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キャロル・キーオ【アイルランド随一不遇の女性シンガー】

90年代半ばからThe Plague Monkeys、The Tycho Brahe、Autamata、そしてソロ活動と良質の音楽を生み出しながらも、現在に至るまで商業的成功とは無縁の彼女。アイルランドでもっとも過小評価されている女性シンガーとも呼ばれています。

1995年、The Plague Monkeysという4ピースバンドを結成し、EP「People and Machinery」をリリース。キャロルの歌声はジョニ・ミッチェルになぞらえられ、その音楽性はMazzy StarやMary Margaret O'HaraにCocteau Twinsと比較され、The Velvet Underground meets Cocteau Twinsとも称されました。この曲のPVはAltered Visionというインディペンデント系のPVを対象にしたコンテストで「Best Music Video」に選ばれ、2TVというテレビ番組のチャート1位に輝きました。またニューヨークの音楽フェスティバルCMJにも2年連続招待されました。当フェスに2年連続招かれたバンドはThe Plague Monkeysが初めてとのことです。

1998年に1stアルバム『Surface Tension』、1999年に2ndアルバム『The Sunburn Index 』をリリースし、批評家からは高い評価を得たものの、商業的成功は収められず、バンドは2000年に解散します。

ダブリンでもThe Plague Monkeysの事を知っている人に、ほとんど会ったことがありません。それでもネット上の声に耳を傾けると、このバンドが今でも愛されていることが解ります。もはや解散してしまっていてCDすら流通していないバンドのことを今更書いても意味の無いことでしょうか。目まぐるしく移り変わる世界の中でも消費されない音楽があることを僕は信じています。そして、たとえ小さな声であったとしても、当時日の目を見なかった音楽が再び脚光を浴びる機会を与えられることがあるとしたら、それは音楽の作り手のはしくれとしてもうれしい事です。

The Plague Monkeys

その後、キャロルはThe Plague MonkeysのメンバーだったDonal O'MahonyとThe Jimmy Cakeの元メンバーDiarmuid MacDiarmadaと一緒にThe Tycho Braheという3ピースのバンドを結成し、後にTychonautと改名します。といっても衣替えのようなもので、やっている音楽はほとんど同じ、2002年に『This Is』、2003年に『Love Life』とアルバムをリリースしますが、やはり商業的成功を収められず、2005年に解散しました。

2002年、キャロルはKen McHughというアイルランド人のプロデューサーらとAutamataというエレポップバンドを結成し、これまでに3枚のアルバムを発表しています。

そして2014年、ファンサイトでレコーディング費用を募って初ソロアルバム「Mongrel City」をリリース。琴線に触れたら是非。

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