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60カ国以上の国から中高生が集まって教養を競うWorld Scholar's Cupとは

はじめに

こんにちは、大阪府在住の高校2年、BONNEです。今回は、私がここ半年間力を入れ続けていた大会、「World Scholar's Cup」について紹介しようと思います。というのも、この大会は使用言語が全て英語であり、(何しろ、主催が海外の教材制作会社なので。)アカデミックかつ国際的で、日本人の参加者は年々増えてきているものの、帰国子女やインターナショナルスクールに通う学生の参加が大方です。

ですが、私は純ジャパで海外経験もありません。(事実、世界大会でのオーストラリア渡航が修学旅行ぶり、2回目の海外旅行でした。)そんな私でも参加でき、そして楽しめる大会であることを、幅広くシェアしようと思っています。(あと、役に立つかはわからないですがちょっとした攻略法を。)

WSCの魅力を余すことなく説明するために、かなり長文になることが予想されるので、読む場合はとりあえずここで深呼吸をして、気合いをいれてください。

では、準備はいいですか?

World Scholar's Cup (通称WSC)とは?

World Scholar's Cupとは、2006年にアメリカ資本の教材制作会社Demidecによって韓国で初開催された、中高生の総合的・包括的な教養を競う大会です。

原則3人で1チームを組み(過去には2名での参加等もあるみたいです。実際ディベートで競った相手が2名チームということもありました。)、スペシャルエリア(毎年変わる特別科目)、科学、歴史、文学、音楽・美術、社会の6教科で、毎年初めに発表される各科目のスタディーガイドに基づいて各自がリサーチをし、ディベート・エッセイ・ペーパーテスト・クイズの4種目の総得点を競います。芸術がかなり広い範囲を占めており、日本では教養としてスタンダードではない分、勉強するのは大変ですが、面白かったです。

また、全教科を通して毎年一つの大きなテーマが決められます。今年は「An Entangled World」でした。日本語にすると「もつれあった世界」でしょうか。科目を一つ一つ勉強していくと、全てにおいてこのテーマに繋がっていくことがわかるようになっていて(?)、また、これが全体を通して重要なキーの一つになってきます。来年は「A World on the Margines」だそうです。めちゃめちゃ面白そう。

※WSCは非常にアルパカが好きな大会です。そうです、あの、動物のアルパカです。RegionalからToCまで、各大会で少なくとも一つアルパカのぬいぐるみがもらえます。(だんだん大きくなっていきます。)アルパカを頭に乗せてバランス競争をしたり、誓いを立てたりする少し変わった場面もありますが、そこも全力で楽しみましょう。

大会について

・開催要項

もちろん最初から異国の地で闘うのではありません。Regional Round(地方大会・日本)→Global Round(世界大会・数カ国で開催)→Tournament of Champions(決勝大会・米イェール大学)という風に進んでいきます。

基本的には上位何人が次のラウンドへ進めるということになっているのですが、Additional Qualifyという枠もあるので、TOPに選ばれなかったからと言ってスクリーンを観るのをやめないようにしてください、選ばれてるかもしれないので。

Global Roundへは比較的進みやすいと思うので、出場するかどうか迷ってる人はとりあえずRegionalに出ましょう。(笑)  ただ、Tournament of Champions(通称ToC)へは、やはりそれなりにGlobalで結果を残さないと勝ち進むことができません。Globalの時はしっかり勉強しましょう。(笑)

と言われても、何をするかわからなければ意味がないので、WSCで競われる4競技についてご説明します

・Scholar's Challenge

いわゆるペーパーテストです。120問の選択問題を60〜75分(大会によって違ったと思います)かけて解きます。事前にどれだけちゃんと準備をし、必要な用語を覚えてきたかが直接結果に現れるので、頑張れば頑張る分だけ、報われます。科目ごとにメダルももらえるので、やれば、結果を残せます。5択問題ですが、答えを一つに絞る必要もない(5つ全て埋めれば0.2点もらえる)ので、焦らず、でも時間配分をしっかりして、解きましょう。

・Team Debate

私のような純ジャパにとって、最も難関で、恐怖の塊であったディベートです。お題発表後、15分間与えられ、その間はインターネット等を使って準備をすることができます。スピーチの1名の持ち時間は4分です。WSCでは、ディベートというより、少しスピーチっぽい印象を受けました。どれだけ人の気持ちを揺さぶるスピーチができるかというところにある程度点数がいくということです。しかも、実は勝敗は点数自体にはあまり関係なく、個人によっても点数がつけられています。(それが個人のディベートのメダルにつながる)(なので3rdスピーカーは必然的に高得点を取りやすい傾向にあるかも、、?)

全員のスピーチが終わり、勝敗決定の前に、互いにフィードバックをしあう時間があります。これはWSC独特のもので、90秒ずつ与えられ、相手が「より良いディベーターになるため」のアドバイスをします。私たち自身これによってスピーチの仕方や論じ方について再考することもありました。

さて、もう一度言いますが、私たちは3名全員純ジャパのチームで挑みました。もちろんそれなりに準備をしていったわけですが、非ネイティブにとってネイティブの前で英語を喋ることは最初は恐怖でしかありませんでした。ですが、いざ当日となってやってみると、案外楽しく、結果的にはGlobalでは1勝、ToCでは、なんと2勝することができました。(お題・サイドによる有利不利も少なからずあったとは思いますが、)世界の同世代と自分たちは互角に戦うことができるんだ、と認識し、ネガティブにならず、自信につながったと思います。

・Collaborative Essay

1人につき、1つエッセイを書きます。6教科に沿って6つのテーマが出され、その中からチーム内で被らないように3つ選んで45分かけてエッセイを仕上げます。その前に25分間のインターネットを使って、チームメイトと相談していい時間もあります。さらに、エッセイを書く45分の後、15分間は(インターネットは使用禁止ですが)チームメイトとCollaborateする時間があります。お互いにエッセイを読みあってもよし、文法チェックに使ってもよしの時間です。(私のチームは最後の最後までそれぞれ書き続けていましたが。)

・Scholar's Bowl

簡単にいってしまえば、クイズです。チームで1つクリッカーを持ち、制限時間内でチームメイトと協力して、5択から1つの答えを選ぶ形式のクイズです。各教科の勉強をしていれば解けるような単純明快な問題は少なく、Challengeよりも柔軟な思考力が問われます。また、海外で流行っているmemeからよく出題されるので、慣れ親しんでいると、楽しみながら(かつ少し有利に)進むことができます。私たちはそこにとても疎かったので、最初は「なんだこれは」と悪戦苦闘しました。

全体に占めるBowlの割合はかなり大きく、ここでいい結果を残せるかどうかで最終的な結果も変わってくると思います。もし、ディベートも、エッセイも、Challengeもだめ、というときはここで一踏ん張りすれば、全体の成績が上がるかもしれません。実際、私たちもGlobalの際、Bowlでかなりいい成績を残すことができたので、それが全体成績の向上に繋がり、ToCへの参加権を得ることにもつながったと思います。


アカデミックなイベントは以上です。なんだかめっちゃ大変そうですが(実際大変ですが、)トピックは小難しいものじゃなく、身近なものだらけで、知的好奇心をくすぐられるような良トピック・テーマばかりです。いくら普段の学校の勉強が嫌いでも、「勉強するのが楽しい!好き!」と思え、しかも教養まで身に付けることができます!私は直前まで多忙を極めていたので、直前1週間と大会期間中の徹夜で乗り切りましたが、今更ながら、もう一回今回の範囲を勉強したいなーと思い始めています。

・チームについて

3人で1チームを作りますが、3人とも同じ学校でなければいけないという決まりはありません。私も他校の子と組みましたし、3人全員違う学校で結成されたチームもありました。

この大会では結局「チームワーク」がとても大事になってきます。全ての教科を一人でリサーチすることもできませんし、勉強もチームメイトと共有して進めていく方が効率的で、捗ります。お互い助け合いながら、大会で切磋琢磨するうちに「チーム」という一体感も味わえますよ!

と言っても、もちろん誰と組んでも構いません。仲の良い人と、普段学校のテスト等でライバルとして競い合っている人、この際仲良くなりたい他校の人、、、 ちなみに、私の場合はRegionalのあと、1ヶ月かけてチームメイトを探しました。(なんと1人目はTwitterで声をかけました。もともと知り合いでしたが。笑)チームメイト探しにも時間がかかってしまう可能性があるので、できれば、最初からモチベーションのある程度ある仲間と組んでおくことを、自分の経験を基に、強く推奨します。(笑)

FUN EVENTS

さて、ここからは、大会中に開かれるアカデミックではない、国際交流ベースのイベントについてご紹介します!タレントショー以外はGlobal Round以降でしか開催されないことをご承知ください。。

・Scavenger Hunt

開会式の後、全スカラー(参加者)がチームに分けられ、街に繰り出して、タスクに取り組みます。腕立て伏せをしたり、マジックをしたり、別チームと交流したり、少し変わったタスクもあります。ToCではイェール大学のキャンパス近くを散策しました!(大会のマスコット(?)であるアルパカも見にいきました。)だいたい一つの国に1名という振り分けになっているので、お互いの国について紹介したりしながら、交流を深めることができます!私も、Scavengeで出会った子たちとは今でもSNS等でやり取りをしています!

・Keynote Speech

開会式の直後、その年の教科でテーマになったものに関わりのある人がゲストとして招聘され、トークを行います。今年はGlobalではLiterature、ToCではArtsの作品の作者がお話をしてくださいました。

・Debate Showcase

これもWSC独特のイベントです。ディベート成績優秀者の中から、8名が選ばれ、その場でチームを組み、ディベートをします。Regionalでは1校につき1名、Global以降は1国につき1名で選ばれていると思います。中でもハイレベルなディベートのスピーチを聞くことができるので、新しい発見がたくさんあります!

2016年、バンコクでのGlobalのDebate Showcaseの動画を見つけたので貼っておきます。こちらから!

これでWSCのディベートがどんな感じなのか見ておくのもいいかもしれません!

・Cultural Fair

恐らく、アカデミックなイベント終了、またはその翌日の夜に開催される、文化紹介イベントです!各国のスカラーが自国を紹介します。日本は、日本のお菓子(抹茶系のうけがいいらしいです)を配ったり、けん玉をしたりするのが主流なようです。私は2時間ずっと筆ペンを握り、参加者の名前を聞いては平仮名or漢字で書くというのを続けていました。日本ブースは毎回とても人気で、盛況です!残念ながら、私は担当のところから抜け出せなかったのですが、他国のブースもとても面白いものばかりだったようです。(珍味や辛味がよく登場するのだとか、、)それでも、日本ブースまで来てお土産をくれるスカラーもとても多くいたので、帰る頃には様々な国のお菓子やお土産で手荷物がいっぱいになっていました!

・Scholar's Ball

日本人には全くと言っていいほど馴染みがない、ダンスパーティです。アカデミックなイベントは全て終了し、残すところは閉会式だけ!という日に開かれるので、スカラーのテンションもMAX、いくら慣れていなくても、無条件にテンションが上がります。(あげさせられます。)たまたま横にいた人と踊ったり、輪ができてるなと思ったら中央で物凄くダンスが上手い人が踊っていたり、DJによっては、中高生に流行りの曲を流してくれたりして、皆で歌いながら踊ったりしてとても楽しかったです。特にドレスコードはありませんが、基本的に、女子はドレスアップして、男子はスーツでキメて参加します。(もちろん普通の服でもOKです。)そこで、ひとまず盛り上がった記憶があります。(笑)

・Talent Show

海外のこういうイベントではおなじみの、有志が特技を披露することができる、タレントショーがあります。歌を歌ったり、ダンスを踊ったり、中には車掌のモノマネをする人も!Global、ToCでは日本は今の所、毎年ソーラン節を披露しているようです。(今回のToCでは、もう飽きただろうということで、ソーラン節の後にU.S.Aを踊ったら想像以上にうけました。)

ただ、GlobalやToCでは事前登録の上、軽い選考があり、そこで通らなかったりする人も多いようです。どうしても披露したい場合は、Regionalから登録しましょう!(主催者たちに気に入られると、Global等で披露してくれと言われたりする場合もあるらしいです)

・Additional Tour

Globalでは、その土地の観光名所、ToCでは日帰りのボストンツアーに出かけます。申し込みは必須ではないので(Globalの時は申し込みませんでした)、参加することを義務付けられてはいませんが、特にボストンツアーは、海外進学を考えている人は是非とも参加を検討してほしいイベントです。MITとハーバードに行き、在校生によるツアーに参加することができます。日帰りなので慌ただしかったですが、他の参加者とも交流を深めることができました。


最後に

ここまで長々と説明してきましたが、WSCの魅力は"仲間との出会い"だと私は思っています。もちろん、勉強するのはとても楽しいですし、それが結果として報われた時の達成感は今でもそう簡単に忘れられるものではありません。ですが、WSCではlifelongの、心強い仲間・友人を作ることもできます。

まず、半年以上切磋琢磨するチームメイト。もちろんん途中でチームを組み替えたりする場合もありますが、(私もGlobalから今のチームになりました。)少なくとも大会期間中(Globalでも1週間、ToCも合わせたら2週以上!)同じ時間を共にするチームメイトとはそのくくりだけでは収まりきらない関係を築くことができます。私にとっても、チームメイトは一番心強く、信頼できる仲間です。

そして、世界中から集まるスカラーとの絆。元々は国際交流を目的とするイベントでもあるので、他の参加者と交流する時間もたくさんあります。色々な価値観や考え方に触れることができ、自分にとって新たな視点を組み込むきっかけになることは間違いありません。

また、同じ日本からの参加者。日本からDelegation of Japanとして参加する場合、他校の学生と1週間寝食を共にすることになります。最初は皆少し緊張気味ですが、帰る頃には必ずと言っていいほど、「帰りたくないね」と肩を詰めて話すほど、仲良くなっています。ただの恋バナやあるあるから哲学や進路についての話まで、中身の濃い時間を過ごすことができました。チームメイトと彼らのおかげで私のWSCの旅はさらに楽しくなったと言っても過言ではありません。また、自分と価値観の合う、まさに「一生物の友達」ができるかもしれません。

あと、全員が何かしらの形でメダルをもらえます。なんだかんだいってモチベーションになるので、是非メダルジャラジャラを目指して勉強してください。


さて、ここまできて参加したいと思ったあなた!または、是非とも参加してほしい人がいると思ったあなた!

是非参加してください。一生の思い出になることをお約束します。

来年のRegionalも4、5月に開催されると思うので、準備も今からで間に合います!来年1月の教科ごとテーマの発表を見て、しっかり準備しましょう。

もし質問や、「具体的にどんな勉強すればいいの?」等あれば、質問してくださいね!

長文お読みいただき、ありがとうございました。(もうちょっと写真も入れるつもりだったのですが、、、)


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