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岩見沢日記


「そこに道があるから」
旭川まで自転車で行きたいとずっと考えていた。三連休中日。旭川は無理でも、試しに岩見沢まで行こうと決意して出発。江別以降、勾配がキツくなかなか辿り着かない。ヘロヘロになりつつ岩見沢の駅前で休憩していると、ゾクゾク集まるジョインアライブぁー。岩見沢在住の先輩の家に突撃しようと思ったが彼もジョインへ。仕方なくというか必然的に向かう場所は一つ。ブックオフ。2010年代初頭のUSインディーがゴロゴロしていて大興奮。久々に10枚も買ってしまった。そこから近所にある有名な蕎麦屋で腹ごしらえに「もつそば」どうやって炊いたらこの柔らかさになるんだ?って感じの鶏肉がたっぷり。ハツが美味え。心身共に満たされて〆に喫茶ファロへ向かう。劇団ひとりのオールナイトニッポン・太田プロ60周年特番を聴きつつ興奮しつつ、もう角を曲がれば着くというところで、サドルがバキッと外れる。一先ず避難し、自転車屋を教えてもらったので立ち漕ぎで向かい、経緯を説明するも何やらグズグズと話が見えない。最終的には「ネジ無いのでDCMで良い感じの買ってきてくれませんか?」はてなマークが広がるのを抑えつつ片道20分ほどの道を歩く。岩見沢の先輩からメールが届く。先輩「ネジ無かったら帰りに迎えに行くよ」私「神」。自転車屋がなんか癪に触ったので寄り道してTSUTAYAを覗くとカウリスマキが500円でゲットラッキー。「いやいやネジよ」と軌道修正し、それらしいモノを買って渡す。暫くして店長と胸に書かれたしゃんとした男性が申し訳なさそうに呟く。「何やら手違いでウチのものがわざわざネジを買いに行かせてしまったようで。申し訳ございませんでした。在庫の車輌からネジを抜いてサドルを直しておきましたので、お代は要りませんよ」との事。どうやらテンパったスタッフのミスらしく工賃も部品も無料でいいとの事。(わざわざ買ってきたネジは結局使えなかったようだ、Oh ディスイズ徒労)顛末を伝えにファロへ戻り、いつもの如く、あーーーでもない、こーーーでもないと私の益体もない日々について聞いて頂く。家庭菜園の様子を見せてもらったり、都々逸と和歌の違いを探ったり、いつもほっとする。ありがとうございます。帰路、気になっていたお店ポポラマーマで安くて美味しいカルボナーラを食べて、たまゆらへ。二の腕を焼きたかったので終日肩を出して過ごしていたのもあり、温泉に浸かった瞬間に腕にごりっごりサンドペーパーを掛けられたような痛みが走る。黒々とした若い父親たちも同じように小さな声で「いてて」と呟いていた。帰りに走りながら「なんで自転車に乗るのか」考えた。両手両足が使えず話す事も出来ないが、一人で最近あった事について考えを整理出来るって事が大きいのかもしれないなと思った。あとは田舎のどデカく長いひとっこひとりもいない直線。あれに出くわすとかなり痺れる。走り切らなきゃいけないスリルと溢れるアドレナリン。道端に出現する謎のゴミ。でけえ虫。見たことない花。永遠みたいな玉ねぎ畑。濁った大きな川。自分だけの景色が見たいのか?
結局はよく分からない。何事もアルピニストのあの言葉みたいになるのかもしれない。「そこに山があるから」


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