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【読書会】宮本輝『流転の海』全巻読書会・第2部『地の星』第8・9章レジュメ

こんにちは。

継続して取り組んでいる、宮本輝さんの『流転の海』シリーズ全巻読書会を、本日(11月14日)21時から、Twitterスペースにて開催いたします。概ね、1章を1回で読み進めてきましたが、参加者とも話し合って最後の2章は一気に読み終えてしまうこととしました。なお、今回から「はてなブログ」にて掲示いたします。お含みおきください。

レジュメとしてはまず、各章の概略について、数か所ずつ挙げてみたいと思います。その後に、ぼくの心に引っかかったところを「抜き書き」して、読書会の場でも語り合ってまいります。

【追記】

14日の読書会のうちでは、8章までしか終われませんでした。したがいまして、28日(月)の会を、第9章に割り当てます。

また、12月から第3部『血脈の火』に移りますが、年末進行が未定なので、開催日が決定し次第ご案内さしあげるようにいたします。
 ↓
12月12日(月) 2022年の読書の振り返り
12月19日(月) 『血脈の火』第1章
1月9日(月) 同第2章
1月23日(月) 同第3章

と決まりました(22/11/28)。

第8章(p.436-493)のポイント

1.和田茂十死す。
2.伊佐男、命を狙われていること、病でいくばくもないことを知り、自害
3.熊吾、大阪に戻ることを決意する。

心に残ったところ

1.「死に顔は生きざまよ」(p.438)
2.「樹は三百年たったも花を咲かせよる・・・」(p.439)
3.「だまされたとは何という恥ずかしい言葉であろう。そう言われましてなァし」(p.450)
4.「あんたのお父さんは、ウマちゃんに、こない言いなはった。この子が、将来、どんなすばらしい人間になって、自分をどんな幸福な母親にしてくれるじゃろうと考えて、草の根を食うてでも頑張らにゃいけん・・・」(p.455)
5.「ここで動いているものは、風や雲と、野鳥と昆虫と、働く人間たちだけだなと熊吾は思った。世の中というものは、まったく動いていないのだ、と。そのことが、熊吾には、ひどく空しくて絶望的なものに感じられた(p.456)。
6.「わしの骨を、お袋の墓に入れてやんなはれ」(p.461)
7.「わしが、この南宇和におるのは、あんまりええことやあらせんみたいやのお。房江の言うとおり、どうも人が死にすぎる・・・」(p.468)
8.「えらそうに接したら、稲も野菜も育っちゃくれんけんのお」(p.473)
9.「わしは、世の中が動いちょる場所へ戻る。房江も伸仁も、なんとか元気な体になった。このわしのふるさとは、まことにええとこじゃが、大きく動いちょる世の中とは無縁のところじゃ。伸仁を、大きく動いちょる世の中へつれて行かにゃあいけん。いま、そんな気がして、南宇和での生活を投了した」(p.473)
10.自分は傍観者になりさがったのだ。このふるさとでの数年間は、自分から行動を奪い、自分にゆかりのある何人かの人間を災いに巻き込んだ(p.474)

第9章(p.494-536)のポイント

1.親族を連れて行くかどうかについて、決着を見る。

心に残ったところ

1.自分は十段の梯子を一段一段昇ろうとはしない。三段とばし五段とばしで昇って行こうとする。それが、これまで冒した自分の失敗の原因でもあるし、人間としての欠点でもある。熊吾はそう自覚していながらも、小さな商いを徐々に大きくしていこうとは考えなかった(p.498)
2.「インテリは、他人のことに無関心なやつが多い(略)いっつも傍観者で、そのくせ屁理屈を並べて、自分よりも知識のない人間を腹の底で見下しちょる(以下、略)」(p.501)
3.「そうじゃ、言葉が下手くそなのは一種の悪じゃ。言葉が下手なのは、頭が悪いからじゃ。頭が悪いのは人間の罪悪のひとつじゃ」(p.507)
4.「いっぺん裏切ったやつは、また裏切りよる。そのことをわきまえたうえで、知らんふりして雇うてやったらええ」(p.507-08)
5.「もうそれ以上、自分の父さんの悪口を言うな。それは自分を蔑むことじゃ」(p.511)
6.人生には幾つかの山があるが、伸仁にとっては、とりあえず最初の山を越えたということになるだろう(略)俺のふるさとは、俺の病弱な一人息子を、なんとか五歳まで育ててくれた。俺のふるさとの使命は終わった・・・」(p.517)
7.五十歳で初めて子の父となった男には、そのことによって為さねばならない使命があるに違いないと考えた(p.517)
8.「子のための親なんじゃ。親のための子なんか、おりゃあせん」(p.524)
9.月光のもとの菜の花の群れが視界に入った瞬間、熊吾は、それが地から湧き出た夥しい数の人間の群舞に見えた(略)歓声をあげてはしゃいでいる小さな人間たちに見えたのである」(p.528)
10.突然、熊吾のなかから、この数年鎮静しつづけていた烈しい闘志が噴き出してきた。俺はまだ五十五歳だ。まだまだ洟たれ小僧だ。休養はたっぷりとらせてもらった。俺の人生は、いよいよこれから始まるのだ――」(p.529)


後記(22/11/29)

11月14・28日の2回で、第8章と9章の回を設け、第2巻『地の星』については完結を見ました。ご参加くださった方、お聞きいただいたり、レジュメをお読みくださったみなさまに心から御礼申し上げます。ありがとうございました。

できましたら、第1部『流転の海』と第2部『地の星』に関しての簡単な「まとめ」を作成しておきたいと考えます。どうぞよろしくお願いいたします。最後までお読みくださり、ありがとうございました。





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