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動機づけ面接法のポイント②

コミュニケーションは3つの技術から成り立ちます。
『質問・傾聴・情報提供』です。
意識しないと親切の押し売り『情報提供』に偏ってしまいます。

あなた「薬カレンダー使いましょうよ(情報提供)」
相手「ん〜でも、セットするのが面倒くさいし…」
あなた「じぁタイマーにしましょう(情報提供)」
相手「ん〜でも、うるさいの嫌いなんですよね…」
あなた「飲まないと入院になりますよ(情報提供)」
相手「(うるせ〜な〜)」

人は、現状維持に心地良さを感じ、変化に対しては抵抗を示す生き物です。
だから、「変われ変われ」といくら情報提供したとしても、『でも…』と言って抵抗されるのは必然です。
変化に対する『防衛』反応は、普通のことです。

そこで、動機づけ面接法では、親切の押し売り情報提供したい気持ちをグッと抑え、代わりに、相手に自由に話してもらう選択権を与えます。
この

「あ〜せ〜 こ〜せ〜」言いたい気持ちをグッと抑えることを、この業界では『Resist(レジスト)』と呼んでいます。

Resist(レジスト)した後は、その人なりの価値観や動機を掘り起こすために『質問(オープンクエスチョン)』と『傾聴(理解できたことの要約)』を意識的に使って、『質問・傾聴・情報提供』の3つのバランスを最適化していくのが戦略です。

では、今回は『質問(オープンクエスチョン)』の技法について、いくつか紹介したいと思います。

ちなみに、オープンクエスチョンとは、答える自由の広い質問のことです。
例えば、「最近どう?」というオープンクエスチョンは、答える自由度が広すぎる質問です。このように、フルオープンすぎると(…… 何のことを答えればいいんだ…?)と、相手を混乱させる原因にもなります。

そこで、「最近の仕事の内容はどう?」などと、答えるポイントを少しだけ狭めるセミ・オープンクエスチョンという技法を使ってみます。
すると、答える範囲が焦点づけられ、その範囲で価値観を自由に話せるので、安心感を与えることができます。セミ・オープンクエスチョンはおススメです。

いずれにしてもオープンクエスチョンは、回答者に自由に答える選択権を与える質問技法なので、相手の価値観や動機をよく知ることができます。

一方、クローズドクエスチョンとは、「はい・いいえ」など、答える自由度の少ない質問法のことです。
例えば、「そのご飯は美味しい?」の質問は、「はい・いいえ 」でしか答えられません。
クローズドクエスチョンは事実確認には最適ですが、価値観や動機の聴取には不向きです。とくに連発してしまうとただの取り調べ室状態になってしまうので要注意です。

さて、本題に戻って、
おススメのオープンクエスチョンを5つ紹介します。

①、なにが一番?
②、具体的には?
③、もっと話して
④、他には?
⑤、どんなことに気づいた?


この5つを中心にコミュニケーションするだけで、劇的に良い方向へ変化するでしょう!
では、一つずつ補足の解説していきます。

①、なにが一番?
会話の冒頭で『相手を主役』にする質問を投げることはとても大切です。
「なにが一番 心配ですか?」
「なにが一番 大切ですか?」
会話のはじめに検討課題を決めることを『アジェンダ・セッティング』といいます。アジェンダを決めるのは、あなたではなく『相手』です。

②、具体的には?
オープンクエスチョンをすると、大抵の場合、抽象的な回答が返ってきます。
あなたは、より正しく価値観を理解するために
相手には、より深く価値観を考えてもらうために
「具体的にはどういうことですか?」と、問いかけます。

③、もっと話して
生きている中で「もっと話してください」なんて言われた経験ありません。
自分の価値観を自由に話す経験は貴重です。
はじめの段階では、戸惑いながらも想いや考えを伝えてくれるでしょう。眠っていた価値観を言語化するイメージです。
あなたの役割はそれを促進することです。
「もっと話してください」と。

④、他には?
相手は、あなたが気に入りそうなことを、あえて答えてきたりもします。
あなたにも経験があると思いますが、質問に対する最初の答えは相手に合わせがちです。
何が一番? → 具体的には? → もっと話して
と続けた後に
「他にも何かありますか?」と、
さらに深く考えてもらってください。
2.3回「他には?」と聴いてからの答えこそ本心なのかもしれませんよ。

⑤、どんなことに気づいた?
ここまでの効果的なオープンクエスチョンにより、無意識を言語化することで価値観を探究します。
相手は話しながら、戸惑いながら、(そういえば、こんなこと考えてたんだなぁ…)と、対話を通して真の『動機』に気づきはじめます。
そして、最後は、
「今回の話し合いでどんなことに気づきましたか?」と、自分自身で総括できるように質問します。

<まとめ>
相手の価値観を適切に理解するために『質問』のスキルは欠かせません。
今回のおススメの5つのオープンクエスチョンは『基本のキ』ですが、この戦略をとるだけで、恐ろしいほど相互理解が深まり、信頼関係の構築を体感できると思います。

以上、よろしくお願いします。

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