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アート漫画も楽し

今日は漫画です!
最近新しいシリーズがまた始まった、こちらの漫画。

表向きは贋作・レプリカ専門のアートギャラリー『ギャラリーフェイク』を舞台に、オーナー藤田玲司が、様々な登場人物と様々な美術品を通じて、時に世界を駆け巡り、「美とは何か?」を追い求める。主人公は単なる守銭奴・単なるビジネスではなく、アートへの奉仕者、美の探求者として清濁併せ呑む人物として描かれている。美術・芸術・骨董・その背景となる歴史などの多分野にわたる薀蓄的描写があり、助手サラ・ハリファとのほのかな恋の行方も描かれる。1話1エピソードが基本で、2話1エピソード、3話1エピソードの中長編がいくつかある。エピソード毎にゲストキャラクターがいるので、レギュラー、準レギュラーを含め登場人物は大変多い。

芸術に絡んで社会問題・時事問題にも言及するなどしており、物語は美術方面の商業的な話題から推理サスペンス、コミカルな人間模様、陰惨な事件、時に憎み合い時に愛し合う人々の交流、文化財保護にまつわる制度面の問題など、多岐にわたる。

Wikipediaより

私は一応学生時代そっち系の専攻でしたが、たった4年の勉強ですからそう大してモノにはなってません(笑)。
でも元々絵を見たり神社仏閣に行ったりするのは好きでしたので、『ギャラリーフェイク』みたいなアートにまつわる漫画も面白くて好きですし、先日感想をアップした『リーチ先生』みたいな小説も好きです。
この漫画もアートにまつわる蘊蓄やアート市場について、そして美術館と美術館の運営などなど、色んな要素が詰め込まれててとっても楽しい。鑑定や修復のことなんかもバッチリ出てきます。
それというのも、主人公のギャラリーフェイクのオーナー・フジタは、今では後ろ暗いところのある画廊を経営していますが、それ以前はメトロポリタンでプロフェッサーと呼ばれた伝説的なキューレターなんです。
金に汚い小悪党ぶっていますが、誰よりもアートを愛していてアートに誠実な人間なんですよね。それがわかっているから、なんだかんだと人もアートもフジタのところに集まってくる、みたいな。
ダークヒーロー的なかっこよさもあり、それでいてちょっと抜けていたり。普段は冴えないくたびれたオッサンだし、押しかけ秘書のサラちゃんに振り回されるところなんかも愛嬌があっていいんですよねえ。裏社会に足を突っ込んでいるので、色々ヤバいことに巻き込まれたりするのもまた面白いところです。
フジタ以外の登場人物も個性的で、押しかけ秘書のサラちゃんももちろんですが、フジタを表の世界にひっぱり戻したい美術界のジャンヌ・ダルクと言われている三田村館長や趣味人で料亭の主人の地蔵さん、フジタを目の敵にしている文化庁の国宝Gメン(国宝指定しまくりたい人)の知念さん、美貌の女宝石泥棒の翡翠(フェイツィ)などなど、脇が立ってると長寿漫画ってほんと面白くなりますよね。
終盤にかけてはもう一つのモナリザを巡るミステリー展開になっていくんですが、そこもまた読み応えがあって楽しいんです。
美術界を騒がせた歴史的な事件(メーヘレンやガードナー美術館の盗難、モナリザ盗難事件などなど)も色々絡んできたりと、作者の細野さん、めっちゃ博学だなあ、と思いながら読んでました。
青年誌の漫画ですので多少色っぽい展開もあるので子供にはオススメできないかもしれませんが、高校生ぐらいなら全然読んでもOKじゃないかなあ。
知識の面でいうと『マスターキートン』的な面白さがあるし、展開で言うと『ルパン三世』や『シティーハンター』や『ブラックジャック』に通じる感じかなあ。フジタが荒事苦手ですので、バイオレンスやアクション展開はそうないんですが、基本裏社会と繋がってるのと綺麗事で済まさないんだけど情があるというか。
うまく説明できないんですけど💦
古今の西洋絵画はもちろん、日本画もそれこそ水墨から浮世絵から現代作家まで、そして陶磁器や書、彫刻、ありとあらゆる美術ジャンルを網羅していて、自身の美意識をはっきり持っているフジタはかっこいいです。
なんなら美術展の設営の仕方やカタログ・レゾネの作り方なんかまで描かれているので、美術業界に多少でも興味のある人は読んで損はない漫画だと思います。
もちろんそうでなくても気楽に読めますし楽しめます。ちょっと展覧会見に行く時も、あ、これフジタが言ってたやつかあ、なんてこともあったりして楽しい。
巻数がけっこうありますから、気軽にオススメとも言い辛いとこではありますが、新シリーズもやっぱり面白いし、アート好きな方やちょっとアートかじってみたいなって方にオススメの漫画です。

でも青年誌の漫画ってあんまり好きじゃないとか、見るからにオッサン漫画な絵が好みじゃないって方にはこっちがオススメ。

ふだんは地味な女子高生・燁姫には、銀座の画廊のオーナーというもう1つの顔があった。絵画の価値や真贋を見抜く能力に長け、贋作を描かせても超一流の腕を持つ彼女が画廊を経営する目的は、無名の画家だった亡き父が自分を描いた肖像画を探すこと。その過程で、さまざまな絵画をめぐる愛憎劇を、婚約者の鷹士、アシスタントの蒼らと共に解決していく。

Wikipediaより

『ギャラリーフェイク』とはうってかわって、キラッキラ展開なこの漫画。主人公の燁姫は絵画の鑑定は天才的だし修復の腕もピカイチ、贋作もお手のものでしかも超美人というちょっと古めの少女漫画にありがちな盛り盛り設定。しかも日本有数の大財閥の孫娘。婚約者もお金持ち、途中で出てくるもう1人の求婚者もイケメンのお金持ちという、花男展開(花男より古い漫画です)。
とはいえアート市場の事情や売れる・売れないのシビアな違い、海千山千の商売人たちとやりあったり、ミステリ展開なお話もあったりとなかなかこちらも面白いのです。そして『ギャラリーフェイク』と共通するアートへの愛と主人公の確固たる美意識。
男性が読んでも面白い、とは言えないかもしれませんが、こちらもなかなか面白いです。
『ギャラリーフェイク』同様、こちらも蘊蓄がなかなか面白いですよ!

先日アート小説で感想を書いたので、こんなのも書いてみたくてアート漫画の紹介記事にしてみました。検索してみたら、ebookjapanで『ギャラリーフェイク』は試し読みちょこっとだけですが、『燁姫』はもう少し無料で読めそうだったので、もしご興味あれば試し読みしてみてください!

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