たったそれだけ20

【詩】 たったそれだけ


母親が眠る ベットの横で

赤子は 握っていた手を開いた

生まれたときから ずっと握っていた その手を開いた


赤子が開いた 手のひらから

何かが立ちのぼって 空気の中へ溶けていった

暖かいようで 懐かしいような 何かが溶けていった


たった それだけ

たった それだけのこと


たった それだけのことで

何かを掴む自由を 赤子は 手に入れたんだ




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