見出し画像

See You Up There/天国でまた会おう

本当にまた会えるかな?

戦地で命を助け合ったアルベールとエドゥアール。
戦争は二人からいろんなものを奪っていった。そんな世界に復讐するためにふたりは秘密の計画を立てる。実際に計画を立てたのはエドゥアール。アルベールは不安になりながらもエドゥアールの計画に乗るしか道はなくなってくる。
言葉を失ったエドゥアールに、小さな通訳もついてきた。

第一次世界大戦後のフランス。戦没者は手厚く葬られ、帰還兵には仕事もない。
いや、きっと手厚く葬られたのはごく一部。戦没者はその魂を誰もが感謝とともに天国に送った。

この世にまだ生きているのは本当にただの偶然だ。たまたま生き残った命なら、怖いものは何もない。

とにかく美術が素晴らしいこの作品。顔の下半分を失ったエドゥアールの鼻から下は、うまい具合に小物やカメラワークで隠していて嫌味がない。
エドゥアールの仮面も最初の仮面から女の顔や動物や、時にはお札でできていたりしてそれらを見ているだけでも楽しめる。
戦争から帰ってきたパリで借りたボロ小屋も、薄暗いながらも可愛らしく仕立てているし、エドゥアールの実家の豪邸やお金を手にしてから泊まった高級ホテルのスイートも豪華絢爛の中に所々可愛らしいハリボテ感があって全てを細かく吟味したくなってくる。

オープニングのカメラワークも面白かった。塹壕へ向かう犬をただひたすらドローンのカメラが追いかける。
エドゥアールのお屋敷では場違いな所に出向いてしまったアルベールがキョロキョロと屋敷の中を眺め回す。アルベールの視線で見るお屋敷はとにかく天井も高いし全てが豪華で眩しい。どちらも印象的なシーンだ。

最初からいろんな伏線をちりばめて、ラストシーンで全てを回収して去っていく。
次々と予想もつかないことが起きる映画だけど、悲しみも楽しさもおかしさも全てをまとめて詰め込んだような儚くて美しい、夢みたいな2時間だった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?