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【ゲッターズ飯田公認エッセイ】 ゲッターズ飯田は、占いをする前から聞き上手だった

各現場で、自発的に会話をすることはなく、鎧を身にまとい、頭の中で、自分と対話をいっぱいしていることが滲み出ていた、3年目のスタッフさんがいました。

後ろ向きな感情で頭の中がいっぱいになっているのか、支える準備の出来ているスタッフさん達の気持ちを汲み取れず、同じミスをよく繰り返していました。どの現場の人達も「適材適所」を反芻しながら、見守るしかありません。

作業とコミュニケーション、どちらも“半人前”の最中で、周囲の目を気にして、殻に閉じこもることがベストだと思ってしまうと、アドバイスすら宙に浮いてしまうので、どうしたって成長が遅くなってしまう。 ひとりぐらい心許す先輩、自分の苦手な事を打ち明ける先輩を作ってもよかったのではないだろうか?そこから配慮の輪が広がり、長所も見つけやすくなるのだから。

新生活の季節。思い出す度、胸が締め付けられる。
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2001年、不良や学校の人気者、家庭環境に問題がある人など、テレビ番組は空前の素人番組ブーム。私は、1年目。テレビに出たい願望のある個性あふれる素人を探す仕事をしていました。(血気盛んな暴走族さん、未成年で歌舞伎町で働く人などに声をかけていました)

そんな今の時代では考えられない仕事をしている中で、芸人時代のゲッターズ飯田に出逢っています。

桜舞い散る4月。

私は、テレビ局のロビーで、テレビ局に来るのもはじめてのような役者さん、芸人さんなどに「コンプレックス」がテーマのアンケートをとり、そのアンケートを持って、オーディションが行われる会議室へアテンドする役を担っていました。

私が新人感を出し過ぎていたこともあって、こちらがアンケート用の質問をすると、相手は、ひとことふたこと答えて喫煙室に行ったりしていた。周りを俯瞰できず、自分のことばかり考えて『リアクションも薄い』(聞き下手あるある)のだから当たり前だ。また自分に落ち込むのも、自分のことばかり考えている証拠。社会人になるって壁が高い。

そんな聞き下手な私に、ゲッターズ飯田だけは対応が違いました。

質問を使って会話を広げるだけでなく、この現場とは関係のない雑談までしたのです。ゲッターズ飯田が、話しやすい雰囲気を身にまとっていたことから、自分がメディアの世界に興味をもったきっかけなどを気持ちよく語り、連絡先まで交換したのを強く覚えています。

だから、知人に、ゲッターズ飯田の当時の印象を聞かれたら「聞き上手で話しやすかった」と答えています。質問してきた相手からは「占ってもらって話が弾んだんじゃないんですか?」と返されることが多いのですが、私は、その時、ゲッターズ飯田が占いの勉強をしていることすら知りませんでした。

当時、私は受け身に回りがちだったのですが、そんな相手にこそ、聞き役に徹することで距離が縮まるとゲッターズ飯田は言います。その中で意識することが、相手は「何を認められたいのか?」「何を自慢したいのか?」を念頭に置いて聞くこと。すると、相手の笑顔を増やせるので話が面白く聞けるようになるそうです。

加えて、ゲッターズ飯田は、会話の中で恥部を出し、相手に隙を与えることも上手い。これこそコミュニケーション能力に長けている人の共通点。しかも、恥ずかしい話をいくつも持っていて、相手の話題に適したものを頭の中の引き出しから瞬時に取り出せるのです。

また、自分が初対面なら相手も初対面と思えとも。

相手もどんな人か様子を探っている段階だからこそ、これまで自分が周りに話してウケた恥ずかしい話、情けない話などを挟みながら聞き役に徹してみると、相手が心を開いてくれるのも早くなると。

日本の国語教育は、読解力や語彙力は教えていますが、会話力については教えていないため、大人になってから困る人が多いそうです。学生時代まで同年代と「ヤバくない?」「ヤバい」など、うわべのキャッチボールしかしていなかった人も多いはず。なので、上記のようなことを意識しながら、まずは聞く事(リアクション)に意識を傾けてもいいのかもしれません。

ちなみに、ゲッターズ飯田はタレントやミュージシャンなどメディアで活躍する人だけが集まった会などに参加することがあります。

そんな有名人の集まりに参加する度、ゲッターズ飯田が感心することが。それは、売れている有名人の多くは、誰かが発言中に、相手の話にかぶせたり、人の意見をさえぎったりすることがなく、とても話しやすいとのこと。

有名人が相手の話の腰を折らない理由を聞くと「番組内で、【コメントを求められたら喋る】【相手の話にはリアクションをきちんととる】というのが仕事だから」と的を得た回答が返ってきました。そうなんです。遮っていたら、次に呼ばれなくなってしまうのです。

と、こんな話をゲッターズ飯田から聞くたびに思う事があります。それは、仕事、プライベート問わず、どんな場でも「常に他人が教えてくれている」ということを頭に入れている人ならではの気づきだなと。
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こうやって20数年前の事を振り返って、言い切れることがある。

作業もコミュニケーションも難しく感じている時、応援してくれている人は周りに絶対にいる。なぜなら、同じ道を辿ってきたから。(平成でもいたのだから、令和だったらもっといます)

気にかけてくれている人、会話をふってくれる人の優しさを怖がらずキャッチして欲しいです。相性のイイ人は絶対にいます。(人生経験を積んだ人達は、「力不足がゆえの答えの出ない脳内トークで後ろ向きにならないで」と心の中で思っています)
 
ゲッターズ飯田の本やブログを読むと、「心の本質」についてわかることが多々ある。孤独を感じているのなら、生きづらさを感じているのなら、心にひっかかった話を、繰り返し読んでみて欲しいです。色々と理不尽なこと、大変なことはあるけれど「ひとりじゃない」「世の中捨てたもんじゃない」という内面に変わっていくはずだから。




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