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「幻日のヨハネ -The Story of the Sound of Heart-」で幻ヨハのアニメは完成した。

2023年12月15、16、17日に武蔵野の森総合プラザにて「幻日のヨハネ -The Story of the Sound of Heart-」が開催されました。これが想像の遥か上をいく楽しさだったよという話をします。

異次元フェスの翌週に開催というとんでもスケジュールのこのイベントにて、結成9周年に向けて走るAqoursはふたつの大きな挑戦をしました。ひとつはこれまでやったことのない3日間公演であること。もうひとつは披露する楽曲がすべて新曲であること。前者はAqoursが武蔵野の森のキャパでやることを考えれば妥当かなという印象です。驚いたのは後者で、これはつまりラブライブ!サンシャイン!! としてこれまで積み上げてきた8年分の楽曲をすべて置き去り、幻日のヨハネの曲のみで勝負をするということ。公開済みの挿入歌を指折り数えてみても、フルライブをやれるほどの数がないので、ライブだけでなく朗読劇でも織り交ぜるんだろうかとそんなことを考えていました。

蓋を開けてみれば、ライブとミュージカルの中間のような見事なフィルムコンサートでした。未発表曲を4曲もやるとは思わないじゃん! 島本須美さんのナレーションにより再構成された幻ヨハアニメのストーリーに合わせながら要所要所で挿入歌だけに留まらず、Blu-ray特典曲が披露されました。現時点でBlu-rayが全てリリースされているわけではなく、未発売分の特典曲が先に述べた未発表曲に該当します。Blu-ray特典曲というとアニメ挿入歌ではやれない挑戦的な楽曲が多いイメージでしたが、幻ヨハに限ってはアニメのストーリーに寄り添った内容の楽曲となっており、改めて振り返ると、このフィルムコンサートを見据えて書き下ろされていたのではと思われます。

開幕と同時にまずAqoursとして幻ヨハアニメのOP「幻日ミステリウム」とそのカップリング「GAME ON!」を披露た後は――幕間映像で大きな本が開いて幻ヨハのストーリーを振り返り始めた後は、沼津のAqoursとしてではなく、ヌマヅの住人たちとしてパフォーマンスされていました。本が閉じてアンコールでキャストが呼ばれるまでMCは一切なし。もはやアンコールというよりカーテンコールでしたね。幻ヨハの世界観に終始没頭することができる構成になっていました。

以下、よかったポイントを挙げていきます。

・アニメの再構成が素晴らしかった
正直なところ、アニメは万人にオススメできる作品ではなかったと思っています。とはいえこれは幻ヨハに限った話ではなく、ラブライブ!サンシャイン!! のアニメ本編や劇場版にも同じことが言えます。ラブライブ!が好きだから辛うじて最後まで辛うじて見届けられた、みたいな。要因のひとつに挿入歌の存在があり、話数を考えながら挿入歌を中心に話を組み立てるので、尺が余ったり足りなかったり展開に歪みが生じるのではと想像しています。これがライブになると編集により余計なところをバッサリきるので何だかいいアニメっぽく見えるのはラブライブあるあるです。今回ばかりは編集だけでどうにもならなかったという事情があったかどうかはわかりませんが、島本須美さんの耳触りのよいナレーションがいい仕事をしてくれました。驚いたことに、これだけアニメに対して肯定的ではない私ですら、演出と構成の妙によって泣かされたくらいです。最後のスタッフロールを終えてみれば「イイハナシダー」で心が満たされていました。

・大道具や小道具が凝っていた。
最初のアニメ挿入歌である「Far far away」は森の大きな切り株の上で幼少期を思い出しながらひとりで歌う楽曲です。この曲の直前にステージ上に大きな切り株と生い茂る草が運ばれてきました。この時点で凝ってるなと思いました。他にもヘアブラシを片手に歌ってみたり、ミカンの段ボールを脇に歌ってみたり。いちばん楽しかったのは女子会挿入歌の「GIRLS!!」ですね。キッチンのようなセットが3つ運ばれてきて、各学年ごとにいろいろとわちゃわちゃしながら歌っていました。見どころだらけで目が足りません。あちらでケーキを作っているかと思えばこちらでスイカ割りを始めていたり。この曲のどこを見るかを考えるだけでも全通する面白さがあったと思います。2年生を目で追っていたら異次元フェスで貫禄ある挨拶をしていた伊波杏樹さんが他の2人からスイカ割りの棒で叩かれそうになっていたが?

・なぜか踊れてしまう楽曲があった。
未発表曲のひとつ「ヌマヅやっさよいさ唄」はファンのみんなで踊ることができました。未発表曲なのになぜ踊れてしまうのか。それは振り付けが「サンシャインぴっかぴか音頭」と同じだったからです。そうきたか。この楽曲は5年以上前の沼津夏祭りでステージに登壇したAqoursが見に来たファンに振り付けを教えてくれた曲。異世界で甦るあのときの記憶……! 振り付け動画もあります(みんな若いぜ)。地元愛祭りの朗読劇のときもそうでしたが、参加できるパートがあると没入感が増してよいですね。

・日笠陽子さんが出てきた。
最後の未発表曲「BLOOM OF COLORS」でライラプス役の日笠陽子さんがゲスト出演し、歌唱までしてくれました。これが1日目と2日目はなかった3日目のみのサプライズ。登場したときの会場のどよめきがすごかったです。何度数えてもどうしてもひとつ多いシルエット。私も思わずマジかと口走ってしまいました。種明かしをすれば、9人曲だと思った? 残念実は10人曲でしたー! をまんまとやられたわけです。悔しいけど嬉しい。これは未発表曲だからこそできる仕掛け。伊波杏樹さんが2日目の最後の挨拶でちょっとした伏線を張っていました。この曲の間奏でヨハネにパワーを送るところに注目してほしいなんて言うわけですよ。じゃあ注目しようかと構えていたら日笠陽子さんが現れて3日目はヨハネとライラプスにパワーを送っているのよ。そういうことかと。こちらもやられました。3日目は幕間アニメでライラプスが登場するたびに「ヒカサー!」と叫んでいる人が近くにいて、キャスト名を叫ぶ人はたまにいるものの、流石に出演されていないキャスト名を叫ぶのはどうなんだと思っていたのですが、実際に日笠陽子さんが出てきてしまったのでもう何も言えなくなってしまいました。日笠陽子さんの「ライブ見に来てほしいと言われたからスケジュール閉じたのに出演させられた」エピソードは笑いました。

・小林愛香さんが頑張っていた。
アンタが主役! 幻日のヨハネなのでもちろんヨハネ役の小林愛香さんの負担が大きなライブでした。何かとひとりで歌うし何かとセンターで歌います。大きなプレッシャーもあっただろう中で、逢田梨香子さん曰く100点の完璧なパフォーマンスを見せてくれました。3日目の挨拶でメンバーそれぞれから労われて、泣いたり照れたりしている姿が微笑ましかったです。本当にお疲れ様でした。

素晴らしいライブでした。このライブをもって幻日のヨハネのアニメが完成したといっても過言ではないでしょう。この素敵なステージと異次元フェスを同時進行で準備されていたとは。まだまだ新しいことに挑戦できるAqoursの9周年も楽しみで仕方ありません。

余談
異次元フェスの翌週だったため――異次元フェスがめちゃくちゃ楽しかったため、どうしても見劣りしてしまうのではと心配していましたが、そもそもエンターテイメントの種類として横並びで比較できるものではなくて。うまく考えられているなと思いました。

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