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得意分野の見つけ方、つくり方

ライターはよく「得意分野があったほうがいい」と言われます。
私も、ライター5年目の秋、大御所ライター師匠から「自分のタグを持つといいですよ」というアドバイスをいただきました。
そうですよね。目印がなければ、発注側だって、そのライターに何を頼んでいいのか分かりませんから。
「何でもやります」は「何もできません」と同じ意味......なんてことも、よく言われますし。

でもね、でもですね、当時の私は、得意分野なんてなかったし、タグを絞り込むのもイヤだったんです。だって、何でもやってみたかったんだもん。
何が向いているか分からないし、何なら楽しく書けるかも分からない。だから、何でもトライしてみたかったんです。得意分野を絞って、それしか仕事がこなくなったら、困る。そう思って、自分にタグ付けせず、「何でもやります!」なスタンスを、しばらく続けていました。

あれから5年。
見えてきました。得意/不得意、向き/不向き。そして、好き/嫌い。
今では、プロフィールに得意分野を明記しています。ちなみに、その得意分野とは、「BtoB、企業取材、カスタマーサクセス 、マーケティング、法律(一般民事)」です。

得意分野を明記してから、お仕事増えました。こちらから営業をかけなくても、ご紹介いただいたり、WebサイトやSNS経由でご連絡いただいたり。指名案件が増えたことで、単価も上がってきました。

全ての分野を受けていたときより、絞り込んだほうが多くのお仕事をいただけるようになったのです。これは、一見矛盾しているようにも感じますが、よく考えれば当たり前のことですよね。
「パスタやってます。あと、ラーメンとステーキ、オムライスも。お刺身定食だってあるんですよ」ってお店と、「キーマカレー専門店です」ってお店、どちらが魅力的かという話です。なかには「キーマカレー好きじゃないんだよなぁ」という人もいるでしょうけれど、そこを織り込んだとしても、です。

「ジャンルを絞る」ことは、魅力と安心感の演出につながります。もちろん、ジャンルを絞っているからといって必ずしも能力が高いわけではないし、何でも受けるからといって実力がないとも限りません。とはいえ、一つの目安にはなるということです。

では、これらの得意分野を、どうやって見つけるのか、つくるのか。今回は、そのあたりについて、お話ししていこうと思います。

確実な順にご紹介すると......

①前の職業

最も専門性が高いのが、このパターンです。だって元プロだもん。
ライターの世界には、新聞社や出版社、編集プロダクションにお勤めだった方とかが大勢いらして、違う業界から参入した私は、「うわっ、畑違いでごめんなさい」みたいな気持ちになっていました。でも、業界違いの職業経験というのは、思いのほか武器になるっぽいです。
私は結構なジョブホッパーで、たしか5回くらい転職しているんですが(自分でも記憶が定かじゃない)、ライターをしていると、それぞれの経験がかなり役立ちます。
たとえば、私の得意分野に「法律(一般民事)」がありますが、これは、法律事務所で5年間事務員をしていた経験が活きています。そのお陰で、司法書士さんの著書を2冊ほど、ブックライティング担当させていただきました。
ということで、社会人経験のある方は、前職の内容を得意分野としてアピールしてみてはいかがでしょうか。

②自身の経験、好きなこと

仕事以外の経験や好きなことも、得意分野に結び付きます。
スポーツ、介護、推し活、闘病、グルメ、不登校、海外旅行など。
仕事以外にも、生活していればさまざまなことを経験しますよね。あらゆる経験を仕事に活かすことができるのが、ライター業のいいところです。
また、「好きなこと」は最強カードです。「仕事だから調べる」というモチベーションの人が、「好きで好きでたまらない」人に勝てるわけがない。
どうしようもなく好きなものがある人は、ぜひ、それを得意分野の一つに加えてみてください。好きなものについて原稿書くの、めっちゃ楽しいです。ジャンルによってはあまり原稿料が高くないかもしれませんが、心の糧になりますよ。

あとこれは、①と②に共通して言えることなのですが、経験者ならではの「肌感覚」みたいな部分、結構大事です。これって、本やセミナーで学んでも、決して得ることのできない貴重なところで、これがあると、一歩踏み込んだ原稿を書くことも可能になります。

③仕事で学ぶ

これは、一番おいしいパターンです。原稿料をいただきながら、勉強できます。
自分の知らない分野での執筆を依頼されたとき、その分野に少しでも興味があったら、ぜひチャレンジしてみてください。
得意分野と謳っていないライターに依頼があるということは、「記事執筆の需要がある分野なのに、対応できるライターが足りていない」可能性が高いです。そういう意味では、狙い目ジャンルだと思います。
私の場合、BtoB、企業取材、カスタマーサクセス 、マーケティングが、これに相当します。特段の知識も経験もありませんでしたが、原稿のご依頼をいただき、事前調査で学び、取材で学び、執筆時に事実確認でまた学ぶ...ということを繰り返して、得意分野に仲間入りさせました。
取材は、専門家から直接学べるチャンスです。セミナーを受けたらウン十万円かかるような人から、マンツーマンで教えていただけるとか、ほんと、ライターじゃないとあり得ない役得です。
特に連載記事とかブックライティングの場合、ガッツリ学ぶことができます。そのようなチャンスに恵まれたら、仕事をしながら貪欲に学んで、得意分野に追加しちゃいましょう。

④自分で学ぶ

王道ですね。運に頼らず、自分でジャンルを選択できるのが魅力です。
興味のあるジャンル、これからブームが来そうなジャンル、単価の高いジャンル、需要が大きいジャンル、さまざまな視点から、狙いを定めて学んでいきましょう。
学ぶジャンルについては、「好き・興味がある」「得意・適性がある」「需要が大きい or 単価が高い」の3つの条件が重なるものがあれば、ぜひそれを! この先、食いっぱぐれずにすむと思います。


受けたい仕事のジャンルをプロフィールに書こう

得意分野は、今からでも作れます。あと、実はもうすでに持っているかもしれません(自分の知識や経験の棚卸しをしてみましょう)。
得意分野があれば、ぜひ、名刺やプロフィール、ポートフォリオに書いてください。
もちろん、「得意」と「好き」は違いますから、得意であっても好きじゃなければプロフィールに書く必要はありません。
今後、「この分野の仕事なら受けたいな」と思えるものを書いておくことが大切です。プロフィールに書いた分野の仕事、結構きますから。
なので、あんまり好きじゃないのに「このジャンルは仕事多いから」みたいな理由でプロフィールに書いておくと、その仕事ばっかり依頼されてしんどくなることがあります。

戦略的に得意分野を獲得、アピールして、いいお仕事に繋げていきたいですね。(自分に向けて言っています)


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