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Virtual(バーチャル)の語源を考えてみた

「仮想(バーチャル)」という言葉は、ラテン語で「潜在的能力」や「力」を表す「ヴィルトゥス」に由来し、それが何らかの効力や機能を発揮したり、知覚できたりした時に現実化するものをいう。ドゥルーズによれば、仮想の現実化は、可能性の実現とは異なるということだ。

仮想の創造
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Virtual(バーチャル)という言葉は「実質的、事実上」という意味合いで用いられましたが、現代では、物理的ではなくコンピューターやデジタル空間上に存在する、あるいはそれに関することを指す言葉として広く用いられています。

英語の "virtual" は、17世紀にラテン語の "virtus" から派生した "virtuous"(美徳的な、優れた)という形容詞が、より一般的な意味で用いられるようになったことから発展した言葉です。

"Virtual"の語源は、ラテン語の "virtus"(バーチュース)にさかのぼります。"virtus"は、「力」「能力」「美徳」「賢さ」などを意味する語で、英語では「virtue」として翻訳されます。古代ローマ文化においては、個人の徳(美徳)や能力が重んじられ、それが社会の発展や安定につながるとされていました。"virtus"は、ローマ人の価値観において非常に重要な概念であり、ローマの将軍や政治家、哲学者などが、この言葉を自らの行動や思考に重ね合わせることが多かったとされています。また、ローマ帝国が衰退する時期には、"virtus"の理念を再評価しようとする動きが起こり、哲学者たちがその思想を探求しました。現代の英語においても、"virtue"という言葉が用いられており、美徳的な行動や品性、高潔な価値観を示す言葉として広く使われています。

中期英語 vertual(実質的な)⇒ virtus(精神的強さ)+-alis(~の)⇒ vir(一人前の男)+-tus(抽象名詞語尾)⇒ wiHros(戦士)が語源。「物理的な効力 [virtue] によって本質的に存在すること」がこの単語のコアの語源。virtue(効力)と同じ語源をもつ。

語源英和辞典

今では"Virtual"は、現実に存在しない、物理的ではなくコンピューター上やデジタル空間上で存在する、あるいはそれに関することを指す形容詞として使われています。つまり、仮想的、想像上の、仮想現実、などと訳されて使われています。
例えば、バーチャルリアリティ(Virtual Reality)は、物理的に存在しない、人工的に作り出された仮想世界を指します。また、仮想通貨(Virtual Currency)は、物理的に存在しない電子的な通貨を指します。
"Virtual"は、コンピューター技術やデジタル技術が進化するにつれ、より広範な意味で用いられるようになりました。例えば、仮想ネットワーク(Virtual Network)は、物理的なネットワークとは異なり、ソフトウェアによって作られた仮想的なネットワークを指します。また、仮想化技術(Virtualization)は、物理的なハードウェアを仮想的な環境に置き換えることで、より効率的にコンピューターシステムを管理する技術を指します。
"Virtual"は、物理的な存在とは異なる、新たな領域や概念を示唆する言葉として、現代のコンピューターやデジタル技術の世界でよく用いられます。

近年、情報技術の進歩により、仮想環境が現実に近づいてきたことにより、「仮想」という概念に大きな関心が集まっています。可能性の実現とは異なるとされ、仮想の現実化には「終わり」というものがないものとされています。仮想は、無限の可能性をはらみ、現実に挑戦し、新しい現実世界を創造する技術です。仮想とは、形や機能、場所といった従来の意味以上に広い意味があり、現実という概念がこれまでの伝統的な枠を越えて、思いもよらなかった方向に広がっていく可能性があります。

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