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私の故郷・ニュータウンは、「おかしな街」ですか?

昨年末、塩谷舞さんの記事を読んだ。

タイトルを見た瞬間、すぐにリンクをクリックした。

私の故郷も、ニュータウンだから。
場所は違えど、同じ「ニュータウン」と区分されるエリアが故郷の方は、自身の故郷をどう捉えていらっしゃるのだろうかと、興味が湧いた。

結論、私はこの記事を読んで、「自分の故郷に誇りを持ってもいいのだ」という勇気を頂いた。

ニュータウンは、私にとって、故郷そのものだ。

私が育った多摩ニュータウン

私は、多摩ニュータウンと呼ばれるエリアで育った。
東京の郊外、所謂ベッドタウン。

ジブリ映画『平成狸合戦ぽんぽこ』を見たことがある方も多いのではないだろうか。
私の家は、まさしくあのエリアだ。
物語の終盤では、私の実家周辺の様子がそのまま描かれている。

狸たちの住む場所を奪って建設された家が、私の実家だ。

あの街は、私にとっての「普通」だ。

小学校も中学校も、通学路は全てが遊歩道。
放課後外で遊んでいても、自動車に遭遇すること自体ほとんどない。
実家から駅に行くにも、信号ひとつ渡らずに辿り着く。
建物の外観はすべて統一されていて、ヨーロッパの街並みをイメージして作られている。

それが私にとっての故郷だった。

水たまりの雨が跳ね返った

高校に進学し、少し離れた高校に通学をしはじめてから、生まれて初めての経験をした。

車道の水溜まりに溜まっていた雨が跳ねて、歩道にいた私に、かかった。

歩道と車道が隣接しているエリアでは、日常的なこの光景は、私にとって非日常だった。
そして私は、その経験が嬉しいとは、微塵も思わなかった。

「なぜこんなに狭くて、整備されていないの?歩きにくいじゃない。」

負の感情しかなかった。

エセセレブの街・作られた街

その経験以降、「ニュータウンは異質らしい」と感じることは増えていった。

高校生の頃、学校の友人には「エセセレブの街」と冗談交じりに言われた。
大学生の頃、私の街に来た知人は、「作られた街」と言った。

都心でもなく、田舎でもない。
中途半端で、不便な街だと言われた。

そうして、いつの間にか私の故郷は、私にとって「自信を持てない街」となっていった。

商店街がある街・古いものが沢山ある街

通っていた大学は、駅から大学までの道のりのほとんどが商店街だった。
以前移住していた地方にも、商店街があった(そのほとんどはシャッターをおろしていたが)。

気付けば私は、そんな街に憧れた。

何やら古き良きな感じがするものがたくさんありそうだ。
道も狭くて、なんだか格好良いのかも。
これこそがみんなが言う「街」なんだろうか。
私の地元には、ないものだらけだ。

どの街に住んでも、私は結局故郷が好きだ。

冒頭で、塩谷さんの記事を紹介した。
私はこの記事を読むまで、自分の故郷に対する感情がよく分からなかった。

でも、昨年末にこの記事を読んで、確信した。
私は、自分の故郷が、大好きだ。
それで良いんだ。
だってあの街は、私の「故郷」だから。

今の私は、自分の故郷について聞かれたら、こう語る。

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私の故郷は、多摩ニュータウンというエリアです。
私が生まれる前に開拓され、狸たちを追い出して作られた街だそうです。

誰になんと言われても、私が育った街は、あのニュータウン。

電柱は全て埋まっている。
歩車分離遊歩道が基本なので、とても歩きやすいの。

駅前に行けば、生活に必要な買い物は大型スーパーで全て済む。
市の施設も整っているから、手続きも便利だし、図書館だってある。
駅前は雨避け用の道が整っているから、雨の日でもあまり濡れないの。

貴方にも、故郷があるでしょう?
私の故郷は、この「ニュータウン」と呼ばれる街なの。

だから、お願い。
どうか「変な街だね」なんて言わないで?

ここは、私が育った場所だから。
いつまでも、私が”居る”場所だから。

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