経験の言語化でも似非データでもありません。
 展示航走の本質を取り出した上で、展示航走で何を観るべきかという点について、なるべく論理的かつ平易に、実例を織り交ぜながら記していきます。

 その前に、展示の基本について少しばかり説明しておきましょう。


展示(ピット離れ)

 すっ飛ばす方も多いと思われますが、展示はここから始まります。
 この「ピットから出る」行為をピットアウト、またはピット離れと呼びます。ここで出遅れるような選手は「離れが悪い」と言われ、進入が入れ替わる原因を作ります。
 石川真二や西島義則に代表される「イン屋」と称される選手は、ここから勢いよく出ていってコースを奪います。


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 その名の通り「スタート」の「展示」です。
 スリット足の勢いだったり、スタートの見え方だったりをここで判別するわけですが、スリットが展示と同じような形になるわけではなく、いたずらに迷うだけだったりもします。
 また、見逃されがちですが、本番に展示と同じ位置で起こせるかどうかは、前項の「ピット離れ」が大きく関わってきます。見た目123/456でも、待機行動に異常があった場合は、展示と本番の起こし位置が変わってきます。


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 1艇ずつ実際のコースを走ります。バックストレッチの映像も公開されていて、展示タイムを実際に計測しているシーンも観ることができます。
 回り足だったり、乗り味だったりを判別するのですが、選手によってはかなり適当に走っています。
 場によっては2周1Mしか映しませんが、基本は2周観られます。


 総じて歯切れの悪い説明ですね。すみません。

 理由はこれ以降の記事を読んでいただければ分かります。ですが、それではあまりに不親切なので、先にひとつだけ言っておきます。

展示でしか分からないことって本当にありますか?
それがどのくらい回収率に結びついているか知っていますか?


 初日一走目の選手でない限り、「その節の過去レース」が常に参考材料として用意されているのが競艇です。その過去レースよりも展示の方が参考になると言える根拠は、おそらく探す方が難しいです。
 ある選手は「周回展示では真剣に走っていない」と公言しました。
 ある選手は「展示で伸び足を悟られないようにスリット付近で放る」と公言しました。
 ある選手は「進入は常にでたとこ勝負で、展示では基本動かない」と公言しました。
 そんな現状を勘案した上で、我々はどのように展示と向き合えばいいのでしょうか。

 この記事で記すことはまさにその部分です。展示との向き合い方です。

 展示航走を間違った理解で眺めるくらいなら、一切見ない方がマシです。

 あなたは「自分が展示を一切見なかった場合」に、自分の回収率が何%下がるかを知っていますか?
 即答できないなら、この記事を読んでみてください。

 当記事の構成をマッピングしておきます。展示について悩んでいるあなたであれば、きっと刺さる内容だと思います。

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 それでは、今まで誰も語ってこなかった「展示の本質」を通しながら、私たちが「どこを」「どう観る」のが現実的かつ有効なのか、それを考察していきましょう。


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