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フランスと繋ぐ理想の楽園 vol.5

楽園シュライユ


B : 帰国して、農業体験もしたし土地もあるし、じゃあ育てることからやってみよう!と思って今の形を始めたんでしょうか?

Y:いや、どちらかというとシュライユに行ったのがきっかけですね。ツアーに参加して、ああ天国だと思って。


B : 由美さんの著書『パリスタイルで愉しむ花生活12か月』にも大きく取り上げられている郊外の村ですよね。
そこに住んで活躍されているゆうさん、私はお会いしたことはないのですが素敵だな~といつも拝見していて、一度ぜひ行きたいと思っています!由美さんも良く楽園と書かれていますが、シュライユはやっぱり素敵な場所なんですね。

Y:ああもう、天国です!シュライユの長であるクリストフが何年もかけて、何もない場所に色々な木を植えて畑を作って今の形になっていると聞きました。
もともとは麦農家で今もたぶん麦も作っていると思うんですが、きっかけはクリスチャン・トルチュ(由美さんも研修したパリのトップフローリスト)からもっと作ってとリクエストされて作り始めたんだそうです。


※クリストフはパリのフローリストなら知らない人はいないというほどのフォイヤジスト。フォイヤジストとは葉物、枝ものを専門に扱う業者のことだそう。シュライユについては前述の由美さんの著書に詳しいので、興味持った方はそちらをぜひ。

シュライユの景色


B : そうなんですね!由美さんのSNSにも良く登場して、のびのびとした枝ものとか美しい色の葉物、良いなあ、欲しいなあと思って見ています。

Y:パリのトップフローリストから信頼されてる人です。すごく優しくて、とても良くしてくれました。
シュライユに初めて行ったときにお昼を一緒に食べたんですが、その時、日本に帰ったら私も育ててみたいと思っていると話をしたら、いつでもいいからまたおいで、って言ってくれて。それで後日、ゆうさんの切り出しのお手伝いに行かせてもらったんですが、それがすごく楽しくて。日本でも頑張りたいなと思いました。

B : 大変そうだけど、楽しそうですね!


Y:そうなんです。その時、シュライユで感動したことがあって。
その日はマリアージュ(結婚式)があったとの事で、人がたくさん集まっていたんです。それでお客さんの一人が花束が欲しいといったらしくて、ゆうさんに注文が回ってきたんですね。わかった、30分くらいで出来ると思うと注文を受けて、すぐ花材を切り出しに行き、花と葉物とグラミネを採って、そのまま畑のど真ん中でブーケを作り始めたんですよ。めっちゃワイルドだ~!って笑。
切り出したばかりで花材も新鮮、シュライユの生き生きとした花材を使ったブーケが出来上がって、ラッピングしてお渡しして、っていう一連の作業がほんとに30分くらいで出来たんですね。これってすごいことだなと思ったんです。
日本の市場で仕入れる花は、早くても前日に農家さんが切り出して開花処理とかを経て市場に並ぶものがほとんどですよね。それを花屋が買って水揚げして、お客さんが買う。生産者さんからお客さんまで届くのに最短でも1,2日かかります。それをシュライユではたったの30分で出来たんです!これができたらいいな、これが私の理想形だと思いました。私も幸せだし、お客さんもハッピーだよなあと。


B : それはたしかに、幸せですね。ますますシュライユに行ってみたくなりました!

Y:次にフランスにいったら絶対に行ってください!

由香里さんのブーケ


B : 絶対行きます。それで、シュライユで抱いた思いを胸に栽培も始めたわけなんですね。送って頂いたブーケ(上写真)、今年は長雨でお花がだめになってしまい、タイミング的に由香里さんの畑からのお花をメインに束ねて頂くことが難しかったんですよね。でも用意して頂いた減農薬栽培のバラが素晴らしくきれいでした!他にも自然な蔓とか入ってましたよね?

Y:あれは本田バラ香園さんのもので、香りのあるバラを多く育ててみえてすごく好きなんです。農薬の使用を最低限に抑えていて、肥料なんかも徹底的に管理しているそうです。だから安心して買えます。良いお付き合いをさせてもらえてありがたいです。蔓は山からのもの、アケビの蔓です。

B : そうなんですね、バラはほんと香りも良くてウットリしました。大分の自然が感じられるブーケ、良いですね!九州は花農家さん多いんですか?いろいろな農園の方とつながれると面白そうですよね。


Y:大分は、スイートピーとか、鬼灯とかあとバラ農家さんもあります。菊とかも。隣町にラナンキュラスのラックスを育てている農家さんもいるらしくて。農家さんと仲良くなれたらいいな~と思っています。でも市場制度のいろいろなことがあって、直接買うということはなかなか難しくて。


B : そうですよね。仲良くなって色々教えてもらって、自分で作るしかないですね笑。


由香里さんの今の活動の原点は、フォイヤジストの村シュライユにありました。ゆうさんがブーケを作る様子を、その光景が目の前にあるように目を輝かせて話す由香里さん。それはきっと彼女の人生を変える瞬間だったのではないでしょうか。とても素敵なエピソード、聞いていて、なんだか私まで興奮してしまいました!
そうして最初に伺ったように、少しずつ栽培もしながら、フローリストとしての活動を始めた由香里さん。ギフト以外にも幅を広げて活動されています。

B : 「花があるひと」というテーマで写真撮影の花のスタイリングをされていますが、あれ凄く素敵です!


Y:ありがとうございます、あれは写真スタジオさんとのコラボなんですが、自分たちの撮影でまた新しいことに挑戦したい、生花を使ったスタイリングで撮影がしたいということで声をかけてもらいました。

B : どんな流れで撮影するんですか?

Y:一日に、この前は9組のお客様でした。事前にどんな方か写真をみせてもらってイメージを膨らませます。当日の衣装は決まっているので雰囲気とか色を合わせて花を用意して。でも、ヘアメイクは当日なので、その場で合わせながらやっている感じです。アップヘアならお団子のところに花を挿しましょうとか、ダウンスタイルなら髪に絡ませますね、とか。すごく楽しいんですけど、すごく集中して考えるので脳みそが疲れます笑。

B : ちょっと個性的で、他にない感じなのでとてもいいなと思います。ただ綺麗な花を持つだけじゃなくて面白いですよね。次の予約もあっという間に埋まったそうですね。

Y:面白いと言ってもらえるの嬉しいです。ちょっと現代的な、アート感じゃないけど、ポップだったりモードだったり、そういうのが好きな人が集まってやってるので。

B : パリスタイルとはまた違うかんじで、それもいいですよね。

Y:そうですね、いろんな仕事の幅が広がるといいなと思っています。


花仕事のキャリアが長い方なので、なんだかもう何年も大分で活躍されているように感じますが、実はまだフランス留学から帰って1年たったところ(インタビュー当時)。やっと、1年間の巡りをひととおりやってみて、なんとなくわかったかな、という感じですと話してみえました。

土地を耕し、花を育ててギフトとして新鮮なままお届けする。スタイリングでは個性的な表現も楽しみながら、大好きなパリスタイルを続けていきたい。そんな由香里さんの大きな夢は、大分にシュライユを作ること。皆が集える場所を作りたいですね、と。ああ、それいいなあ、と私まで夢見心地に。

実は以前、福岡に5年ほど住み、その時に子供を授かったこともあり、九州は私にとって第二のふるさとのような懐かしい場所。九州の自然に溶け込む大分版シュライユ、ぜひ実現して下さいね、遊びに行きます!

夢のある素敵なお話でした。由香里さんありがとうございました!

twitter.com/yukari_fleurs
Instagram  @yukari_fleurs

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※このインタビューは2021年11月に掲載したものを加筆修正しています。

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