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無敵、風邪のウイルスは暴れ放題

 ついに風邪を引いてしまった。喉が痛くて鼻水が出る。咳も出るしくしゃみも出る。睡眠中に鼻が詰まって口呼吸をしていたりする。
 引きはじめは、たいしたことはないだろうなどと思って舐めてかかる。それで重くなる。
 それでも医者がかりは気が進まず、市販薬を飲んだりする。しかし、値段の割りには効かない。医師が処方する薬とは違い、効き目が弱くできているからだ。
 一方、処方薬なら保険もきくし効き目も強い。結局、単純に金額で比較すれば処方薬のほうが割安になる。

 そんなことなら早めに医者がかりをすればいいのだが、処方された薬を飲んだとしても、それは熱を下げたり咳を抑えたりする対症療法であり、ウイルスを退治するわけではない。
 近年では増殖を抑える抗ウイルス薬も開発されているらしいが、どのウイルスにも効くわけではないし、増殖を抑えるだけであり、退治するところまではいかない。まだまだ頼りない。

 風邪の原因のほぼ90%がウイルスで、あとの10%は細菌などだそうだ。〝風邪専門〟のウイルスがいるのかと思ったらそんなことはなく、パラインフルエンザウイルスやアデノウイルスなど、200種類を超えるウイルスがいて、そいつらが粘膜などに取りついて悪さをするのだという。つまり、風邪ウイルスという特定のウイルスがいるわけではないのだ。
 もっとも、ウイルスであろうと細菌であろうと、感染される立場としては同じようなものだけど。
 そもそも、なんでそんなものがいるんだ。いてくれなんて頼んだわけでもないし呼んだ覚えもないのに。

 咳やくしゃみをするから周りの人たちに伝染する。つまり、病原体を排除する役を担う咳やくしゃみが、敵を拡散するという皮肉な結果を招いてしまう。咳やくしゃみは、病原体にとっては活動範囲を広げるための大いなる味方となるのだ。
 ちなみに、咳は時速約160キロでだいたい2メートル以上飛び、くしゃみは時速約430キロで5メートル以上飛ぶそうだ。

 結局、風邪への対処としては薬で症状を抑え、体力の浪費を防いだりすることになる。ただし、熱を下げることで体内の殺菌能力は低下し、鼻水を止めることで病原体の排出を抑えることになってしまう。
 ウイルスや細菌を直接退治する薬でもできないかぎり、いつまでもこういう不条理なサイクルに悩まされるのだ。
 こんなに医学や科学が進んでいるというのに、風邪のウイルスを退治することができないのだ。なんてこった。

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