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土曜日

土曜日
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青空なのに憂鬱を感じる予定のない土曜日
煩悶を繰り返しながら見つめる液晶画面
もしも僕の想いを直訳するなら「君に会いたい」
どうにか翻訳して君の読みやすい文章に
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素っ気なくなり過ぎぬように 下心が見えぬように
チェック項目が多い君に宛てた文章
ひとつひとつクリアして書きあげたはずなのに
どうにも素っ気ない気がするのは、なんでだ
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「ご飯食べに行こう」なんて気軽に誘えない僕だ
きっとこのくらい気軽な方がいいんだろうな
でもご飯が目的だと思われたくはなくて
だって、そう、君は「ついで」じゃないから
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「一緒に」この言葉を入れてみたい気持ちが疼く僕だ
でもさすがにちょっと図々しすぎるかな
君と僕はつまり1と1 であって まだ2ではない気がする
なんだか恥ずかしいからその3文字はとりあえず削除
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文章は疑問形の方がやり取りが続くと聞いた
君のことを知りたいと思っているはずなのに
何を知りたいのか言葉にしようとするとはじける
クエッションマークに辿り着けないのは、なんでだ
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ひとつの文章を作るのにこんな時間をかけてる僕だ
ひとつの文章を読むのだって時間がかかるはずだ
そうだ、待つのはいいけど君を待たせるわけにはいかない
誘わない言い訳ばかり見つけてしまうのは、なんでだ
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こんな僕に誘われたら君はどう思うのだろう
君はきっと断ることを申し訳なく思ってくれるだろう
君が嫌な気持ちにならないでくれるといいな
でもちょっとだけでいいから引っかかってほしい気もする
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もしも君を誘う勇気が僕にあったとして
「他に誰がいるの?」と聞かれたらどうする
2人で会ってみたい、というのが本音なんだけど
そんなことは誘ってから考えろって話な訳なんだけど
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書きあがった飾り気も当たり障りもないたったの3行
挨拶と謝罪とお誘いの誰も傷付けない三銃士
あとは人差し指で指示を出すだけ
僕の人差し指で指示を出すだけなのに、なんでだ
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偶然を信じて枕の上にそっと落としてみた僕の気持ち
スクリーンに枕のファスナーがぶつかって広がった亀裂
自分の人差し指さえ満足に動かせないのに
君の心を動かせるわけなんてないのかな
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君を誘う口実を考えていたらもう夕方
たった3行の言葉も送ることもできない僕だ
君は今日何をしていたんだろう
少なくとも僕からの誘いを待ってはいなかっただろう
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君が好きで、怯えてはふるえる情けない僕だ
可能性なんてきっと消費税ほどもないけど
0ではないことだけを祈ろう
ちょうど一番星を空に見つけた
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今日もまたメモが一件増えました
先週よりはうまく書けた気がする
来週はもっといい文章を書けたなら
君を誘う勇気も湧くのかな

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