孫は子よりかわいいかな
〔解説〕
いつの世でも子や孫はかわいいものであるが、特に孫については昔から「孫は子より(も)かわいい」などと言われている。
しかし、ほんとうにそうだろうかと疑う人も多く、いつの間にか「孫は子よりかわいいかな」などという珍妙なことわざができた。一般的にことわざは肯定か否定であり、このように疑問を投げかけるスタイルのものはきわめてまれである。
〔さらに解説〕
そもそも、孫が子よりかわいいという根拠はないのだから、「孫は子よりかわいいかな」は、珍妙どころかむしろ当然と言える。
自分の子供は息子であれ娘であれ、長い間直接手をかけ苦労して育てあげたのであるし、孫となれば一系統血縁も薄くなる。それらの点を考えると、「子より孫がかわいい」のはおかしいと言っても不思議ではない。
孫の性格や容姿によっては、自分の子だけでなく、親戚の子と較べてもかわいくないなどということも考えられる。
日本格言提案協会には、そろそろバリエーションを増やしたほうがいいのではないかという動きがあり、すでにいくつかの候補作が提案されている。「なんてったって孫より子」や「まずは我が子で次が孫」などが好評を得ている。
ちなみに、従来の「孫は子よりかわいい」の類語には「孫のかわいいと向こう脛の痛いは堪えられぬ」、「孫は目の中へ入れても痛くない」がある。(※この二つの類語はパロディーでなく事実)
なお、「孫は目の中へ入れても痛くない」については、一部のおかしな物書きが、「目の中に入れることができるような小さい孫がいるのだろうか」とか、「かなり大きな目でないと入りきらないのではないか」などと、幼児のようなギャグを言って喜んでいる。
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