体重計の詩
見返りを求めると、
その瞬間に優しさは偽善になるという。
無償の愛なんてものはきっと、
綺麗なお花畑にしか咲いてなくて、
蝶にしか手に入れることができない。
10歳にも満たない頃、
ひらひらと舞う蝶を一羽
網で捕まえたことがある。
籠に入れた、美しいその蝶は、
必死に、必死に、飛ぼうとしていた。
僕はその蝶が可哀想に思えて、
お花畑に帰してあげた。
お花畑に放たれた、美しい、その蝶は、
もう、飛ぶことはなかった。
愛はとても重たいらしい。
どこにも行けなくなったはずのその蝶は、
いつのまにか消えていた。
どうやら僕は、愛されることを欲した
よくいる偽善者だったみたいだ。
心の体重ばかりが増えていく、
冬はもう終わりそうで、
僕は21歳になった。
あれから飛べたことはない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?