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社畜が骨折したら、引きこもりになった件。⑭~社畜の謎に迫る~

職場での面談や対応を前回お話しましたが、②と③でお伝えした”エッセンシャルワーカー”を除いて、職種について説明したことがなかったので、守秘義務にかからない程度にお話しますね。

端的に言えば、私の職業は”電車の運転士”です。
ただし、通勤電車ではありません。通勤電車にしている方も沢山いらっしゃいますが、一般の括りからは外れています。しかも、そのお客さまを乗せて運転しない上に、日付変更線が変わってからが本番のお仕事です。ちなみに、同じ職種の方からでさえ、正式な名称を説明すると、興味津々な様子から1歩引かれます。
ここまでで、あっと思った方はお口をチャックか、こっそりとメッセージを。正解・不正解関係なく、関係者ならではのお話をさせてください。

というわけで、鉄道業界ではあたりまえの”完全シフト制で24時間勤務”を送っています。例えば、朝8時出勤で退社が翌日の朝8時、仮眠が6時間(準備時間含めてなので正味は4時間ぐらい)のシフトだと、私の場合、朝の通勤時間帯は通勤ラッシュに巻き込まれますが、帰りは逆向きなのでスカスカになります。

ラッシュが少なくなること自体は大歓迎なんですが、ご近所の目が痛いです。事前に説明するか、その時々に話さないと、”頻繁に朝帰りしている人”というレッテルを貼られます。それでも十分、風評被害ですが、他にも早朝、始発近くだったり、お昼を軽く越える時間帯だったりと、出勤時間が毎回異なるので、そのたびに説明して疲れることを繰り返したこともありました。

ですがそれ以上に、早朝に帰宅できるため、1日お休みと開き直るだけの体力さえ残っていれば、そのままアソビにいけるというメリットがあります。私自身、美術館や美容室、習い事、数ヶ月前から予定していたオフの友人とコンサートなんてものも有給を取らずに、わりと平気な顔で通っていました。そして、話の流れの中で「実は夜勤明けなんです」と口にすると、大抵、驚かれました。何回も会っている人でさえ、一瞬、間があるので、異常なのかもしれません。しかも、同僚に限らず、定年間近の大先輩さえも当たり前のように出かけている事実・・・・・・、慣れって怖いです。

その夜遊び?が出来るのは、体力勝負の職場だからだと、私は知っています。この職場に勤めていた人が計った万歩計の計測によると、多いときで1勤務15000歩前後歩いているとのこと。その運動量の多さに加えて、空いた時間に筋トレをしている人もいるのですから、尊敬するべきなのか、呆れるべきなのか微妙なところですね。

それでも、この仕事楽しいし、大好きです。復帰を待ちわびるぐらいには。
なので、体力を維持するために筋トレ、痛みがない下肢はもちろん、上肢も頑張りすぎない程度に頑張っています。それでも、背筋や腹筋がだいぶ落ちてしまいました。先生の話によると、筋肉は中心部から末端部に向かって連動しているそうで、背筋が動けば、鎖骨、肩と痛みの原因となる刺激が流れてしまい、それが痛みになって運動を妨げてしまうそうです。

それを脊髄反射といい、あまりにも肩に負荷をかけてしまったせいで、刺激=痛みと脳が反射的に覚えてしまい、解消させるには動いても痛くないことを身体や脳に思い出させるしかないそうです。その結果、リハビリテーションの意義のとおり、

リハビリテーション(英語: rehabilitation)は、身体的、精神的、社会的に最も適した生活水準の達成を可能とすることによって、各人が自らの人生を変革していくことを目指し、且つ時間を限定した過程である。リハビリテーションの語源はラテン語で、re(再び)+ habilis(適した)、すなわち「再び適した状態になること」「本来あるべき状態への回復」などの意味を持つ。

リハビリテーション - Wikipedia

「本来あるべき状態(受傷前の身体の状態)への回復」するまで継続することが基本なのですが、現時点では「再び(職場に)適した状態になること」が最低限の目標になっています。

話を職場に戻しますが、ここまで体力が重視されると、健康診断の査定が厳しくなります。職場が従業員の健康に気遣ってくれるのだから、ありがたい話なのですが、運転士となると枷レベルに進化してしまいます。年一回の健康診断にプラスして、夜勤勤務者限定の定期診断、運転士免許更新のための運転適性検査、無呼吸症候群の判定など・・・・・・勤務指定日に、通常の勤務でない検査科目が入ることが珍しくないぐらいです。

それでも、運転することで抱えるリスクを考えると仕方がないといえますが、検査当日は毎年緊張します。
それもそのはず。その時期が近づいてくると、
「昼過ぎの勤務だからと、その日の午前中に運転適性検査を受けたが、視力検査で落ちてしまい、メガネの準備ができずに、即、運転停止になった奴が何人もいる・・・・・・」
という怖い話を、淡々としてくださる諸先輩方がいらっしゃるのです。

間違いなく、私と同じかそれ以上の分厚い報告書の提出および、反省文が求められたはずです。それどころか、どれほどの恥をかかされたのか・・・・・・。
某CMではありませんが「メガネは顔の一部」なので、日常もメガネがかかせない人は当然として、検査基準値ギリギリの人や、私のように運転だけメガネが必要な人は、必ず持参してください。体調によって視力に変化のある人は度数の異なるメガネも合わせて持っていくと安心です。

ちなみに、視力と違って聴覚は補聴器などの補強ができません。これから鉄道業界、とくに運転士を目指す方は耳のメンテナンスに気を配ってください。諸先輩方曰く「最近はスマホの普及の影響で、ワイヤレスヘッドホンを大音量かつ、1日中付けっぱなしにしている人を良く見かけるけど、それが原因で辞めた奴が何人もいるから気をつけた方がいいよ」とのことで、事実、正式名称「音響性難聴」のひとつに「ヘッドホン難聴」があります。

大きな音にさらされることで起こる難聴を「音響性難聴(音響外傷)」といいます。音響性難聴は、爆発音あるいはコンサート・ライブ会場などの大音響などにさらされるほか、ヘッドホンやイヤホンで大きな音を聞き続けることによって起こります。「ヘッドホン難聴」あるいは「イヤホン難聴」と呼ばれ、近年、特に問題視されています。(中略)ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)は、じわじわと進行し、少しずつ両方の耳の聞こえが悪くなっていくため、初期には難聴を自覚しにくいことが特徴です。他の症状として、耳閉感(耳が詰まった感じ)や耳鳴りを伴う場合があります。重症化すると聴力の回復が難しいため、そのような耳の違和感に気づいたら早めに受診することが大切です。

ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)について | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)

初期に自覚し、音を遮断したうえで安静にするといった適確な処置ができれば徐々にでも回復するようですが、上記のとおり、重症化するまで気がつかないケースが多いため、回復見込みなしとして職種を転換させられるそうです。

・・・・・・勤務形態と健康オタクだということしかお話していないので、もう少しつづきます。

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