妹がちょっと大変なことになってた

「ねえね、元気?」
久しぶりに自分を指した女性代名詞に少し怯んだ。

妹だ。
ふと何かを思いついたらしく、ほとんど一年ぶりくらいに電話をかけてきた。


妹は僕の事情(セクシュアリティうんぬん)を何も知らない。

どうしてる?、と聞くと、妹は
ホストを彼氏と呼んで貢いでいること
貯金の残高がわずかしかないこと(不動産会社で働いているが生活費と貢ぎ代で貯金がたまらないらしい)
お金が無くなったらパパ活で生き延びていることなんかをケラケラと笑いながら話した。


*    *    *    *


僕たちの親について少し話したい。

うちの親は「変」だったというのが僕と妹のあいだでの共通認識だ。

端的に言えば、過干渉だった。
両親の考える良好な人生、良好な子供像、良好な親子像というのがあって、僕たち3人の兄弟はそれにかなうよう育てられた。


一歩でも外れようものなら頭ごなしにNO。

僕はいじめられながらも中学校に行かされ、逃げたりフリースクールに行くことすら許されなかったことや、自傷の代替行為として開けたピアスを全否定されたことを忘れないし、

妹は兄弟の中で一人だけ進学校に進まず四六時中「優秀な」弟と比べられ続たこと、高校生で髪を染めたとき父親に殴られたことを忘れない。


抑圧と支配の結果、妹は高校の時に、僕は働き出してから壊れた。

2人とも、感情のコントロールがつかず、親とモメまくるという時期を経験している。
そして、2人ともあの家を出た。


妹はなんだか破滅的な生き方をしているし、僕は僕で、看護師免許は持っているとはいえ、夢を追うという名目でリスキーな進路を取っている。


*    *    *    *


僕は、関係性をほとんど断ち切るようにして家を出てきてしまった。

妹はもう少し賢くて、高校卒業と同時に家を出、東京の短期大学を経て今は不動産会社に勤めている。
あの家に帰りたくないというのは彼女も同じだが、定期的に電話を入れたり、お盆や正月には体面的ではあっても顔を出し、僕よりも上手くやっているらしい。

ただその内実は、激しい男遊びを繰り返す生活だ。


妹づてに、母親が僕について「どこで何をやっているか分からない。育て方が悪かったのだろうか」と泣いていると聞いた。

状況としてかわいそうだということは理解できても、母親に対する感情が一切湧いてこないのは、僕が冷たいのだろうか。


*    *    *    *


僕たちの人生に親の影響がないなんていえない。
というより、大いにあるだろう。

だけど、100%何もかも親のせいだというのも、それはそれで傲慢だと思うのだ。

自分が幸せになる責任は、もう自分で取るしかない。


苦しめられている人たちはたくさんいるだろうから、家族幻想ともいうべき「親だから」「家族だから」に従う義務はないと言いたい。
もちろん良い関係でいられるのがベターなのだとは付け加えた上で。


放すべきところで子どもの手を放さないと、結局親子の関係は修復不可能なほどに断絶してしまう。 


お互いの人生には手出しをしないというのが、親子がうまくやっていくための唯一にしてもっとも難しい方法であるように思う。
だけどその約束があるからこそ、絆としては深く切れず繋がりつづけることができる。

干渉は、決して愛情なんかじゃない。


*    *    *    *


僕は今、添い寝サービスを作っている。
ポリアモリーシェアハウスを作ろうとしている。
毎日毎日飽きもせず文章ばかり書いている。

展望なんてなにもないけど、幸せになるために苦労をしているんだと信じている。
幸せになれると信じている。


ユーコ。
君ももう手放しても良いんだよ。

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礼司

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