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パリ、東京。ボーダーレスに生きる vol.4

パリと東京


B : 今、パリと東京を行き来されていますが、大変に思うことはないですか?

Y:ないですね、どちらも好きなので。
東京のほうが仕事が多いので行き来したいけど、子供の学校のこととか、家族離れ離れもなんなので今後はパリを拠点として、たまに東京に帰る感じにしたいと思っています。これまでは東京のほうが多くて、年4回のパリのファッションウィークに合わせて渡仏する感じでしたが、これから頑張っていこうと思っています。

B : 行き来することは苦にならないし楽しいということですが、パリと東京に拠点があることは仕事の上でプラスになっていますか?

Y:パリコレの仕事をしているとか、海外の雑誌に載ったという事は、東京の仕事ではプラスになっているかなと思います。
東京とパリの仕事ではできることや方向性が少し違って。パリでの仕事、パリコレにかかわれるというのは、昔から憧れがあってやってみたかったこともあり、世界中から人が集まって時間もお金も労力もかけているクリエーションの賜物、みたいなことに端っこでも参加できていてとても楽しいです。日本では慎重になってしまうようなこともポンとできたりとか、パリの方が名前にとらわれず無名でも気に入ってもらえたら採用してもらえたりとか、そういう仕事の仕方、リズムみたいなものがすごく心地よくて。
東京では大きなお仕事を頂くことも多いですし、レッスンしたり、一人ひとりの方との個々のつながりなんかが楽しい。いろいろやってますが全部好きなことだから、自分の中ではバランス取れてます。


B : いろんなことを並行して行っていくのは、ある種の器用さみたいなのが必要なのかなって思うのですが、バランスをとるために何か心がけてたりしますか?

Y:なんでも面白そうと思ったらやってみるんですが、やってみてあんまりだったなと思うことは色々あって。
例えば沢山作品を作って売る、みたいなことは向かないかもしれません。ポップアップとかやらせてもらってありがたい経験なんですが、テンションが上がりきらないというか。そういうものはそっとやめていきます笑。だから器用にこなしているわけではないと思います。
今までやったことないから、とか、私に合わないかも、とかいきなりシャットアウトはしないですが、そうやってきて好きなことだけが残ってきているので、声をかけて下さる方もそんなにずれた依頼はしてこなくなるというか。

活気あふれるマルシェ


B : 今後も、自分のやりたいことを突き詰めていって、ライフスタイルを発信していくことがしたい、という感じでしょうか。現状に満足していますか?

Y:そうですね、書いたり、撮影のスタイリングをしたり、今やっているようなことをもっとやっていきたいです。あとは、何か心躍るようなものがあればトライしてみたいと思います。今を高めていきたい、もっと質を高めたいというか成長したいというか。
でもすごく変えたいという事はなくて、概ね満足しています。仕事に限って言えば出産してからセーブしているところもありますが、子育ても一続きというか人生の一部というか。なので人生に満足しています。子供のことも書くことが仕事になっていたりするので、発信して行けたらいいなって思っています。


やっぱり、百合香さんはとても軽やか。お話を伺っていく中で改めてそう感じました。ポジティブに人生を謳歌している姿が、見ていて本当に気持ちいい!憧れちゃいますよね。でも、子育てと仕事の両立は大変よねって思う女性も多いと思うのです。もう少し、その辺りを突っ込んで聞いてみたいと思い質問をしてみました。

セーヌ河畔


B : 女性が働くということに、日本ではまだまだ制度も理解も追いついていない部分もあると思うのですが、百合香さんは特に困難は感じていないのかな、と感じました。例えば二拠点生活とか、周囲から反対はなかったですか?

Y:結構好きなことしかやってこなかったんですよね、笑。でも二拠点生活とか、遠距離別居とか、面と向かっては言われないですけど、赤ちゃん連れて大丈夫?みたいな空気を感じることはあります。でも全く、私は気にしないです。
ほんとに日本はおかしいなって思うんですよね。独身でいれば結婚しろ、結婚したら子供を産め、産んだら産んだで専業主婦を馬鹿にされ、社会に出ようとするとそれはそれでダメって言われて。産め産めっていうのに、子供つれて電車に乗ると白い目で見られたりとか。それは本当におかしいと思っていて。

B : 同感です。今でもまだそういうのあるんですよね。。

Y:少し上の世代の方からは感じることも。でも幸い、両親がそういうことを言わないので。そこは大きいかもしれないです。
自分の中では、それはおかしいという思いがあって、変えるべきだ!と思っていて。実際に出産をして経験したことからそう思ったり、日本の社会問題というかパラドクスというか、そういうことを考える機会も増えましたし、自分でも書けたらいいなと思っています。やっちゃいけないこととは思っていなかったので。
例えば、私が泊りがけで仕事しないって決めたのは、子供がいるのに泊りで仕事なんかしちゃダメだと思ったからではなく、私が帰りたいと思ったからで、そういう母性なんかは自発的なもので社会が決めることではないと思います。自分らしくというか、そんなの周りがおかしい!くらいに思ってもいいんじゃないかと笑。

建物にも歴史を感じます


B : 私は私でいいんじゃないか、って胸を張れるようになったのはこの年になってから、やっと少しずつという感じです。住んでいる地域とか、世代とかあるかもしれないですが。

Y:世代とかはあるかもしれないですね。
でも、一人で子育てしていて煮詰まってしまう気持ちも分かります。全体的には楽しく生きてますけど、家事とか子供との時間ばかり続くと少し嫌になることもあります。でもその不満とかを積極的に口にしようとは思わなくて、言うとしたら家族くらいです。家族にはすごく支えてもらっていて、例えば母なんかに、こういうのやったよ、って仕事の報告をすると必ず褒めてくれるんです。ファンでいてくれる。夫も、褒めてくれるし落ち込んでいると励ましてくれます。

何のストレスもなく楽しくやってらっしゃるんですね、って言われたら、いやそんなことないですって言いますけどね~と、笑いながら話してくれた百合香さん。彼女の軽やかさは、自身でも言われていたように家族のサポートのおかげもあるのでしょう。でもきっとその支えが得られるのは、百合香さんもまた、家族への思いを何かのかたちで返しているからなんだろうな~と、素敵な関係性にほっこりしました。

そして、そのしっかりと築かれた土台の上に立ち、強い気持ちをもって歩く姿に明るい希望のようなものを感じました。私たちはつい、世代や性別といったわかりやすいグループに自分を当てはめ、分類してしまうことが多々あります。そこから見える風景は、狭まっていたり歪んでいたりすることもきっとある。百合香さんと話していて目に浮かんだのは、そんな縛りのようなものから自分を解放して、もしかしたらそんな縛りすら元から存在しないようにボーダーレスに生きる姿です。これからは、それが当たり前になるといいな、当たり前にしていきたいな。そんなことも思いました。

お仕事、暮らしぶり、そして生き方まで。幅広いお話で、本当に楽しいインタビューでした!
あえて世代の話をするならば、私も40代後半になり、それなりにいっぱしの人生経験を積んできたようなつもりになっていましたが、若く活躍されている方との対話からは、また新たな視点を持つこともでき、とてもいい刺激になりました。そしてこれから社会に出る子を持つ母親としても、これからの若い方たちの生き方、選択の理解者でありたい、応援したいとも改めて思いました。

百合香さん、どうもありがとうございました!

HP https://www.maisonlouparis.com/
Instagram @maisonlouparis

※インタビューは2021年9月に初掲載

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