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社畜が骨折したら、引きこもりになった件。㉖~リハビリの苦悩と新しい生活の楽しみ方~

最初に注意を。今回の話は、

  • リハビリ初回、痛みや苦しみがちらほらでてきます。

  • 三角巾がとれたことで発生した怖さを伝えています。

  • 唯一の救いは、上記の怖さを経験したことで、できるようになったこと。

なので、前回同様、痛み耐性がない、トラウマ発動などの可能性がある方はご遠慮ください。
唯一の救いあたりは大丈夫だと思いますが、それまでの経緯があいまいだと伝わりにくいかもしれません。

忠告はしましたよ?

本当に大丈夫ですか?


リハビリテーションとは?
私にとって、その身に降りかかるか、その専門家にならない限り、実情がよく分からないもののひとつでした。

事前の準備として、次回以降、診療とリハビリを行うか、リハビリのみを行うかによって受付が変わるという説明を受けてから、先生の指示にあわせた回数と期間が提案されました。

その内容は「できれば週2回、期間はとりあえず次回の診察までの2週間間張りましょう」というものでしたが、この”とりあえず”がくせ者。
リハビリテーションの定義は、

リハビリテーション(英語: rehabilitation)は、身体的、精神的、社会的に最も適した生活水準の達成を可能とすることによって、各人が自らの人生を変革していくことを目指し、且つ時間を限定した過程である。リハビリテーションの語源はラテン語で、re(再び)+ habilis(適した)、すなわち「再び適した状態になること」「本来あるべき状態への回復」などの意味を持つ。

リハビリテーション - Wikipedia

「本来あるべき状態(受傷前の身体の状態)への回復するまで継続する」ことが大前提です。しかし、現時点では「再び(職場に)適した状態になる」どころか、「動かない腕が、僅かでも動く状態にする」までが最低限の目標として設定されました。

実際、リハビリテーション実施計画書の1ヶ月目標には、”痛みの軽減”と”可動域の向上”としか書かれていませんでした。
どうやら、骨がくっつき腫れがなくなった状態でもロキソニン(鎮痛剤)を常用するぐらい、左肩から上腕にかけての痛みが取れないことを、私が告げたため、現時点で可動域以上の動きはさせられないとの判断だったようです。

なので、初回はほぼ問診と、現状の把握、将来の展望、筋肉のこわばりを解すためのマッサージ、これからしていくこと、してほしいことなどの注意点の説明で終わりました。

その中で不思議だったのが、「痛みがない程度に動かしてください。ただ、痛みが出たら無理をせず止めてください」という一言。
もしかしたら、いろいろと動かしてみれば、痛くない動きを見つけることができるのかもしれません。でも、その当時は、”痛くない動き”なんて、ひとつもなかったのです。

あるのは、一瞬動かしただけで突き刺すような鋭い痛みか、数秒は我慢できても少しずつ重くなっていく鈍い痛みだけでした。後々、先生にそのことを話すと、「前者は骨と神経が擦れる問題ある痛みだけど、後者は筋肉量の低下、血流の低下によるコリによる痛みだから訓練で治るから安心して」と説明されました。

が、初歩のマッサージでさえ、コリを押されただけでグッと身体が強ばるぐらい痛み耐性がないのに、自力でどうしろ? と、困惑するばかりでした。なので、「具体的にはどのような動きをすればいいんですか?」と問い返し、4つの動きと目安になる回数を教わったところで、次回の予約をとって帰宅となりました。

その帰路で始めて三角巾をとり、電車に乗りましたが、リハビリとは別の意味で、怖かったです。

三角巾をつけた状態での行路については、⑨~受傷6日目、再診したら、人の優しさと厳しさを同時に味わいました~|でお話しましたが、取ったら取ったで問題が発生しました。
三角巾で固定していた時にはあった私を中心にした人の輪が、一気に消えたのです。それは車内や周辺が混雑すればするほど顕著となり、わざとではないにしても痛みを抱えた左肩にぶつかってくるようになったのです。

ひとつの電車で所要時間30分かからないものの、一瞬、ウッと身体が緊張したかと思うと、すぐに弛緩する。その繰り返しでした。
我慢できないほどではないけど、不安でした。
悲鳴をあげるほどではないけど、愚痴を言いたくなりました。
それは三角巾で固定していたときとは違った苦悩で、これからも続くだろう怖さです。

身体が丈夫だったころは気がつかなかったこと。
何でもないふりをして頑張っている人がいる、助けを求めている人がいるという事実が、私を苛みました。

その良心の呵責からか、交通公共機関の乗り降りに慣れてきた今では、席を譲ることにためらいがなくなりました。さすがに、一見では分からない方への配慮まではできていませんが、杖をついた方や、移動に時間がかかる方、赤ちゃんや小さなお子様をお連れの方、妊婦さんなどへは優先席でなくても席を立ち、「こちらへどうぞ」と一言声をかけるようになりました。

ただ、相手から「大丈夫。言葉だけいただきます」と断られたら、素直に引くようにしています。その方自身が助けを求めていないのであれば、必要以上の手助けはお節介でしかなく、本当に助けを求めている方が他にいるかもしれないからです。

そして、いつのまにか、その言動が当たり前になっていました。
どちらかといえば口下手で、事なかれ主義の私が、断られるのを覚悟の上で他人に話しかけているのです。
これも新しい生活を楽しむ一環なのかもしれませんね。

つづく。

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