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秘密の花園

さて今回はバーネットの『秘密の花園』です。


前回に比べていきなり王道きたな、と思ったそこのあなた。
声を大にして言います。

王道はやっぱりいいんです!!!

この本は、多分姉が買ってもらったんだと思いますが、子どものための世界名作文学シリーズの版が家にありました。


家にあったバージョン

何歳ぐらいで読んだのかはもう覚えてないのですが、この手の物の中ではわりと早い時期に読んだと思います。表紙が主人公のメアリの絵で、その絵がとても可愛らしかったから読んだかな?

映画やアニメにもなっているので、内容に関しては皆さんご存じとは思いますが、一応あらすじを。

駐印英国軍人の娘として生まれたメアリ。インド人の乳母たちに囲まれ、何不自由ない暮らしを送っていましたが、父や母は社交に忙しく不在がちで、乳母たちはメアリを甘やかしたためすっかりわがままな娘に育ってしまいました。
両親には構われない寂しさはありながらも、不自由のない生活を送っていたメアリでしたが、インドでコレラが大流行し、両親を失ってしまいます。
そして顔も知らない血のつながらない伯父、アーチボルド・クレイヴンに引き取られることになったメアリ。
イギリス・ヨークシャーにあるムーア(荒野)に囲まれた大きな屋敷で暮らすことになるのですが、伯父も不在がちでここでもメアリは使用人としか関わりを持てません。
陰気なムーアにも馴染めなかったメアリですが、庭にやってくるコマドリと遊んだり、メイドのマーサの息子、ディコンと知り合ったりするうちに、ムーアの自然にも慣れだんだんと活発な女の子になっていきます。
そんな中メアリは屋敷の庭の中で、壁に囲まれた場所をみつけます。そこは亡き伯母が生前大切にしていた庭でしたが、彼女の死後伯父が入口を閉じてしまっていました。
そしてとうとうメアリはコマドリを追いかけていてその閉じられた庭の扉と鍵を見つけます。庭に入るとそこは荒れ果てていましたが、植えられていた植物は死んでいないことに気づいたメアリはディコンと共に庭を生き返らせようと一生懸命世話をし始めます。
同じ頃、メアリはその存在を秘密にされていたクレイブンの息子、コリンと出会います。彼は生来病弱でベッドからほとんど出たことがなく、メアリー同様両親とのつながりの薄い少年でした。生まれてすぐに母を亡くし、父であるクレイヴンは妻を失った悲しみから、息子を遠ざけて顧みなくなっていたのです。
自分には背骨の異常があり、やがて動けなくなって死ぬと信じ込んでいるコリンでしたが、メアリたちと庭で過ごすようになりとうとう奇跡が……。

といったようなお話です。

とにかく子供の好きなものがギュギュっと詰まってますよね!秘密基地、皆さんも作りませんでしたか?あのワクワク感があります。
大人に内緒の秘密の場所。自分たちで手入れして素敵な場所に変えていって。そしてそこでご飯やおやつを作って食べたり。
ディコンが即席のかまどを組んで焼いてくれるジャガイモの美味しそうなこと!
因みに秘密のお庭に憧れて、使っていない納屋の陰を花壇に開墾しようとしましたが、すぐバレた上に勝手に鎌とか持ち出してたのでえらい叱られました。アホですね。
そして何よりメアリとコリンがそれまで抱えていた孤独や悲しみが解けていくのに呼応して、美しい春に向かうムーアと庭の自然の描写が素晴らしいんです。
閉ざされた庭を見つけて再生する、というのは実はバーネットの実体験だったそうで、それでこんなに庭しごとや植物の描写がリアルなんですねぇ。
ダートムーアやヒースの咲き乱れるイギリスの風景に憧れるようになったのは、『秘密の花園』との出会いが大きいですね。
行ってみたいー!と憧れを募らせながら貧乏暇なしで行けないままこんな歳になってしましましたが。
バーネットの作品の中では1番好きなこの『秘密の花園』。『小公子』や『小公女』と違って、最初はメアリがあんまりいい子じゃないのもポイントな気がします。そんなメアリが変わっていって、活発で素敵な女の子になるっていうのがいいんですよね。
セディもセーラも人生何回目なのってぐらいいい子だから……。
メアリの方が親近感わく分愛着もあるというか。

で、冒頭の結論に戻ります(笑

やっぱり王道はいい!

海外児童文学まだまだ続きます!

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