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2021年 初めて遊んだボードゲームで面白かったタイトル ベスト10

新年明けましておめでとうございます。ボードゲームデザイナーの山田空太です。

毎年恒例になっていますが、”昨年初めて遊んで面白かったボードゲームのタイトル”のベスト10です。

今回は、ゲームデザインの観点から「このゲームのここがすばらしい」というところを中心に書きました。残念ながら重量級はほとんど遊べておらず、ラセルダ作品や『パックスパミール』などの話題作は未プレイです。

*ベスト10の中の順位はつけていません。順不同です。

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おじゃまっシー (Block Ness/ テンデイズゲームズ, Blue Orange, 2021)

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自分のネッシーの体を長くしていくゲーム。『ブロックス』のように、互いに邪魔をしながら自分の駒を置ききったプレイヤーの勝ち。相手の胴体を飛び越えて置けるのがポイント。

見た目が良いし、面白いのはもちろんだけど、少ないルール量で成立させているところが良い。コンポーネントがルールの一部を表現しているからそれが可能になる。タイブレークを頭の高さとしたところまで完璧と思います。

プロジェクトL (Senators / Boardcubator s.r.o., 2020)

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『パズルゲーム×ハンドマネジメントという新しい掛け合わせ。

ピースを置いてパズルを完成させていく。プレイヤーは自分のピースを増やしたり、大きいものと交換できる。パズルを完成させるまではピースは返ってこないけれど、効率よくパズルを完成させるためには複数のパズルを同時進行で行っていかないといけないので、パズルシートとパズルピース双方のマネジメントが求められる。同時に複数のピースを置けるマスターアクションが心地よい。

終了条件周りがあやふやなところと、パズルシートの構成をもっと練れそうなところが惜しい。もう少しブラッシュアップすればSDJにも届いたかもしれないと思うので、やはり惜しいと思う。

アルナックの失われし遺跡 (Lost Ruins of Arnak / Czech Games Edition, 2020)

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このゲームの素晴らしいところは、とにかく丁寧にディベロップされているところ。相当数テストプレイをしたと思う。良質なゲーム。

このゲームはディベロップメントがゲームのメカニクスのデザインよりも優位にある。ゲームのメカニクスは、デッキビルディングもワーカープレイスメントも中途半端である。フリーアクションと通常のアクションが混在しているところも決して綺麗とは言えない。しかし、いざプレイしてみるとスムーズに動いている。構成は結構ぐちゃぐちゃなんだけど、遊ぶとそれを感じない。

デザイナーのエゴがないとでも言おうか。プレイヤーのことを考えられているゲームなのだ。これからこういうゲームが増えるような気もするので、一歩先にいるゲームだ思う。

グレートプレインズ (Great Plains / Lookout GmbH, 2021)

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2人専用の陣取りゲーム。『マヤ』のデザイナーの2人の作品である。『マヤ』もまとめ方がうまかったが、今作でも特殊効果の使い方が上手く、陣取りの部分以外にも駆け引きがある。まとまっている良作。

サーオボロス (SUROBORUOS / 倦怠期, 2021)

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2021秋ゲムマの話題作。国産。競りの宣言値に意味を持たせるというところが新しい。プレイヤー間でお金をやり取りするゼロサムの競りなんだけれど、競り値の宣言で、リソースが生みだされる・・・!

競り落とさなくても、競り値を宣言するだけでカードが完成していくところは、FUNがある!「宣言させないよ」と前プレイヤーが競り値を吊り上げるという牽制もできる。星のカードも、紫の特殊カードも効いています。

フルスロットル (Full Throttle! / 2-F Spiele, 2021)

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フリーゼの新作。このゲームの仕組みは、賭けでもレースゲームでもなくて株ゲームである。株価の上がり下がりをレースに見立てることで、視覚的に分かりやすく楽しくしている。つまり、見せ方を変えることで新しいゲームを生んでいるのだ。

プラス2マスや団子状態によるハプニングがゲームに起伏を与えていて、単調にはさせない。最初に山札に仕込んだカードがゲーム終盤の展開を左右する。起承転結がきちんとあるのだ。

フリーゼの技術を感じる作品。

美術品泥棒 (Art Robbery / Helvetiq, 2021)

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クニツィアの新作。手札のカードを出して場の美術品チップを取り合う。直接攻撃の要素が強めのゲームなので、プレイヤーを選ぶが、ハマるとすごく面白い。

基本は大きな数字を集める。で攻撃を防いだり、アリバイが最小だと負けになったりで揺らぎ。プレイヤー間で取り合いが発生するゲームは、ダラダラと間延びしがちになってしまう。しかし、本作は違う。ルールの数を増やすのではなく、カード構成の妙で収束へ向かわせるようにデザインしている。クニツィアはゲームデザインの引き出しの数が飛び抜けて多い。

マハラジャ ( Maharaja/ Cranio Creations, 2021)

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クラマー&キースリングの『マハラジャ』をルチアーニがリメイクした新版。年末にようやく遊んだ。ガチガチのエリアマジョリティに加えて、他プレイヤーがどのアクションを選択するかの読み合いも加わって濃いゲーム。

ルチアーニのゲームはどれも好き。細かなところにデザイナーの意思を感じるし、1作毎に狙いがある。次は『ティカル』とか、『将軍』とか『コンテナ』とか、現代風にリメイクしてくれないかなと思います。

ミニゴルフデザイナー ( Minigolf Designer / Thematic Games, 2020)

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オリジナルのゴルフ場を作る箱庭ゲーム。箱を開けたとき、タイルの量に圧倒される!

『キングドミノ』を長尺に引き伸ばしたようなゲームなんだけども、9コースのゴルフコースを計画書の枠内に完成させないといけないので、より計画性が求められる。良い意味でバカゲーだと思うが、やり切ったところに作り手の情熱が感じられるのだ。

フラフープ! ( Hula-Hoo!/ Drei Hasen in der Abendsonne, 2021)

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ジャック・ゼメ作。いかにもな正統派ドイツゲーム。ゴーアウト系だが、脱落が頻繁に起こる。

カードを出したプレイヤーが、次のプレイヤーが出すカードの数字を「より上か、より下か」の指定をする。出せるカードがないと脱落。例えば、を出した上で、次のカードをさらに下という鬼指令が可能なのだ。同数のカードや7のジョーカーで回避可能であるが、それでも手札運は強め。何度か遊ぶうちに奥深さも感じられる。強い制限のルールを入れてもサラッとした仕上がり、流石の手腕。

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以上の10作です。

それでは皆様良い1年をお過ごしください!今年もよろしくお願い申し上げます。

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