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表敬訪問、実現!!

いろんなニュースが溢れる中、ほとんどメディアに取り上げられることはありませんでしたが、12月5日、補助犬ユーザーとして、パートナーの聴導犬チャンプ、そして補助犬仲間たちと一緒に、岸田総理大臣を表敬訪問してきました。

実を言えば、5月20日の補助犬議連(※1)主催の補助犬法20周年記念シンポジウムの頃から、「今年は20周年の節目の年として、ぜひ総理表敬訪問をしたい!」ということで、議連の先生方にお願いをしていました。

でも、ウクライナへの軍事侵攻を始め、私たちの方が、「総理、私たちの訪問を受けてる場合じゃないんでない?」って思うほど、激動の一年となり、半ば諦めかけていたところ、ギリギリセーフで、実現!!
ほんと、ありがたいことです。

当日は、介助犬ユーザーの木村さん、聴導犬ユーザーの安藤さんが関西から、盲導犬ユーザーの山本さんと私が都内から衆議院議員議員会館に集合。シンポジウムなどで何度か入館したことがありますが、たくさんの警備員さんを見ると、やはりピリッと緊張します。

許可証を手に建物内へ。
多くの人が行き交いますが、やはり犬の姿は目立ちます。
廊下ですれ違う方も、エレベーターでご一緒した方達も、思わず「二度見」(笑)
目があった時は「ニコッ」スマイル。
いろんなところで、話題にしてくださるといいなぁ、と思いました。

控え室で、議連事務局のスタッフと打ち合わせ。
お忙しい総理からいただいたお時間は15分。
大事に使いたいね!と言いながら、、、

そして、議員会館から、お隣の総理官邸へ移動。あいにく雨が降り始めましたが、みんな傘もささず、緊張した面持ちで、行進。

表敬訪問、と言っても、単に「こんにちは!」とご挨拶に行くわけではありません。
行政府トップの総理大臣に「要請書」を渡すというのが目的なんです。

今回の要請の要点は以下の通り。
①補助犬法の社会的認知のための啓発施策をもっと!
②補助犬育成費用や医療費などへの助成制度の拡充を!
③同伴拒否に対する現実的な施策を!

残念ながら、10年前の野田総理訪問、8年前の安倍総理訪問の時と大きな違いがありません。
つまり、、月日は流れたけれど、あまり進展してないってこと。残念ですが。

野田総理表敬訪問2012.5.22
安倍総理表敬訪問 2014.5.22

補助犬法20周年ということで、今回は20年前の補助犬法成立に立ち合った当時のユーザーの会代表(いわゆる補助犬三銃士※2)と現在のユーザーの会の代表と、全5名(介助犬は新旧共に木村さん)が揃い踏みの予定でしたが、20年前からの朋友・盲導犬ユーザーの清水さんの都合がつかず、4名という形になりました。
つまり、聴導犬のみ、現代表の安藤さんが大阪から駆けつけてくれ、旧代表の私と2頭となったのです。

安藤さん&アーミーと。

なんとなく、「なんで聴導犬だけ2頭?」って感じで、イレギュラーな感じになってしまいましたが、ラブラドールばかりの中にトイプードルのチャンプがいるのも、一つの意義だったかも、、と勝手に思ってます。

官邸に入って、総理にお会いする部屋に向かう途中、よくニュースなどで総理や大臣が通ってフラッシュがパシャパシャされるところを通過。

で、私たちにもパシャパシャ!!

きっと、通る人をとりあえず撮るんだろうなって感じのフラッシュの嵐でしたが、もちろん補助犬たちは落ち着いたもので、むしろカメラ目線?ってくらい、胸を張って堂々、通過しました。

お部屋に入ってからも、人間たちの緊張とは対照的に犬たちはリラックスモード。

総理の登場を待つ補助犬とユーザー4ペア。

総理が入ってこられてもみんなノンビリ。
こんなにたくさんの報道の人たちがいたのに、、羨ましいくらい。さすがです。

議連会長の田村先生から今回の訪問の趣旨や私たちの紹介をしていただき、そのあと、4人順番に要望書の内容と思いをお話しさせていただきました。

総理に向け、一人一人思いを伝えました

要望書をお渡しし、記念撮影となった時、驚くことが!!
目の前に総理がやってきて、まさかの中腰に!
私たちがイスに座ってるのに、なんだか申し訳ない気持ちでしたが、そのまま、はい、チーズ!

議連の先生方もご一緒に。

今回、事務局の阿部知子先生がご欠席だったのはとても残念でしたが、議連の先生方のご尽力で実現した表敬訪問でした。ありがとうございました!
(個人的には補助犬法成立に大きくお力を尽くしてくださった故橋本龍太郎先生のご子息の岳先生がいらしてくださり、そのお姿に、20年前、龍太郎先生が美音が柴犬なのをご覧になって、優しい眼差しで愛犬のお話をされたことを思い出し、ウルッとしてしまいました。)

なお、今回、手話通訳を橋本一郎さんにお願いしていたので、私と安藤さんも、総理や先生方の言葉もしっかりお聞きすることができましたし、安藤さんの手話もしっかり皆さんに伝わりました。
このような政府の会談、外国人のお客さんの場合は当然つく「外国語の通訳」と同じように「手話通訳」がいるのも当たり前って、思ってもらえると嬉しいなぁと安藤さんとも話してました。
(手話が母語でない私としては、UDトークでの音声認識字幕も欲しかったという気持ちもありますが。次回があれば?リベンジ!!)

ともあれ、とうとう実現した補助犬法20周年節目の総理表敬訪問。これですぐにすべての課題が解決するということはないかもしれません。
でも、総理もしっかり聞いてくださり、「誰もが安心して暮らせる共生社会の実現のために政府として努力していきたい」と答えてくださいました。

課題があること、残っていることをまずは知っていただくこと、そして、あきらめず、働きかけていくこと。
これは政府に対してだけでなく、社会全体に対しても同じかもしれません。

今回の表敬訪問がメディアに取り上げられることはあまりありませんでしたが、官邸をはじめ、議員の先生方もSNS発信などしてくださったことで、確実な足跡となったはずです。
次の表敬訪問(があるならば)その時は「こんなに進展がありました!課題が解決しました!ありがございました!!」と、お礼を伝えることができるように、、、これからも、ちっちゃなことから大きなことまで、いろいろな活動をしていくことが必要だとあらためて感じた一日でした。

お忙しい中、お時間をいただきました岸田総理大臣、手筈を整えてくださった議連の先生方、ユーザーの調整にあたふた駆け回ってくれた補助犬情報センタースタッフ、いつも私たちの無理なお願いに笑顔で完璧サポートしてくださる手話通訳の橋本一郎さん、写真入りの大きな記事にしてくださった福祉新聞さん始め、メディアの皆様、、ありがとうございました!

※1「議連」…正式には「身体障害者補助犬を推進する議員の会」。2002年5月22日に成立した身体障害者補助犬法を議員立法として提出、全会一致での成立に導いた超党派の議員連盟。通常、議員連盟は法案が成立すると解散するにもかかわらず、初代会長の故橋本龍太郎氏のご意向で法改正や今後の課題解決のために、現在も継続されており、例年5月22日のほじょ犬の日前後に議連主催でシンポジウムを開催している
※2「補助犬三銃士」…9月に開催された「ほじょ犬フレンドリー祭りin Yokohama」にて、講談師・日向ひまわりさんによって披露されたオリジナル講談で、補助犬法成立に大きく寄与したと紹介された盲導犬ユーザー清水和行さんと介助犬ユーザー木村佳友さん、そして聴導犬ユーザーの私・松本江理の3人を「補助犬三銃士」と称した。


いただいたサポートは私の人生を支えてくれた聴導犬をはじめ、補助犬の理解啓発のための活動に生かさせていただきます。