おねだりパティスリー備忘録



なんかやっちゃった感

多分この大会このゲームでしか通用しないロジックなので思考の整理と供養のために纏めて公開しようと思う。

状況と目標

  1. メビウスゲームズ30周年記念大会。

  2. 第1ラウンド終了時、チームは6種目終えて2位ー2位ー4位ー4位ー11位ー19位で180点とトップ争い中。

  3. チームからのオーダー「おねだりパティスリーで10位以内に入ってきてくれ」

目標を元に考慮した特殊条件と必要事項

  1. 総合順位は予選2ゲームでトータル何点獲得したかのウエイトが高い(卓における順位に意味がない)
    →場を盛り上げて、皆がおねだりしあい高い得点を取り合う空気を醸成する必要がある。完全な脱落者を出してはいけない。目標は10位なので予選卓で1位にこだわる必要もない。

  2. おねだりパティスリーをここで初めて遊ぶプレイヤー、ルールをうる覚えのプレイヤーが卓に1人は絶対にいそう(ゲーム開始前のチームメイトからのフィードバック。めちゃくちゃ大きかったです
    →最後までゲームに参加してもらうために、ガードレールを用意する必要がある。

  3. つかないといけない嘘(後述)をどこでつくか。
    →軽度の嘘は嘘と受け取られない努力をする必要がある。

  4. これは”チーム戦である”

2つの嘘

  1. 不作為の嘘
    これは本当はケーキを作ることができる自信があるけれども、あえて何もやらないことで皆と一緒に困った振りをして材料を集め続ける嘘。ある意味遅延。
    全員で3枚、4枚とカードを引くことで皆の手札を増やし、卓トータルでの得点を上振れさせる可能性を高めるためのもの。

  2. 内心の嘘
    これは前項4.の他人がケーキを作るときに本人に手札を出させるためのもの。本当は同じトッピングを複数提供できるけどあえて数を減らして出す。
    この時、「いや、楽しようとしてんじゃないよ。汗かけ!」と思ってても「ごめんね、自分でも作りたいから1枚だけ協力するね!」等とポジティブな言葉で表現する。

ブルーベリーが無くて皆で一緒に困るの図。
ただし、手元にあるので本当はあまり困ってはいない。

おねだりパティスリーのゲームとしてのポイント

  1. 1手のウエイトがめちゃくちゃでかい。
    ケーキを作ろうとして失敗した時のディスアドバンテージが大きすぎるので、絶対に成功する確信ができるまでチャレンジしてはダメ。多少遅れても手札が多いことで、おねだりしてもらいやすくなるので取り返しやすい。

  2. 場札に同種の材料4枚あるときに2枚取れるアクションがめちゃくちゃ強い。
    1手番節約できるし、他のプレイヤーに頼りになる人!っていう意識づけができる(本当に強いプレイヤーはカウンティングするんだろうけど、このゲームにそんなプレイヤーが4人揃う方が稀)。ただし、その材料を3つ使うケーキが2枚とも作られている場面だけは手札で腐るので無視していい。

  3. ケーキを作るときは基本的におねだりして他人に一杯手札を使ってもらう。
    理想の得点バランスは4人プレイなら5-4-3-0です。得点差無いように見えるが、手札の使用数では0-4-3-0になるのでその後場をコントロールできる。
    自分の手札でケーキを作るのはゲームのエンドトリガーになる最後の1枚だけ。

  4. 3.の裏返しになるが、おねだりされた際はケーキを作る人に手札2枚、できれば3枚使わせるようにする。おねだりされたらフレンドリーに進んで協力していくべきだが、協力の仕方はある。

  5. このゲーム真面目にやると気が狂いそうになるので適切なペルソナを用意しましょう。

当日の準備

第1ラウンド終了後メンタルを整えるためにザ・リーサルウエポンズの「80年代アクションスター」を聴いて全てを打ち倒す気持ちを整える。
その後、「自分は不思議の国のアリスの登場人物、うさぎだ!みんなで楽しく頑張ろうね!」(ご案内するのはマッドティーパーティー!)と言い聞かせて準備完了。ペルソナの仕上がり具合を見るために目の間にいた別チームのちがさんに「僕は不思議の国のアリスの登場人物だよ!」とウザ絡みを仕掛けたら、そのチームの人に「あれ?不思議の国のアリスの登場人物って割と狂気的なキャラが多かったような…」と早速首を傾げられ、(君のような勘の良い子は嫌いだよ…)となってた。

予選卓1戦目

オープニングトークでセットアップをここどうでしたっけ?と確認するなどあまり慣れてないです感を出そうとする。僕は兎なのでよくわかんないや。

場を盛り上げて、皆がおねだりしあい高い得点を取り合う空気を醸成する。

  • 声は明るく積極的に相手の行動を褒める(カードを取られたら「あ、そのカードメッチャいいですよね!」ケーキを作られたら「おー!おめでとうございます!」「良いなあ!次は手伝わせてくださいね!」)。

  • おねだりされたら絶対に断らない。むしろ「勿論喜んで出しちゃう!」等笑顔で気前よくカードをオープンする。

  • おねだりしあう空気を作りたいので、自分の秘匿目標は完全に捨てて意識しない。むしろ自分の秘匿目標を出されそうでも積極的におねだりしてカードを出してもらう。(「僕、欲張りなんでこのカードもお願いしちゃっても良いですか?」)

  • 場のカードの補充などは積極的に自分から手をあげて行う。

ガードレールを用意する必要がある。

  • カードを取るときになぜそのカードか理由付きで明言し、このゲームの思考法を例示する。例えば「今場のケーキカードにマンゴーが6つあるからマンゴー取りますね」とか「まだイチゴを3つ使うケーキ1枚も出てきてないから将来のためにイチゴを準備しておこう」とか。副次作用として経験者にもそのカードを持っていることを意識づけしておねだり先として覚えてもらう。

  • ケーキを作るときにはおねだりするものだと見せる。なので多少手札を使っても最初にケーキを作っておねだりを見せる。

  • おねだりをされたら気前よく。ただし、ハンドアドバンテージの概念には触れず、自分はゆっくりと提供量を調節していく。

勝ちに全く拘ってなかったので楽しく遊んでたら22点で1位。
他の3人が20点-20点−12点だったので、12点の人に着目する。

予選卓2戦目

おねだりパティスリーは96点(+各3点)を皆でシェアするゲームなので、どんなに頑張っても凹む人が出てくる怖いゲームである。1戦目に加えて以下のルールが追加されると考えた。

これは”チーム戦である”

  • 今回のメビウス大会はチーム戦なので、皆チームへの責任という十字架を実は背負っている。よって負けるにしても何とか少しでも点数を上げないとという思考になりやすいため、通常のおねだりパティスリーよりも最下位が交渉を受けてくれやすい。
    →おねだりをする時はなるべく最下位の人から持ちかける。

  • 最下位の人がおねだりを受けてくれると2位や3位の人も、下との点数が詰まっているプレッシャー+自分がハブられたくないのでおねだりを受けざるを得なくなる。
    →おねだりを持ちかけた者勝ちになる。

1戦目苦戦したプレイヤーから「ダメなのは分かっているけど、おねだりを受けざるを得ない」という言葉を引き出した瞬間、策が成ったことを確信しました。
後は手札を常に他の人より1枚多く持つように気をつけてプレイしたら
結局卓全体がインフレして25点で1位。予選を全体トップで通過。
といっても2位の人が全体5位-8位、3位の人が全体9位-12位の卓に進まれたみたいだったので絶対に10位以内という当初の目的からするとご褒美みたいな感じだった。

決勝卓

ここからは通常のおねだりパティスリーに戻るため皆で点数を稼ぐのでは無く、終わった時に1点でも優っていたら良いという思考に切り替える。
オープニングトークで「予選1位の方ですよね?」とかベクトルを向けられたので「え?怖い!ヘイト管理とかバリバリやられる方なんですね!ガチの方じゃないですか!皆で楽しくやりましょうよ!」「普段からそんなバチバチで遊ばれる方なんですか!怖いなあ」と戯けて打ち消す。さらに審判役の店員さんから「このゲーム、元々は腹黒パティスリーって言うんですよお。皆さんの中から腹黒王が決まりますね!」などと煽りが入り胃がきりきりする。
俺たちのおねパティが帰ってきたな!

おねだりパティスリーのゲームとしてのポイント

  • 結論みんなと協力するのが強いゲームなので孤立することだけは避ける立ち回りになる。

  • やっぱり武器になるのは明るさと笑顔。ただし、予選とは違って点数の底上げは必要なくなるので自分からケーキを作る提案を序盤にする頻度を増やす。序盤だとまだ趨勢が見えていないので、おねだりでたくさんカードを出してもらいやすい。

  • 自分が何を考えているかはっきり明言してアピールする。ただし、嘘はつかないが喋っていない大事なことを作ることは意識する。

決勝卓の反省点

  • 1戦目で決着して2戦目はないと勘違いしてしまったため、1戦目終了時点で24-22-22-15で飛び抜けてしまいかなりのヘイトを買った。4位の人へ積極的に差し込まないと危ういところだった。2戦目は20-22-20-24で最下位。

  • 2戦目の最後、ケーキを作るために2位目の人に「この順位で手を打たない?」の水向けでおねだりしたら断られて最後の最後に同点に追いつかれて際どい勝負にしてしまった。

と言うわけで最後は2戦合計44−44−42−39。作ったケーキの差でタイブレイク勝ちと言う激戦にしてしまったけど勝利を得たのであった。最後の最後に不思議の国の住人から心優しいいつものさくらに戻ったんだな。
めでたしめでたし。


こいつは人の心を怪物に変える悪魔のゲーム。
二度と手に取ることはないであろう…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?