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PAVEMENT JAPAN TOUR 2023@東京ドームシティホールに行った

タイトル通り、単に行ったという日記に終止する内容で、「素晴らしかった」「楽しかった」という記憶のままの書き殴りです。

開演前

会場は東京ドームシティホール。各階にドリンクスタンドが用意されていたり、ロッカーの個数も十分で快適そう。グッズ販売開始5分前に到着し、50人ほどの待機列に接続。Tシャツとクルーネックを購入した。会場限定のライブ盤は終演後のテンションで買うかどうか決めることにして一旦スルー。

席も左端の方ながら4列目と十分に当たり席と言えるものでワクワク

1日目

1日目セットリスト

1曲目から『Grounded』で予想外にシリアスな開幕。3rdでの個人的な一押しと言える大好きな曲だが、あまりにもヌルっと始まるし、VJは真っ暗のままだったりとフワフワしている間にイマイチ没入できないままに終わってしまったのが心残り。次の『Perfume-V』も同じような感じで、VJでMacのデスクトップが写ったりしていることにニヤニヤしていたら終わってしまったような。そもそもどちらも中盤以降に満を持して聴きたいタイプの曲だろ!と思わんでもない。

一瞬演出かとすら思ったVJのやらかし

幸い、続く『Gold Soundz』→『Transport Is Arranged』→『Kennel District』というライブで見たかった曲ラッシュのブロックで一気に惹き込まれた。事前に抱いていた「期待しすぎて素直にライブを楽しめるか不安…」という気持ちは既に消えていて、Pavementを見れる幸せに浸れていた。どの曲のイントロでも叫びだしそうなくらいテンション上がったのを覚えている。特に『Kennel District』は自分でも意外なくらいグッときた。音源よりもギターの絡みが前に出ていたような。粒度の低いノイズの波に揺蕩う感覚が心地良かった。

そこからの『Cut Your Hair』→(Heckler Spray)→『In The Mouth A Desert』の流れもあまりにも贅沢すぎる。『Cut Your Hair』はユフフフフフー!のコーラスも、No Big Hair!のコールアンドレスポンスも、すべてが楽しくて永遠のインディーアンセムとしてのパワーを大満喫した。「確かに名曲だけど、自分はRange Lifeの方が好きかな…」とかスカしていた自分は容易く破壊され吹き飛んだ。後半のトレモロパートでのボブの存在感など、音源以上にライブでの映え方が凄すぎる。オッサンの素っ頓狂な絶叫とヤケクソなトレモロの組み合わせでどうしてこんなにも感動するんだろう。続く『Heckler Spary』では、『Cut Your Hair』の後にこんなマイナー曲を演ることに無性にウケてた。そんな中で『In The Mouth A Desert』のあのスネアが聴こえてシームレスに繋がった瞬間は本日のハイライトの一つと言えるくらいブチ上がった。

中盤で聴けて嬉しかったのは『We Dance』。しっかりとしんみりした演奏に浸っていたのに、ボブがステージの前方まで出てきて、全く曲の雰囲気に合っていない妙ちくりんなダンスを披露していて笑ってしまった。この曲のダンスって絶対それじゃないだろ。『Painted Soldiers』もレア曲枠だし楽しいし聴けて良かったな。『Kennel District』の時も思ったけれど、シンプルにスコットの声質がめちゃくちゃ綺麗なんだよな。マルクマスとはまた違ったインディー然とした良さを持っていると思う。

ライブで化けた曲の筆頭たる『Unfair』。ステージ前方で絶叫を投げかけて回るボブの貢献が偉大すぎる。30年経ってもボブがボブらしく、パート:奇人であり続けていることこそPavement最大の奇跡なのかもしれない。

狂乱の渦から一転、『Shady Lane』→『Type Slowly』という4thのグッドメロディーを2連続でぶつけてくるセトリに悶えた。『Shady Lane』のエレピ?のサウンドが前に出ていて、センチメンタルな雰囲気に包まれて泣ける…。『Type Slowly』は太いベースが空間を満たすのが強く感じられ、ライブで聴いて更に良さが染み込んでくるタイプの曲でめちゃくちゃ良かった。ここから更に『Spit on a Stranger』に繋がるのベスト・オブ・ベストで凄すぎる。

次曲はライブ前に「観たいけどまさかやる訳ないよな~」とかツイートしていた『Fame Throwa』。実は前年のツアーでもやっていたことはあったので全然まさかではなかったのだけど、個人的には予想外で嬉しかった。ネジがぶっ飛んだ展開がしっかりライブで映える。同じ1stからの『Here』も印象深かった。この曲のしっとりとした雰囲気でようやく「マルクマスが自分の前で歌っている」という実感が湧いてきた。残業続きで辛い時期とか、寝る前にベッドでPavementを聴く時間に救われていたことなどを思い出し、ライブを見れていることへの感謝と感動で涙が零れそうになった。

終盤とアンコールに『Fight This Generation』と『Grave Architecture』を忍び込ませているの、メンバーのWowee Zowee愛が迸っている。『Fight This Generation』はゴリゴリのアンサンブルに存分に浸れて良かった。
1部の〆は『Range Life』で盤石。間奏ごとのギタープレイは確かに自分が夢中になったマルクマスのそれで感じ入ってしまった。メンバーが合唱するようなパートが一部あり、その大団円感と円熟味がまた泣けた。ボブの奇声すら優しさを帯びていて、切なげなギターソロとのコントラストが泣ける。泣けるしか言ってないがもう仕方ない。この時点で相当網羅的でボリュミーなセトリに大満足しており、逆に何が残っているっけ?とか考えていた。冷静に考えると全然弾が尽きていないのが彼らの凄さ。

アンコールの『Summer Babe』は今日有数のブチ上がりポイント。会場の「Summer Babe~♪」の大合唱はやっぱり尊く、実質的なフィナーレ感はここだったように思う。公演前もメンバー内での『Terror Twilight』曲の扱いの悪さなどが話題になっていたくらいだったので、そこからの選曲は期待していなかったこともあり、続けて『Measure Leagues』が聴けた瞬間も大感動してしまった。この曲に関しては音源のリッチな装飾が取り払われ、素朴な在り方に変容していたように感じた。ボーカルのニュアンスとしても静かな雰囲気。マルクマスがアルバムに対してOverprodudedという言葉を使っていたり、今やるなら素朴な路線に回帰させたいのかな。そもそも音源のマジックを再現するのが難しい曲ではあると思うけど。『Summer Babe』があまりにもフィナーレ感凄く、こちらは実質ダブルアンコール的に楽しめたので良かった。アンコール5曲目(!)の真のフィナーレは『Stop Breathin』。『Summer Babe』や『Measure Leagues』で終わらせないのが彼らっぽいひねくれというか。

全28曲の大ボリューム。こんなに良いの…?というくらいの聴きたかった曲の網羅率も、バンドとしての現役感も期待以上で大大大満足。

結局ライブ盤も2種買ってしまった

2日目

日替わりでかなりセトリを変えるとのことで、1日目で取りこぼした曲を拾いに当日券で来てしまった。昼の段階でTwitterで「昨日やらなかった曲の中で聴きたいのは?」というツイートがされており、そりゃあ期待してしまう。本当は皆『Carrot Rope』が聴きたいはずなのに(?)、当人達の間での位置づけやこれまでの流れを汲んでか『Carrot Rope』を挙げている人はそこまで多くなかったように思う。こういう時こそ忖度なしで言っていきたい。

目当ての曲は『Date w/ IKEA』『AT&T』『Silence Kid』『Fillmore Jive』 『Carrot Rope』あたり。『You Area Light』『Two State』『Heaven Is a Truck』『Box Elder』あたりを聴けても喜ぶ。来そうなのは直近のPrimaveraでもやっていた『Frontwards』『Trigger Cut』「Father to a Sister of Thought』とかだろうか。

2日目セットリスト

2日目はいきなり『Cut Your Hair』で会場大興奮。バンドメンバーが出てきたくらいでは立っていなかった周囲の人が、ユフフフフフ〜♪で飛び上がるように立ち始めていてめちゃくちゃ興奮した。やっぱり昨日『Grounded』から始まったの絶対おかしいだろ。こうであってくれ。

そこから『Trigger Cut』→『Two States』と1stのキャッチーなカレッジ・ロックが続いて楽しい〜😭 どうしてもライブ後に記憶に残るのは派手なアレンジだったり長尺曲のダイナミクスになりがちだけど、良い曲を良い曲として演奏してくれて、それを目撃して喜ぶことの尊さを改めて確認するような思いだった。続く『Father to a Sister of Thought』まで1日目に無かった曲が続き、ガラッとセトリ変えてくることが実感できてワクワクが止まらなかった。

『Measure Leagues』は昨日より更に没入して聴けた感覚があった。普通にスピーカー前くらい左右に偏った位置だったので、ド真ん中で聴いたことが要因かもしれないし、意識の問題かもしれない。つっかえながら進むつたないギターの運びに感情を揺り動かされる。Go!!の後のパート、明らかに異常なくらいモタった演奏でやっていた気がする。続いての目当ての一つだった『Silence Kid』も予想よりかなりタフな仕上がりで最高だったなぁ。アァ~に繋がるドラムのダイナミクスで泣けてくる。

2日目の眺め

中盤は『Black Out』『Frontwards』『Box Exlder』あたりの渋いながらも人気曲といったラインを網羅していくナイスな時間帯だった。『Conduit For Sale』も盛り上がっていたなぁ。同じく『Serpentine Pad』もこういう破茶滅茶にジャンクな曲の中ではかなり好みなので聴けて嬉しかった。

1日目で若干心残りだった『Grounded』にリベンジの機会が貰えたのも僥倖。今日は完璧に没入でき、終盤のギターの絡みの美しさで涙が出るほど感動した。こういうのって本当に順番とかVJ絡みのコンディションとかも大事なんだなぁ。

少し意外だったのが、今日も『We Dance』は続投。アンセム的なライブの鉄板曲ばかりが続投する中、この曲が生き残ったことに若干ウケつつ、今日もその美しさに感動した。トイピアノ的なピュアなサウンドが琴線に触れてくる。マルクマスの歌い回しもとても柔らかで、それでいてグッと踏み込むダイナミクスもあり、名曲。

2日目のハイライトとして絶対に外せないのが『Type Slowly (extended Ver.)』とでも言うべき代物。後半のパートを伸ばしに伸ばし、宇宙的なスケールまで拡張していくアレンジは1日目とは全然違っていて(だよね?)度肝を抜かれた。1日目は『Shady Lane』との連なりでやったからグッドチューン然とした在り方に感じたし、『Fillmore Jive』や『Fin』で〆る2日目のムードの中に置くとこんなにもタフに進化するのかと感動した。今日の座席が2階席だからなのか、低音が響いて脚にグラグラくる感じも心地よく、昨日も感じたベースの包容感を更に強く味わえてとても良かった。

『Date with IKEA』~!もう一転の曇りもない無敵のグッドメロディーにただただ感動。スコットのボーカルについて、前半のサビなどは歌いづらそうにしているようにも感じたけど、ラスサビは完全にジャストミートしてきてホロリと泣けた。良かったなぁ。

第一部の〆はまさかまさかの念願叶って『Fillmore Jive』!この曲のどこで感動したかなんて到底語り尽くせない。歌メロの実直な響きからして心を鷲掴みにされる。繰り返されるギターソロの円熟味とエモーショナルな展開に拳を突き上げずにはいられない。マルクマスのギタープレイは余裕で達人芸の域も達している。『Type Slowly』といい、ボブが太鼓叩いてシリアスにダイナミックなプレイに徹する曲は例外なく深い感動をくれる。第一部終盤の『Type Slowly』→『Date with IKEA』→『Unfair』→『Fillmore Jive』という流れあまりにも充実したバンドすぎる。


アンコールで披露された『Debris Slide』、正直覚えていなかったけど、驚くほどキャッチーで良い曲だな。今回のライブでここまで『Wasting』から選曲があるとは思わなかったし、ちゃんと掘っていきたい。2日目のグランドフィナーレはFin。1日目に引き続いて、晴れやかな大団円というよりかはクールなダイナミクスを叩きつけて終わる方が好きなのだろうか。2日目は完全に「ギターソロの日」としてカラーが統一されていた。

軽々しくは言いたくないけど、人生で観た単独公演では間違いなくトップの満足感。良くない瞬間がない。5枚しかスタジオアルバム出していないのに、2日で40曲やった上でまだアレコレ残っている感覚になるのマジで凄い。やはり自分にとって最も大事で好きなバンドだと再確認した。

余談

ちょくちょくMC中に「AT&T!!」と繰り返し絶叫する亡霊がいて面白かった。私も同じ気持ちです。次は『Carrot Rope』をやってくれ。

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