ちゃんとなんて生きれなくても死ななかったあなたはそれだけで偉いから

国道上の歩道橋の欄干に足をかけたことのある子供が、
自分の腕を切り刻みながら生き長らえていた子供が、
悲しさのあまり声を失ったことある子供が、ここまで死なずに生き延びてきた。
それだけであなたは、もう充分すぎるくらいに偉いから。

沢山の人間が、沢山あなたから奪ったね。
それでもあなたは人間を諦められなくて、必死に愛をもらおうと、人間と関わり続けることを選んできたね。

親にも、社会にも従順だった代償として、あなたは自分自身の核を無くしてしまった。
「自分はどうしたいのか」を持つことが苦手な子供になった。
どうしたいのって、愛されたかったんだよね。
たった、それだけだったよね。

愛されたくて、必要とされたくて、そんな居場所が欲しくて、こんな遠いところまで愛してくれる誰かを探しに来ちゃったんだね。
そしてもう戻れない場所まで来てしまってからはじめて、自分の中身が空っぽだってことに気が付いたんだ。

もうここに、この世界に「私」はどこにもいない。

親が、あなたを奪った。
加害者が、あなたを奪った。
あなたにできたのは、吹きすさぶ風に身を縮こませることだけだった。

声を上げる代わりに怒る代わりに、無抵抗な自分自身を傷つけ、沢山の言葉で自分の中に美しい世界を創り上げ、あなたは生きることに耐えていた。
だから、死ななかったあなたはそれだけで偉いから。

生き長らえたあなたは、ふと正気に戻って気づいたね。
自分の真ん中にぽっかりと口を開けた空洞と、中身のない伽藍堂のこれまでの人生に。

生きてきたのに、苦しかったのに、あなたの生きた場所はまるでずっと空席だったみたいだった。
なんにも残せなかったね。
何者にもなれなかったね。

それで、あなたは思ったんだ。
ああ、歩道橋の欄干に足をかけたあの日の直感は正しかったと。
あのまま死んでしまっていれば良かったと。

そうだね。過去は消えない。
あなたがそれほどまでに奪われて壊れたことも、壊れたまま、伽藍堂の人生を送ってきてしまったことも。

だけど忘れちゃいけないことは、「これから」を生きるのはあなた自身だということだ。

あなたは気づいた。
自分自身が、あまりに奪われ続けていたことに。
奪われた結果、意思なんて持てなくなっていたことに。
奪われたまま渇くようにその場しのぎの生き方をしていたら、伽藍堂の人生を築いていたことに。

過去は、消えない。
でも、これからを変えることはできる。

伽藍堂の人生でも、あなたは戦い続けてきたから、もう昔のままの、弱いだけの子供じゃないから。

あなたはちゃんと、あなたの人生を生きていいんだよ。
もう誰かの期待に応えようとしなくていいし、傷つけたり裏切ったりしてもいいんだよ。
世の中にとっての正しさなんかどうだっていい。
ちゃんとあなたが幸せになれる道を選ぼうね。

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礼司

コメント1件

ほんとそのとおりだと思いました。
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