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おおかみなんてだーいすき

昨日の抜歯ついでに思い出した絵本があります。
こちら。

食われそうになっているのにこのウサギの呑気な顔が印象的な表紙ですが、なんでしょう、子供むけのラブコメみたいな話です。
まずこのウサギがですね、ド天然です。オオカミが食ってやろうとずーっとつけ狙ってるんですが、ことごとくその天然さでフラグをへし折っていきます。自分を食おうとしてる相手を手料理でもてなすという。
記憶がだいぶ曖昧になっているんですが、たしかカレーじゃなかったかな。しかも激辛な。これもなんかラブコメ漫画でありそうな展開だと思うんですが、狙っている可愛らしい女の子にカレーを作ってもらってわーいと食べたら火を吹くぐらい辛かった的な(本人は平気)。
何度も何度も何度もアタック(本来の意味通り)をかけるも、その都度その天然具合にスカされ気勢を削がれ、もう我慢ならんとガバーっと食べよう(本来の意味どおり)としたら虫歯を見つけられて抜かれるという。
あれ、なんかオオカミが不憫になってくるな。
そして抜かれた歯を2人仲良く、ネズミの歯と変えとくれ的行事を行うに至り、もうなんだか食う気もなくしてしまったオオカミは、天然ウサギのことを好きになっていたことに気づいて仲睦まじく一緒に暮らすことに。
確か最後のページはおじいさんとおばあさんになったオオカミとウサギのページで終わったんじゃなかったかと思います。
なにこのラブコメ展開!!
天然にもほどがあるというか、捕食者がカパーっと口を開けて襲いかかってきてるときに、よく口の中なんか観察できたな、と大人になるとツッコんでしまうのですが、子供の頃はかわいいお話で大好きだったんです。
書いてたら思い出してきた。このウサギ、何かっちゃ料理してたんじゃなかったかなあ。カレーじゃなくて、胡椒のフタが飛んで、ドバッと出た胡椒がオオカミ直撃だったかもしれない。
あの手この手で食おうとするオオカミを天然攻撃で萎えさせて、「最初は下心だったけど、俺、こいつのこと好きになっちゃったかも……💕」みたいな、登場人物が人間だったら対象年齢をあげなきゃいけなくなりそうなお話です(笑)。
いやまあ、作者の方はそんなことはきっと思ってもいなくて、最初は害をなそうとしてきた相手でも、偏見をもたずに優しく接することで仲よくなれることもあるんだよ、というとってもさわやかで正しいことをおっしゃろうとしていたんだとは思うのですが、色々汚れてしまった大人になって思い返すと、少女漫画的ラブコメにしか思えなくなってしまいました🤣
それにしても歯医者さんの絵本とか他にもありそうなものなのに、歯を抜くというとまずこの本を思い出したのは、やっぱり食われそうなのに虫歯を見つけるという展開が印象深かったんでしょうねえ。児童書にありがちな、もう食ってやるー!的な宣言があったようにも思いますから、ウサギの呑気さがよけい際立っていたんでしょうねえ。
残念ながら絶版のようですが、このポプラ社の小さな童話シリーズは以前書いた『おばけのアッチ・コッチ・ソッチ』シリーズも入っていて、けっこう名作多いんです。『うたうケーキはどうかしら』のシリーズとかも好きだったなあ。『こまったさん』と『わかったさん』もこのシリーズかな?
人気作はそのまま新しい小さな童話に受け継がれていたり、復刻されたりしていると思うんですが、この『おおかみなんてだーいすき』みたいに単発もので面白い作品も多かったと思うので、その辺も復刻されないかな、なんて思ったりします。
いやあ、でも本当に王道のラブコメ展開なので、面白いから図書館などで見かけたらぜひ手に取っていただきたいなあ。ツッコミながら読むのもまた楽し。
まあ、あれですね。やっぱり天然は最強ということで。

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