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僕は先生についたことがない。

僕は大学からチェロをはじめて25年くらいになるが、実は、先生についたことがない。
正確には、教室に通ったことがない。
大学時代に先輩から、1年間ほど基礎は教えてもらった。
大学時代はお金がなかったので、ローンで楽器を買うのが精いっぱいだった。だから先生につきたくてもつけなかった。
でも、まわりにはチェロパートの人がたくさんいたから、いろいろな人に教えてもらうこともできた。

納得いかないことは、本やネットで調べた。
ただ、当時はYouTubeもなかったし、チェロ奏法についてのサイトもほとんどなかった。
それでも、たった一つだけ、ボウイングについて詳しく解説しているサイトをみつけ、勉強していた。
本当によいサイトだったんだけど、サイト名を忘れた。
今でも残っているのだろうか。

あとは、いろいろな演奏会に行って、奏者の動きを勉強した。
プロから大学オケまでいろいろ見させてもらった。

Amazonもなかったから、本は自力で探した。
近くの書店だけでなく、東京都内の大きな本屋さんや、楽器店にも探しにいった。
今ほどはチェロも世間には知られておらず、本の種類も少なかった。

そんな僕は、今でも先生にはついていない。
一番の理由は、近くに教室がないからだ。
遠くの教室に通うためには、時間もお金もかかる。

でも、先生についている人に劣っているとは思っていない。
もちろん、先生についていれば、もっと上達していたとは思う。
ただ、地域で細々と活動するぶんには、全く支障はないと思っている。
だから、僕は先生につかないという選択をしている。

もし、これからチェロをはじめようと思っている人がいるなら、多分、最初は先生につくべきだと思う。
音楽教室でなくとも、身近な経験者でもよいと思う。
ボウイングや、楽器の構え方などは、独学では間違って覚えてしまうおそれがある。
最初が間違ってしまうと、上達はしづらいし、後からなおすのも難しくなってしまう。

特にボウイングは最初から独学では難しいと思う。
僕は大学時代、ひたすらボウイングを研究していた。
いろいろな先輩にボウイングを教えてもらった。
毎回1時間以上ボウイングをしてから曲の練習をしていた。
それがよかったんだと思う。
今でもボウイングは毎回練習し、常に改善を心掛けている。
だから独学でやっていくには、最初だけは、ちゃんと経験者に指導してもらい、ある程度基礎を身につける必要はあると思う。

今では、先生につかなくても練習できる時代になったと思う。
YouTubeにはチェロの動画も豊富にある。
レッスン動画も、プロの演奏もなんでも勉強できる。
サブスクでチェロの演奏も聞き放題だ。
動画編集ができる人なら、自分の演奏姿と、プロの動画を並べたり、重ねたりして分析することもできる。

インスタでは、いろいろな人の演奏も見れる。
プロの演奏だけじゃなく、アマチュアの練習動画とかもたくさん見ることができる。
小学生からシニアまで、日本人だけじゃなく、世界中のチェリストの動画を見ることができる。
毎日練習動画を上げている人。
子どもが一所懸命弾いている姿。
大人からはじめてリサイタルを開催するまでになった人。
自然の中で弾いている人。
本当に多種多様なチェリストの姿を見ることができる。

noteでは他の人の練習状況を知ることができる。
他の人の練習記録を知ると、とても参考になるし、とても励みになる。
教室の生徒同士の交流みたいなものだ。
教室に通っていない僕には、とても参考になる。

Amazonで専門書の検索も楽になった。
わざわざ都会に探しにいかなくてもよくなった。
チェロに関する本だけでなく、楽典や和声等、演奏に役立ちそうなものがたくさん見つかる。
海外の本や楽譜だってすぐに探し出せる。

独学でやっている僕にとって、本当によい時代になったなと思う。
だから、大学時代にこういう環境があったらと思うと、今の大学生がうらやましい。
今から楽器を始める人は、独学でも、かなりのレベルまではいけるのではないだろうか。

ただ、先生についていない僕が、独学で注意しなければいけないと思うことがひとつある。
それは、独学では、自分の演奏の評価が難しいということだ。

先生についていれば、おかしいところ、改善すべきところを指摘してくれる。
そして、段階的にレッスンを進めてくれる。
これが独学だとわからない。
うまく弾けているのか、次はどの練習曲をやればよいのか。
次はどのテクニックに取り組めばよいのか。

そこで僕は、自分自身の演奏の評価をするために、自分の演奏を録音して聞くようにしている。
音だけでなく、鏡や動画で自分の演奏している姿勢もみるようにしている。
そして、それらをプロの奏者の音や姿勢と比べ、どこがおかしいのかを考える。

でも、練習曲については、正直どの曲に取り組んでいいかわからない。
自分がどの段階まですすんでいるのか、次はどの技術を学ぶべきなのかもよくわからない。
とりあえず、大学時代からずっとウェルナーでやってきたので、をれをページ順に取り組んではきた。
全曲は取り組めていないけど、最後の方までひととおり練習できた。
最近ではYouTube動画等で、おすすめの教本の情報を仕入れ、いくつか教本を買って取り組んでいる。

練習曲についてはよくわかっていない僕だけど、基本的な考え方としては、練習曲よりも今弾きたい曲、弾かなければいけない曲に取り組み、その曲でテクニックを練習するのがよいと思っている。
それは、大人になってからはじめた場合、生涯でチェロを弾ける時間が限られてくるからだ。
だから、練習曲は、弾きたい曲を演奏するための、補助的な位置づけにしている。同じ調性の練習曲や、準備練習になりそうな曲などを組み合わせて練習している。

それでも、ボウイング練習と、スケール練習はしっかりとやるようにしている。
たまに、興味本位でPopperやDuportなどにもチャレンジしているが、これは僕にとっては難曲すぎて、遊びでしかない。それでも、部分的にでも弾けるようになるとなんか嬉しい。
そういう難しい練習曲の中にも、美しい曲があるので、そういうのを見つけると練習している。

まあ、そんな感じで、独学でもそれなりに楽しめている。

もちろん、近くにチェロ教室ができたら絶対通う。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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