二次元オタクとちょっとだけマイノリティの話


どうして二次元が好きなのって、漫画とかアニメが好きと言うと大体聞かれます。
本当に疑問に思っている素振りもなく。

会話の繋ぎとしてが8割、とりあえず理由を聞くのが社交辞令だと変に勘違いしている人が1割。後の一割は同じ種類のオタクかどうか、オタクが確かめてくる。

オタクって言葉、たまーに悪意を持って使っている人がいますね。


君、オタクなの?ウケる。

オタクだから気持ち悪い。


自分とは違うものが嗜好対象な人を嫌悪もしくは排除対象にするのって、オタクだけでなくセクシャルマイノリティに関しても感じます。過剰に反応して会話をぶった切る人もいて、その人に言いたいのは「好きなのは貴方のことではないのよ」ってことです。

私が経験したのは、好きなタイプをしつこく聞いてくる人がいる飲み会で、バイセクシャルと言った時に「えー?私男の人が好きだから引くわー」って言われた事があります。

大丈夫、貴方に引かれても今の所私に損失はないわよ。

嘘です。ほんとは少し傷つくこともあります。爪の引っかき傷みたいに、柔らかい所がヒリヒリします。でも言葉を選ばず、爪を立ててきた人の為に傷ついて泣くのなんて、ごめんです。泣いてなんか、傷ついてなんかやらないよって、ぐっと胸を張って笑顔でタコわさを頬張るんです。


オタクの場合は、「えっ、二次元に恋してるタイプ?俺オタクな彼女とか嫌だなー」とか、そんなことを言われます。

面白いですよね。オタクな彼女は嫌と言いつつ、脳内でオタクな彼女との恋愛シミュレーションをしてしまっている。滑稽です。あと心配しなくても私はお前の恋人にならないからその気持ちの悪い妄想をゴミ箱に捨てろって思う。その発言がギャグだとしたらセンスを磨いて出直してこいとも思う。

オタク=二次元が恋愛対象だと思っている事からもう間違ってますし。


まぁそんな思い出話は閉じて隣の本棚にしまっておくとして。

漫画とかアニメが好きと言うと大体どうして二次元が好きなのって聞かれる話をします。

とりあえず聞かれるたび、とりあえず適当な理由を言います。
「このキャラクターが好き」「好きな声優さんがいる」「ストーリーが好き」「絵柄が好き」

同じジャンルと熱量のオタク同士だと分かると、「腐女子なので、この二人のカップリングが尊くて」とか。

ちなみに、オタクって言葉は長い時間をかけて形を変えてきました。まるで小川にある小石のように。今回は、話の都合上オタクという言葉を”ある特定のジャンルを愛好する人”と言う意味で使いますね。

私は本当に、疑いようもなく、二次元が好きです。イベントにもいってグッズも買い漁って、コンサートやミュージカルにもいく。卒論はアニメについて書いて、作品の聖地へ行くために海外に行きます。好きなキャラが泣けば一緒に泣いて、笑っていれば萌え悶えて、怒ればその感情を読み取って苦しくなる。


本当に好きってわざわざ言うのは、これから書いていく内容は捉え方によっては、オタクを免罪符にしているように聞こえるからです。


それで、もし本当に、会話の繋ぎでも社交辞令でもなく好きな理由を真剣に聞かれて真剣に答えるとしたら。

誰かに好きという感情を返されるのが恐ろしいからです。

彼ら(二次元)は答えません。わたしが好きと言ったところで、私のために何かをすることはない。そもそも次元を超えて好きに対して返事を返す手立てがない。人伝に「あの子お前の事好きらしいよ〜〜」とかもない。
私が好きでいようがいまいがこの世界線は絶対的に交わらないし、わたしが作品から少し距離を置いたって彼らが悲しんだり彼らが私を嫌いになる事はない。

それから、彼らは好きという感情に答えや結末を求めない。
好きだからどうなりたいの?とか。キスしなくていいしセックスしなくていい。
先を見なくていい。

好きになってもらえない代わりに嫌われることもない。相手も私を好きかな?とか思わなくていいし、愛されなくなった時の不安を感じなくていい。

それが酷く安心します。

二次元が好きと言いながら残酷な事を思っています。

いつもいつも、恋人という括りになった瞬間、辛くなります。
感情のアップダウンで息切れを起こして、うまく自分の事を話せなくなってしまう。


いま何しているかな。遊ばれているのかもしれない。好きじゃないのかもしれない。そうやって不安になったかと思えば、会っている時はメッッチャクチャに好きでもっとずっと一緒にいたいとか、そんなハート乱舞って感じの感情になる。

はぁ。

平坦に生きて行きたい。

そのくせ、誰かに好きだと、情熱をもって求めてほしい。
なんて、矛盾でしょうか。


蛙化現象って言葉があります。

ざっくりまとめると、好きだったのにいざ成就して好かれるとその人の事を気持ち悪く感じてしまう、という心理状況について名付けられた名称です。カエルの王子様の逆パターンですね。

原因にはいろいろ考えられていますが。

私もおそらくこれで、原因はおそらく自己肯定感の低さから来るものです。

私なんかを好きになる人がいるわけないとか、嫌われる前に嫌いになろうとか、そんな感じ。

そういったものを、二次元だと解消される。だから安心して好きでいられる。


いまの恋人とは、どこまで続くのか。

好きって、難しいですね。


ではまた、また違う夜に。




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