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パリ、東京。ボーダーレスに生きる vol.3

生活=仕事


B : 子供が小さい時って、なんか変なパワー出ませんか?時間が無いなりに、子育てだけじゃなく何かやりたいと必死に動くというか。私はそうでした。
お子さんが生まれる前と後で、何か変化したことはありますか?

Y:日本だと実家なので、ほぼ何も変わらないです。仕事の日は母に預けて、全然変わらずに仕事してます。泊りの仕事は受けないようにしようと思ったことぐらいかな。受けることはできるんですが、なんとなく、、。前に二日連続で地方に行く仕事があった時、泊ってもいいんだけど、と思いつつなんとなく帰ってきたっていうことがありました。
パリではまだ保育園に行けないので、24時間私がみています。それもあって、今のところパリではお花の仕事はほとんどしてません。でも書くこととか、ブロカントの買い付けとか、いろんなことに興味があるので、仕事の面ではそんなに変わってないです。
例えば、ブーケを束ねて届けるとか、レッスンとか、お花の仕事だけやっていたらそれができないことにすごくストレスを感じたかもしれないですが、ライフスタイルみたいなものを提案していくのが目標で、そういう仕事をしているので、公私の境目が無いというか。

B : なるほど、その中で出来ることをやって、子育てもひっくるめた全てを発信していく、という感じなんですね。なんていうか、生き方がとても軽やかに感じます。

Y:まあでも、ずっと家に居て子供の相手だけしてる時間が続くとストレスもたまるんですけど、結構、簡単に機嫌を直すんです笑。ずっとため込んで鬱になるみたいな感じではなく、イライラしていることに自分で気が付いたら自分で自分の機嫌を取るようにする、っていうのは前よりも上手くなったかもしれないです。

百合香さんが勤務していたパリのインテリアショップ


B : なかなか、それって出来そうで出来ないことですよね。

Y:すごく小さなこと、例えば私、料理が苦手で離乳食作るのも大変で。作り終わると自分のご飯はもういいや~って感じになるんですけど笑、一食しか食べてないとか、コーヒー飲みたいけど豆を挽くひと手間に時間が取れないとか、そういうことがストレスになったりします。
でも逆にそれができたら、それだけで達成感を感じることができるというか。すごくちっちゃいことです。今日はカフェに行こう!とか、小さなご褒美を決めた段階で満足するんです。結局行かないこともあるんですけどね笑。
夫がタピオカドリンク買ってきてくれたとか、それくらい小さいことで、前よりも幸せを感じやすくなってます。


今までは当たり前にできたことが、子供が小さいうちは特に、頑張らないと出来ないことに変わってしまう。それは結構ストレスのたまることです。
でもそこを逆手にとって、小さなことができた自分を褒めてあげることで感情を上手くコントロールする。出来ないことを数えるよりも、できたこと、嬉しかったことを数えたほうが幸せだ、という点にフォーカスし、切り替えができるのはさすがだな~と思いました。これは今日からでも真似したいことです!

子育ても楽しむ様子がうかがえる百合香さん。そして花仕事が思うように出来ない中でも、工夫しながらご自分の仕事も着実にこなしています。
いま連載してみえるフィガロジャポンのブログでは、家族との日常で感じたことや、パリの今を百合香さんのフィルターを通して綴っていて、とても素敵。まさにライフスタイルを発信するということを仕事にされています。

そういった有名雑誌での連載や、撮影のフラワースタイリングなど、皆が憧れるお仕事は何がきっかけで始めることができたのかな、、そんなこと聞いちゃダメかな、いやでも聞きたい!と葛藤の末に笑、どうやってお仕事をゲットしたのか?というあたりを伺ってみました!

自分を知ってもらう


B : 百合香さんはブログやnoteなどいろいろと書くことでご自分でも発信されていますが、今連載中のフィガロジャポンのお仕事なんかは、どういうきっかけで始められたんでしょうか。自分から動いたとか、何かありましたか?

Y:フィガロに関しては、パリで仲良くなった同い年のフォトグラファーの子がいるんですが、その子を通じて私のポップアップにフィガロの編集者の方が来てくださって、お話したら意気投合して。そこからです。
Instagramとか見てくれて、何かやりたいんですって私も言っていたんですが、具体的にこちらから提案したわけではなく。そうしたら向こうから、花瓶とか好きそう、いろいろ知ってそうだから花瓶とお花について何か書いてくれないか?って。そうして書いたものを気に入ってもらえて、ブログのお話も頂きました。

ランジス花市場のブロカント売場



B : 他にもCDジャケット撮影のフラワースタイリングとか、いろんな場面でお仕事をされてますよね。それは人とのつながりでオファーをもらったりすることが多いですか?

Y:ジャケットは、フォトグラファーの方が何かで見つけて下さって、向こうから。花が好きなのか、花が絡む時にけっこう呼んでくれたりします。あとは編集部の人からとか、スタイリストさん、ブランドさんから来るときもあります。

B : 百合香さんが発信されているものを見てくれて、そこからオファーが来る?

Y:撮影だと、ほぼ全部Instagramですね。きっかけとしては、作品撮りをしていたので、それを載せているのを見てくれて、声をかけてくれたのかなと思います。
最初は、私が良いなと思うお洋服のブランドのポップアップショップに行って話をさせてもらって、じゃあ撮影とかあったら声掛けますねと言ってもらえて。その後、実際に声がかかって、作品を撮ることをやり始めたんですね。ギャラとかもなく、みんなでお金を出し合って撮影も自分たちでやって。もともとそういうことがやりたかったので、感性が好きだなって思う子と一緒に。それをInstagramにあげたのを雑誌の人が見てくれてお仕事をやらせてもらい、そうしたらそれを見てくれた人がまた連絡をくれて、、という感じです。
作品撮りをしてInstagramに載せたことが、何か行動したことといえるのかな。お花もレッスン主体でやるならブーケを載せるのでいいと思うんですけど、撮影の仕事だと、過去に載せた写真を見て声をかけてくれることが多いので、花だけ載せるよりも、こういう仕事をしたいなっていう目的に沿ったフラワースタイリングで作品撮りをして発信していくと、見てくれた方も声をかけやすいのかな、と思います。


B : 世界観、という事ですね。花と合わせるとどうなるか、っていうのをこちらから提案したり見せていくという。

Y:例えば編集の方だったら、作りたいページの想像がつきやすいかなと思います。
化粧品とか鞄とか、何かモノを紹介するページを作るのに花を使いたいなと思ってイメージを探しているとすると、花単体だけでなく、花を使ったスタイリングの作品を載せていると、出来上がりの全体像のイメージをしてもらいやすいかな、と。すごく人気のお花屋さんとかだったら、ブーケが写ってるだけでもお話来るかもしれないですけど。


B : 確かに、ブーケだけじゃ大きさもわからなくて、人が持っていたほうがわかりやすいとか、お部屋に飾った感じが分かるといいとか、そういうこともありますね。

Y:一人で細々とやっているので、差別化という意味でも意識しています。見てもらって合わないと思われたらそれは仕方ないと思うんですけど、まずは見てもらわないと始まらないので。ネームバリューがあるわけでも、店舗があるわけでもないので、こういう人なんだな、こういう世界観をもった人なんだなって見てもらうきっかけがあるほうがいいと思ってやっています。
たぶんお花だけ載せていたほうが、Instagramのフォロワー数は増えると思うんです。ギャラリーを見にいってお花だけ並んでると綺麗だし、お花のアカウントなんだって一目でわかって、わあ素敵!ってフォローもしやすい。 でも私は、花を綺麗だと感じる感性というか、ライフスタイル全体や世界観を深く伝えたい、っていう気持ちがまずあって、花だけでなく、多面的に発信することで、私ならではの世界観といえるものを表現したいと思っています。


B : 確かに統一感あったほうがきれいで、ぱっと見て映えますよね。百合香さんのギャラリーも、花だけではないですけど全体的に統一感があって素敵だと思います。


Y:そうですね、統一感。私も、お花だけ載せたほうがきれいかもしれないけど、それでは差別化はあまり出来ないと思うんです。子供の写真なんかも載せてて、ぱっと見は何してる人かわからないかもしれないけど、ちゃんと見てもらって、世界観が好きってなったらすごいファンになってもらえるかな、と。
それにブランドさんとかエディターさんとか、感性や世界観が企画のコンセプトと合うかどうかを見ているような方、そういう方へ発信したいときには自分の感性や世界観が分かるように表現する必要があると考えていて。
花単品というよりは、空間づくりとか、ライフスタイルとか、いろんなことをやりたいと思っています。私のギャラリーが統一感あるなら、それは好きなものしか載せていないからだと思います。


B : よく考えて動いてらっしゃいますね。でもライフスタイルというと広いですよね。今後のお仕事は、例えば花じゃなくてもいいのかな?

Y:ん~。。。書くこともたくさんしたいので、、でもやっぱり花仕事は中心にあってほしいです笑。

セーヌ河畔


私のストレートな質問にも丁寧に答えて頂き、具体的なお話を聞かせて頂きました!とても参考になりますよね。

でも、真似すべきは百合香さんのやっていることではなくて、冷静に自分をみて自己プロデュースしていく、という根っこのところ。もちろんInstagramの使い方等は、なるほど!と思いながら私も聞かせて頂きましたが、自分が目指すところをきちんとわかっていないと、迷走しちゃうかな、とも思いました。

自分がありたい姿を思い描き、それに向けて、じゃあ何をするかという事を考えて動いていたから、チャンスを掴むことができた百合香さん。あとは瞬発力と熱意。パリで由美さんに会ってすぐに花留学を決意し、実現させたところにも、貫く強さを感じます。

ご主人がパリで活躍されているパティシエさんということもあり、百合香さんはパリと東京を行き来しながら活動されています。最後に、そんな二拠点生活についてとそこから思うこと、今後についてのお話を伺いました。


※インタビューは2021年9月に初掲載


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