2019/02/10 日記

phaさんの『しないことリスト』を読んだら、あ、ブログやろうってまた思った。いろんなことをきっかけに「あ、ブログやろう」って思うんだけど毎回三日坊主。多分今回もそんな感じだと思います。

最近人前で喋る機会が増えたんだけど、喋るのが絶望的に下手。カネコは人が一人増えるとその分ボディーランゲージが激しくなるよねって言われてたよ。だから100人だったら動きが100倍。激しいダンス。それと無理度のバロメーターが左の口角にだけに付いてるので、片方の口角があがるあがる。無理すぎたら一周して逆に水平みたいなことになるのかもしれない。

独り言は饒舌なんだよね、ほら、こうやってタイピングするのは本当に早いの。楽なの。多分自分の思考をアウトプットするのに一番あってるのが手なんだよね。(日本語が書けているかは置いといて)喋るってなると、会話の基礎体力がないし、頭も弱いし、気にしいだし、言いたいことが咽喉で詰まって、破裂して連発型の吃りになったり、タカが外れて、まずいこと言っちゃったり。良いことがない。訓練をする。

今日は9時ごろ起きた。実家。朝ごはんが出てくることに感動する。一人暮らしだと、朝ごはん食べるのが面倒だから二度寝するか、ってなる日もある。朝ごはん最高。お母さん、ありがとう。そのあと芦田愛菜が出ている映画を見て、芦田愛菜に一生ついていくという気持ちになった。

12時30分、外へ出る。昨日兄が傑作だ!と騒いでいた演劇が気になり、盛夏火『スパイダーランド』を見に行った。

団地の一室で行われる演劇で、予約したら住所がひっそり教えられる。団地なんて久々だ。自分が中学生に進学した頃に亡くなった父方の両親は団地に住んでいた。あの家でおばあちゃんが制作していた人形や、おじいちゃんと兄の囲碁が解らなくていじけてたことを思い出したりして、団地を彷徨う。2号棟・・・ここか?あ、これは20号棟か。団地独特の閉塞感。ずらーっとベランダが見えるのに人っ子一人いない。マジでこの部屋全てに誰かの生活があるのか、、、生活花托にゾッとする。部屋に辿り着くまでも冒険感があって面白い。わし団地で演劇見るの初めて。

本当に団地のひとへや。インターフォンもノックもせず、ドアを開けると、座布団が並んでいる。受付には顔を紙袋で隠した人。ここか、と少し安心する。開演前に部屋を見渡す。多分幼い頃に貼ったであろうシールまみれの勉強机とか、謎の十字架の時計?とか・・。壁に若い男女の写真もある。演劇出演者だろうか。一体この部屋にはどんな人が住んでいるんだろう。あ、金内さんか。どこまでが住人のノンフィクションで、どこからがフィクションなのか。他人の部屋を観察してたら、15分なんてあっとゆうまで、演劇が始まった。

部屋で男女が他愛ない会話をしている。写真の若い男女だ。今日は友人カップルを呼んで鍋会らしい。しかしコンロがないので鍋じゃなくなってポトフ会に変更するらしい。男(名前忘れたからこれからA男)はなんかの流れで『ミライの未来』がいかに最高か女(B子)に熱弁する。

『センセイ君主』の予告編を男が流しながら、A男はいちゃつきたがっている。が、B子は応えない。A男が昔あげたプレゼントをまだ使っているという事実が、B子の首元にかかっているのを見つけて、嬉しそう。

ジャガイモがないらしく、A男が4分で買ってくると言い張って、外へ飛び出す。窓の外からA男の声がする。「財布取って〜」B子が窓を開けると、葉っぱの音がする。聴取点の概念がぶっ飛ばされる。あ、ここ全部。世界すべての音が物語の音だ。すげえ・・・。それで、3階からB子が財布を落とす。地上3階で行われていた演劇がその一瞬で、地上まで演劇空間を広げる。蜘蛛の糸みたい。スパイダーランドってそうゆうこと??

B子が電話をしている。相手はB子の母親らしい。B子は何かのアレルギーらしい。「エビはまだだめ」だそう。わかりやすい伏線、B子をこれから死ぬ人として見てしまう。

A男がジャガイモを買って、帰ってくる。4分で買ってきたらセックスする(?)みたいな約束を無視されて喧嘩腰になり始めた時、ノックの音。

お菓子の詰まったレジ袋を片手に友人カップル(C男とD子)がやってくる。仲睦まじく会話をしていたと思ったら、急にA男がキレる。「住民票を世田谷区に移せ、なぜなら、けやきネットに登録できたら演劇の稽古場が無料で借りれるから」C男とB子の利己的な要求を「(ごちゃごちゃ小劇団へ不満)稽古は家で、ついでに客も家に呼んで、本番も家でやれよ!」と一蹴する。

『スパイダーランド』家で・・やってる・・・・・なう・・・・・・。すごい。この人たちきっと団地という空間を使って演劇の可能性を云々、野心的な考えの前にマジでお金がないので自宅でやってんのかな。好感を持てる。

気まずくなりB子とC男がベランダでタバコを吸いに行く。客席を横断する。窓が開く。冬の風が肌寒い。

タバコから二人が戻ってきて、ピザを頼むことになる。その時B子はキッチンで誰かと電話している。「シュリンプ」という言葉が飛び交う。ヒヤヒヤする。しかし結局「シュリンプ入生地?は400円高い」という理由でノーマルの生地にする。

なんかまた雰囲気が悪くなる。B子はまたタバコを吸いに行く。D子がポトフの準備を始めて、キッチンからA男に具の相談をするが、A男はベランダの二人のタバコミュニケーションが気になり、テキトーに相槌を打っている。B子の「もう好きじゃない」という声が窓で隔たれたベランダから聞こえてくる。舞台袖はキッチンで、D子の声とキッチン用品のカチャカチャとした音が聞こえる。聞き覚えのある生活音。なのに死角で見えない。覗き込めない。すぐそこにある生活感が、届かない。不思議。

ポトフが出来上がる。空のお椀が四つ。4人は食べている「演技」をする。このリアリティのある演劇空間を、どうにかフィクションとして認識しようとする姿勢というか、なんか混乱する。でもこの混乱が面白い。フィクションとノンフィクションの境すらない。全部ごちゃまぜの沼で別の星の生活を見ている感じ。面白い。

B子、エビ食べてアレルギー反応が起こり、苦しみ、そして死んでしまう。白い布の幕が降りる。

ちょっと待って・なんか私いつもこうだ。お絵かきみたいな散文を書いてから気づく。なぜこんなことしてるんだ。まぁいいや。自分のための整理。

幕が上がると舞台は一年ごの部屋。A男は引越しをするらしい。一年ぶりに再会したC男とD子は婚約し、子供も授かっているという。落ちている、ピザの空箱。あの日たべれなかったピザを食べた後なのか。これから食べるのか。B子が死んだ事実はもちろん3人を苦しめている。重たい雰囲気。

パーっと明るくなろう、と、C男がボードゲームをしようと提案する。A男が押入れから探すが、出てきたのは大人のおもちゃ。B子と使うつもりで買ったおもちゃ。使わなかったおもちゃ。死んでなかったら、動いてたであろうおもちゃが、動く。おもちゃが成仏へ動き出すみたい。めっちゃ喪。

C男は歌を歌おうと提案する。キーボードとマイク。あぁ、わかる。こうやって人間ってバカになるんだよね。泣く。この先何度もクライマックスが来ることも知らず、もうめっちゃクライマックスじゃんと、泣く。A男は「人の部屋にある楽器を持ち主より上手く演奏するな」と音楽を止める。(わかりみ強い)2人が演奏してたのはミライの未来の主題歌で、A男は一年前と同じ口ぶりで未来のミライの良さを熱弁する。

C男が部屋から出ようとするが、鍵が開かない。そして、ベッドのあるその部屋から出られない。見えない壁が出来る。過去から逃れようとする人間を、部屋が閉じ込めているのか。C男とD子はお風呂場からベランダへ出ようとする。

男は、幻覚を見る。ベランダに C男とD子。「まだやってんの」「まだやってんの」「まだやってんの」「まだやってんの」「まだやってん」蜘蛛の怪物がA男を襲う。過去に絡まって、どこにも行けなくなってしまった。🕸

C男とD子がA男の元へ戻り、何事もなかったかのように、ドアが開く。A男は二人を帰らせ、窓を開け、自殺をしようとする。うわ、なるほど、こうゆうクライマックスか!と思ったら、鳥の声。そうそう、一年前にA男がドアの横の壁に「なんかかっこいいから」って理由で貼っていた「鳥を探しています」のチラシ。あの鳥か・・・・。あー

A男は鳥を見つけ、外に飛び出す。

ワーーーーーーーー

最高クライマックス!!!気持ちは死にたいけど身体は鳥を捕まえたい。それで結果命助かる。サイコーラスト

とか思ったら、A男鳥を持って帰ってくる。鳥は手のひらでぐったりしている。トイレの流水音。死を水に流す。こうゆうふうに、B子の死は流せない。

静かにベッドで一人、パソコンを開く。『センセイ君主』の予告編を流す。有名な竹内涼真の、なんというか、フィクション感が増す。『センセイ君主』はフィクション映画なんだけど、それを演じている現実世界の竹内涼真までフィクションに覆われているような、そんな感じで、めっちゃ不思議・・。馬鹿だから言語化できないけど。竹内涼真が知らない人に見えた。

精神科の診断書で隠していた、B子との写真、その下に一枚のSDカードを隠している。こうゆう風にきっと誰の部屋にも何層もの秘密がある。

そこにはB子の映像。過去の風で舞う白いカーテン。現在の風で舞う白いカーテン。ナンジャああああああ。もうすごい。A男はB子の映像を見て、オナニーをする。美しい。綺麗。ここもめっちゃクライマックス

心配したD子が部屋に戻る。気まずそう。気持ち半勃ちのA男はD子を求める。そして今度はC男が戻ってくる。時が止まる。気まずい雰囲気。

C男がキレる寸前、A男はC男に泣きつく。子供みたいに泣いて、「撫でて〜!!!!」って叫ぶ。あ、演劇が終わった。

ちょっとすごすぎた。なんだろう。室内の非リアル、室外のリアル、そしてこの金内さんの部屋という空間。こうして私がタイピングしている今も、金内さんの生活が持続しているあの部屋。ううううう。あまりにも物語以上だ。他人の生活に触れてしまった実感がある。

過去に馳せ、死者の話をしたり、あの日と同じものを食べたり、忘れるために歌を歌ったり、死者の映像を見たり、死者で射精したり、様々な喪の作業をする。そんな物語と、部屋(金内さんの重層的な時間が現在も持続している)という空間の親和性の高さ、というか、奇跡が起きていた。奇跡だった。


https://www.youtube.com/watch?v=v74l9673xrY

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