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星天使ステラキラの天使軍団

 天使は天界から、大魔王サタニズマグッジョブに支配された、
世界を覗きこむ、やがて始まる天界と大魔王が支配する地上界との、
大戦を前に、数多くの天使たちが、用意を務める。
 星天使ステラキラもまた、地上から離れた宇宙に属する天界より、
自ら、惑星並のサイズを持つ身の上で、その両翼に包み込んだ、
数々の天使達を解き放つ、さて、その天使達とは?

1、天使ミサリールは明るく輝く

星天使ステラキラは、名を呼んだ。「ミサリール、ミサリールよ」

 現れた天使は春の陽気にか薄着で、光輪を頭頂部に頂き、
光輝く翼をはためかせながら、答える。
「はい、おおせのままに」

 天界にあって、星と同等の星天使ステラキラからでは、
どうしても地上界が大魔王サタニズマグッジョブに荒らされる様子を、
うかがい知ることが出来ない、そうあってはまず、
手足となって働く天使にと指名したのかミサリールであった。
 ミサリールは早速、遠見眼鏡を使って、
地上の大魔王の動きを見定める。

「星天使ステラキラさま、どうやら、
 いまだ、大魔王は地上界全体を把握していないもよう、
 いま、天使に召集を掛ければ、充分に、
 大魔王が世界を破壊する前に戦えるでしょう」

 星天使ステラキラは天使ミサリールより話を訊いて、
さっそく数多の天使達をその元へ集結させる準備を、

「天使達よ、神の使い達よ、今ここに集え―」 

 温かな光とともに、人を守護するためにいる、
数多くの天使達が、光を放ちながらはせ参じる。


2、森天使アネラハー、森林をながめるに

「森天使、アネラハー、地上界の森林の魔界種の浸食率を見定め、
 星天使ステラキラ様にご報告をしようとおもいます」

 駆けつけた天使は真紅の紙を持つ、森を崇拝するものを助ける天使、
森天使アネラハーである。
 数多くの山の幸を作り出す森林、そこに捧げた捧げものが、
無事に神々の元に還元されるように、昇華する祈りをささげるのが、
森天使アネラハーの努めであり、皆を信仰深くさせる役割を持っている。
 常に人の周りに漂い、森林の安らぎを与えてくれるとされ、
星天使ステラキラも、彼女には信頼を置いている。

「有難う森天使アネラハー、森が魔界の樹木に襲われている様、
 確かに見知った、このまま捨て置くわけにはいかないが、
 この世界が二転三転転がって、進んでいくのを救う天使達も、
 今また、ここに集う事だろう」

 森天使アネラハーは瞳を軽く閉じ、やがて、軽く会釈すると、
他の天使達が続々と集う光を見て、

「我らの勝利の為、大魔王サタニズマグッジョブに挑む猛者たちよ」

 天使ミサリールもまた、飛来する光を眺め、
星天使ステラキラの傍で、この地上が清浄化する役割を、
自ら為せる喜びに満ち満ちていた。


3、四枚羽の方天使ナベラリア、地上界を平たく見て

「四枚羽の方天使ナベラリア、いまここにはせ参じました」
と、いつのまにか天上から降り立った、緑髪を持ち、
光といっても過言ではない四枚の羽根を器用に動かして飛ぶ、
天使の中でも二重光輪の格が高い方天使である。

「方天使ナベラリア、よく来てくれました、
 して、地上界はいかようでしたか?」

既に、方天使ナベラリアは自らが担当する地上界四方位を、
全て、旅をし、そこで出会った大魔王のしもべを何体か倒したらしい、
彼らの強さ、そして大魔王サタニズマグッジョブの本気度を、
かくも確かに感じ取り、その敵をいかように倒すか、
考えも在る。

「大魔王サタニズマグッジョブはいまだ力を取り戻しておらず、
 地上界に残された人類の信仰心だけでも、充分に、
 かの大魔王を抑えつけることが出来ているもようです、
 現に、大魔王のしもべは私の相手として充分でしたが、
 ごらんのように無事に辿りつけたわけですから」

星天使ステラキラすかさず、

「おお、おお、ご苦労であった、神々もお喜びだろう、
 これは、我々に勝機があると分かる戦いぶりであった」

方天使ナベラリアが発する、光の中に、戦いの履歴をみた、
他の天使、森天使アネラハー、天使ミサリール、も、
方天使、ナベラリアを讃えた、と。

「ふふふ」


4、六枚羽の重天使アワラエル、笑みを湛えて世界を

「六枚羽の天使アワラエル! 来ていたのですか!?」
星天使ステラキラもさすがに、六枚羽三重光輪の天使に対しては、
敬意を払わざるを得ない、何故なら、かの重天使は、
重力を操る、星そのものを介さずにそのような力を発するのだ。

「なんという、なんという吉報でしょうか、既にアワラエルまで!」

 星天使ステラキラは驚きを隠せない、アワラエルが現れたということは、
すなわち、大魔王の軍勢の大半がその重力で消し飛んだという事に近い、
天使達は人の眼に、そして天使達が双方を確認した時には、
役目を為しているというのが常であったため、
かの六枚羽が光とともに示す、大魔王サタニズマグッジョブとの死闘は、
重力を意のままに発した、アワラエルの圧勝だった、のだが、

「ふふふ、ただ、相手さんも、重力を操るみたいだわ」

「なんと!」

 それは、大魔王サタニズマグッジョブが、重力を支配する存在である、
ということに相違なく、それは宇宙さえも支配できる力を持つという事。
 星と同等のサイズを持つ星天使ステラキラにとってはそれは危険であり、
なによりも畏れる事であった。

「もはや一刻の猶予もありませんね! 紅天使!
 紅天使ヤーマオーイット!」


5、紅天使ヤーマオーイット、この世界を推し測る

「計算によると、大魔王軍は今年中に宇宙へ進出する推力を得ます」
星天使ステラキラがその名を唱えたと同時に紅天使ヤーマイオーイット。

「そんな」
 天使ミサリールは落胆していた、
紅天使ヤーマオーイットが必要になる戦いとはすなわち、
ヤーマオーイットが関する紅、数多くの血が流れるということ、
天使の血が流れれば、地上界の海は赤く染まるだろう、
それだけの戦いが予測されたという事だ。

 「ついに、くるものがきたということですか」
 「まったく、次から次に、厄介な相手だ」
 森天使アネラハー、方天使ナベラリアは、
自らの領分にも多く大魔王の支配が及ぶのを感じ取って、
紅天使ヤーマオーイットと同期し、その計算を光輪より受けて、
いかにすれば、大魔王サタニズマグッジョブを攻略できるか考えた。

「ふふふ、久々に骨の折れる大戦になりそうじゃないか」

 重天使アワラエル、余裕綽々とはいかないが、
かの戦いが激しくなることを悟って、紅天使が計算を続ける、
その内に、星天使ステラキラに振り返って、

「となれば、当然、他種族混合の天使軍団となるだろう?」

「ええ、そうさせていただきます! 来ますね!」


6、単眼天使モノアイレア、色づく世界に

「単眼天使モノアイレア、単眼世界線よりこの次元に到達しました」

 単眼に青い肌を持つモノアイクロプスの特徴を持つかの存在が、
ここに至ったとあれば、戦いが各次元方位に及ぶものとなったのは確実。

「色を見れば世界が分かります、赤が大魔王を支配しています」

「単眼天使モノアイレア、やはり貴方の次元にも干渉を、
 及ぼすほどとなれば、当然の事ですね、戦いは極まるか」

 星天使ステラキラは、それぞれの天使にモノアイレアが見てとった、
この世界の色を拡散させ、響かせ、また下位の天使にもそれを、
伝えると、今度の戦が、大規模なものになることを、
天使軍団に改めて伝えた。

「誰一人として、欠けては勝利できないものでしょう、
 それぞれの天使が死力を尽くすのです、む、これは?!」


7、鬼天使ゴブリエル、自らの出自に想い馳せる

「ま、魔王の尖兵!?」
 明らかに他の天使とは違った、存在が現れた。
「これは! 失敬な! 鬼天使ゴブリエル! 今参った!」

 天使といえど、ゴブリンにも天使は存在する。それがゴブリエルである。

「ゴブリンの天使が何用? ここは星天使ステラキラ様の陣営よ」

 天使ミサリールは、依然として敵対心を隠さないが、

「天使軍団の皆様方、魔族も大魔王サタニズマグッジョブが元、
 一枚岩というわけではありませぬ、かくいう大魔王の瘴気に、
 当てられて暴走する魔物も多くございますが、
 何よりも、大魔王自ら魔族を粛清している様、
 わたくし、ゴブリエルめも許せないとはせ参じたわけです」

 ゴブリエルにもゴブリエルなりに許せない事情があり、
大魔王サタニズマグッジョブに対抗する勢力は、
一人でも多いほうが良いという事で、天使軍団に彼も加入する事になった。

「この鬼天使ゴブリエル、星天使ステラキラ様方に認められるよう、
 働いてみせまする」

 実際、敵陣営のことを深く知るゴブリエルの知識は、
役に立つものだった。 大魔王サタニズマグッジョブが為している、
数々の作戦が意識に流れ込んでくる、これで戦いも大丈夫そうだ。

と、


8、剣天使スパリエ、鋭き剣を

「そこな、ゴブリン、剣の錆びにされたいか?」
「剣天使スパリエ、よせ、彼はゴブリンではない」
いよいよもって武装した天使、剣天使スパリエまで登場した。

「なんと、そうでしたか、ゴブリンにもかような事情が」

「ゴブリンではない鬼天使ゴブリエルだ、そう呼んでくれ」

「見てくれがゴブリンなのだから仕様が無いのですけどね」
 そう天使ミサリールがつぶやく、

 現状はどうなのだろうか?
続々と集う天使達の実力は確かなもの、
そして、それにつづく下級天使に聖霊も溢れて、
戦いは継続可能なものになっているからには、
この先もっと連戦をしていく中で、
天使の血が流れると紅天使ヤーマオーイットが計算した通り、
戦いに嵐が吹き荒れるだろうか?
 まだ未知数の大魔王サタニズマグッジョブとの戦い、
準備ばかりが進んで行っても。


9、槍天使ナーサニクル、強く槍を手繰る

「なあに、この槍天使ナーサニクルに掛かれば、一網打尽よ!」
続々と詰め寄せる猛者たち、戦いは有利に進むだろう、
きっと勝利を果たすだろう、槍天使ナーサニクルも活躍するだろう。

「このナーサニクルは、かつての魔王たちとの戦いでも、
 いの一番槍の手柄を上げた、戦功確かな戦士で天使!
 他に例のない戦いをみせようぞ!」

「おお、ナーサニクル! たのもしいな、
 私の剣とお前の槍なら、この戦、勝ったも同然だな」

 剣天使スパリエと意気投合する。
そもそもなんで、大魔王と天使が戦わなければならないのか、
そこに疑いが生じないあたり、神々というものは、
天使をギミックとしてしか存在させないつもりが強いらしく、
この戦いに少しでも頭脳が加わって手心が入ったなら、
あまりにもシステマチックに動く天使は簡単に攻略されるだろう。
 ということは割とメタな発言だが、
当然、星天使ステラキラも知らないし、神々の思惑も測り知れない、
もしかして大魔王サタニズマグッジョブ大勝利なのでは?


10、斧天使マッストラバー、全身で敵を感じる

「おお、斧天使マッストラバー!」
星天使ステラキラの前に新たに現れた天使は、
斧天使マッストラバー、全身で敵を感じてきた存在だ。

 どのように? 敵を感じたかって?
説明すると簡単だ、敵対心を感じたら斧を振り下ろす、
それで相手は死ぬ、敵だった奴は大概それでたおしてきた。
 天使としてはあんまり褒められたことではないかもしれないが、
どのみち成仏する相手であるし、神々の元に魂を還元させるためにも、
それは手っ取り早い手段だったのであろう、まあ、我慢してくれ、
暑苦しいやつなのだ。

「このぉ! マッストラバー! 敵をぉ! 前にしてぇ!
 決してぇ! ひけをぉ! 取ることはぁ! ナイィ!」

 その逞しさに大概の天使は感嘆符をつけて、

「さすがだわ!」 「沢山たおしたのだね!」
「なんと一番槍を逃したか!」 「その斧の調子ではそうだろう!」

などと、言うが、あまり感心したものではない、
正直、神々の意向など天使には分かるものではなく、
一人で勝手に盛り上がってるのが天使の悪い特徴である。
 どうあっても神々と人との通信手段、ネットの一種に過ぎないのに、
それが高く持て囃される形になっているのに、危険を感じてない、
そう、どうあがいても天使は媒体にすぎない、
人がコミュニケーションを円滑に送るための媒体だ。



11、速天使ナーイヤーハラネ、地上界駆け巡る

「速天使ナーイヤーハラネ、地上を駆け巡ってきたわ!」
かの天使こそ、天使ネットワークの最たるもの、
すべてのものを速やかに救済すべく神々が張り巡らさせた、
開かれた世界を超スピードで駆け抜けるために存在する天使だ。

「あああ、これで、星天使軍団は揃ったも同然、
 我らの勝利は目前だ、地上の様子がまじまじわかるぞ」

ナーイヤーハラネの能力は地上を経巡る衛星の様に、
全ての情報を察知し、その情報から力点を見定めて、
戦いのヒントを確実に蓄積する事、
 すなわち大魔王軍の全容が知れたも同然なのだ、
それに付け加え、鬼天使ゴブリエルの内部リークなどもあって、
もはや大魔王軍のことを知らないことは無いのだが、

 何か邪悪なパワーが溢れかえる、これは一体?


12、悪魔天使サエラカエル、他の天使を凌駕する

「あ、悪魔天使サエラカエル!」
星天使ステラキラは怯えた、まさか悪魔天使の名を冠し、
赤き六枚羽を持つサエラカエルが現れるとは思ってもみなかったのだ、
その存在、確実に一角抜きん出ていて、誰もかなわない、


「我が名は悪魔天使サエラカエル、
 既に大魔王の軍は侵攻不可能にまで打撃を与えた、
 かの大魔王サタニズマグッジョブさえも我が魔力で、
 身動きの取れぬ状態にある、勝敗は喫した」

「そ、そんな、それでは我らが集った意味は?」
天使ミサリールは悪魔天使サエラカエルを前に、
その意味の深さが計り知れない、天使の血が流れるとされた、
この世界の話が、どうしてサエラカエルに変えられてしまったのか?
紅天使の計測にも弾かれなかったイレギュラーが、
この世界の休息な変化が起きたことを表わしていた。

「既に、大魔王サタニズマグッジョブは異世界へ飛ぼうとしている、
 天使の支配の無い、神々の管轄外に目を向けている、
 星天使ステラキラよ、出遅れたな」

 サエラカエルは一定の話しぶりで、なんとも言えない、
かの存在は何が目的として、話しているのか計り知れない、
我々にとっても大きな謎だろう。


おわりに

「私は星天使ステラキラ、地上において大魔王サタニズマグッジョブの、
 存在が消失したことを紅天使と速天使より伺い、
 今回の軍団結成の顔見世が、完全に悪魔天使サエラカエルにより、
 無に帰したことをここに報告する、神々よ、おお!」

星天使ステラキラと悪魔天使サエラカエルは話し合った。

「サエラカエル、貴方は、勝利を確実とした天使、
 なれど悪魔、どちらにも堕ちぬ中立の存在、
 光輪でなく闇の輪を持ったあなたが、助けてくれたことは、
 本当に嬉しく思うが、大魔王サタニズマグッジョブは、
 逃してしまった、異世界転生を果たしたかもしれない、
 我々は次元干渉の観点から単眼天使モノアイレアの追及と、
 その計算を紅天使にさせて、異世界に介入するだろう」

「ステラキラ、貴方ほどの巨大な惑星存在が、他の、
 世界へ侵攻したとなれば、それは次元歪曲だけではすまない、
 このサエラカエルがかわりに、行って世界をすくってみせよう、
 なによりも私には力がある、
 サタニズマグッジョブの先の事も私に一任してくれ、
 何より私には天界に居場所が無い、
 中立として、大魔王のいく先を見守る役目は私が適任だ」

「おお、おお、サエラカエル、
 そうまでいうなら行くがよい、
 果てしない大魔王の旅路を追うために、
 私はここでいつまでも待っている、
 あなたの行く末に幸多からんことを」

 こうして、サタニズマグッジョブは登場しないまま、
その名前を残して天界に轟くなを刻んだ、
数多くの天使達の名が存在したが、
皆覚えてくれただろうか?

1星天使ステラキラ
2天使ミサリール
3森天使アネラハー
4四枚羽の方天使ナベラリア
5六枚羽の重天使アワラエル
6紅天使ヤーマオーイット
7単眼天使モノアイレア
8鬼天使ゴブリエル
9剣天使スパリエ
10槍天使ナーサニクル
11斧天使マッストラバー
12速天使ナーイヤーハラネ
13悪魔天使サエラカエル

 本当に多くの天使を描いた。
私は誇りに思う、
私の周りを飛び回るかの天使のことを、
少しでもつたえられたことを。


おしまい

いただけるなら、どこまでもおともしますとも!