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ルドルフとイッパイアッテナ

以前母のことを書いた記事でちらりと名前を出したこの本。子供の頃のお気に入りの一冊です。

小2か小3の時の課題図書だったと思うのですが……。記憶が曖昧です。たしか図書室ではなく学級文庫から借りた覚えが。
内容は今回はWikipediaから引用します。

うっかり長距離トラックに乗ってしまい、岐阜から東京の江戸川へ運ばれてしまった飼い猫のルドルフ。途方に暮れているところで現地の野良猫の親分に出会う。ルドルフが親分に名前を訊ねると、「おれの名前はいっぱいあってな……。」との答えが返ってきた。しかしルドルフは親分の名前が「イッパイアッテナ」であると勘違いしてしまう。そこから、ルドルフと「イッパイアッテナ」の生活が始まった。イッパイアッテナはルドルフを岐阜に帰らせる方法を模索しつつ、ルドルフに字の読み書きを教える。ルドルフは飼い猫ブッチーに出会い岐阜に帰る方法を発見するが、出発する前日にブルドッグのデビルと喧嘩してイッパイアッテナが重傷を負う。
Wikipediaより

2016に劇場アニメも公開されていたんですね。
ちなみに私が読んだのはこの『ルドルフとイッパイアッテナ』と『ルドルフともだちひとりだち』までなんですが、2000年代になってからまた続編が刊行されていたようで。気づかなかった💦

このお話はルドルフがゴミ捨て場の紙とインクを使って書いたものを、作者の斉藤洋さんが代わりにに出版したという体をとっています。
猫が書いた?児童書にしてもトンデモ設定だな、と思われることでしょう。
どうやって猫が字を読んだり書いたりするの?
そこがこの本の面白いところなんです!

いかつい見た目に反して博識なイッパイアッテナ。彼は元の飼い主がふざけ半分で教えてくれた人間の字を覚え、飼い主と別れて野良になってからも、鍵の甘い窓を見つけて小学校の図書室に入り込み、勉強していたのです。これでイッパイアッテナが人の言葉まで話し始めてしまうと完全なファンタジーになってしまいますが、人の言葉もわかるし字も読めるけれど話せはしないというのが絶妙で、ないんだけどありそう、あったら楽しいという子供心をくすぐる設定。近所の野良を見て、あいつも本当は色々わかってるんじゃないか?なんて思えるようなそんな楽しさがあります。

野良猫として生きる知恵と強さ、そして人間と渡り合えるほどの知識。イッパイアッテナは兄のように父のように幼いルドルフを守り教え導いていきます。
そしてルドルフもそれに応えてイッパイアッテナと同じように字を学び、人との付き合い方を学び、野良としてのたくましさを身につけ、イッパイアッテナと無二の友情を育んでいきます。
この二匹の友情と冒険、そしてルドルフの成長譚。子供の好きなものがギュッと詰まったお話なんです。
とにかくイッパイアッテナがすごく人格者(?人猫者?)。優しいんですが、甘やかさない。ルドルフがいずれは一人(一匹?)立ちできるようにするために、いつもいつもべったりと二匹で過ごすようなことはしません。何もかも教えたりするのではなく、考えるのに必要な知識は与えるけれど、ルドルフが自分で考えるように導いていて、イッパイアッテナは理想の先生っていう感じなんです。ルドルフが危ない時は必ず助けてくれますし。
なんだろう、渋めのオジさんキャラみたいな猫です。ツンデレ具合もいい感じで(笑)
いや、イッパイアッテナ、人間だったらけっこうなイケメンキャラですよ。時々哲学的なことも言いますし。ルドルフの幼い天真爛漫さといい対比になっていて、良いコンビなんです。

主人公の二匹以外のキャラクターもいいです。
最初ルドルフに魔女だと思われるおばあさんや、残り物をくれる給食室のおばさん。イッパイアッテナに関する逸話をルドルフに教えて、イッパイアッテナからちょっと煙たがられるものの、二匹と仲良くなるブッチー。
ブルドックのデビルは本当に嫌なやつ!と思いきや続編では……という展開もあり、楽しめるんです。

続編の『ルドルフともだちひとりだち』もすごく良くて、ルドルフが本当に成長していて、嬉しい再会や切ない別れもあり、じーんとくる展開です。


課題図書になるだけあって、知ることの大切さ、友情の素敵さなどなど子供に読んでほしい要素が沢山詰まっていますが、説教くさいところは何一つなく、ルドルフと一緒に泣いたり笑ったり怒ったりできるし、イッパイアッテナを大好きになる一冊です。
私が読んでいるのは二作だけなので、新しく出たシリーズも読みたいとおもっています。
子供の頃大好きだった二匹に再会できると思うと、それだけで楽しみだし嬉しいですね!
また読んだら感想を書きたいと思います!

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