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【介護の現場で新しい場づくり】「介護(認知症予防)×音楽×haptic」共につながり・共につくり・共に遊ぶ

対話型のワークショップ、座談会的な場づくりが好きです。50人以上の大人数もワクワクだけど、少人数(3、4人〜15、6人)もいいですね。

本当に安心できる環境で自分が大切にしている価値観や実感、お腹の底から素直にそのまま言葉を出していく時の対話は、パワフルだと実感します。

「場を信頼して。大丈夫、その場で起こりたいことが起こるから」という先人のお言葉を励みに、自分でコントロールしようとせず、「その場にお任せ」な心境で場を信頼することができた時に、人間という存在の命の可能性に直接触れるような。そんな瞬間を体験します。

こういう体験すると、日頃うまくいかない会話やコミュニケーションって一体なんだろう?と素直に不思議です。初対面だとこんな風に盛り上がれるのに、、、、的な^^。日常の対話も、きっといろんな可能性やフロンティアに溢れているのかもしれないなあと思ったり。

一昨日も(そういえば昨日も)そういう場づくり(オープンイノベーション的な場を目指した場づくり)をする機会に恵まれました。

タイトルは「介護(認知症予防)×音楽×hapticの可能性」。介護現場を支えるスタッフさんたちと、外部の介護に興味のある方々との共創な場です。hapticってなんぞや?という方はこちらをご参照ください^^。

介護スタッフは音楽療法士さん、介護福祉士さん、人事総務など事務職の皆さん含め8名、外部の方々は後述する8名の方々、私含めて総勢17名でのワークショップ的な場となりました。

貴重なお時間をいただき、ご参加いただいた皆様に心からの感謝とレスペクトを表しつつ、「学んだら実践して振り返り」という師匠の教えに忠実に、ワークショップデザイナーであり現場のファシリテーター(つーか流れに流されまくる司会進行)であった自分自身が何を体験したのか、振り返ります!

場所をお借りして開催したのはコラボ先の一つ、住宅型有料老人ホームのリュエル・シャンテールさん(以下、「リュエル」)。川崎市浜町にあります(アクセスはこちら)。在宅医療で有名な悠翔会さんのクリニックも併設の素敵な住宅型有料老人ホーム(施設区分についてはこちら参照)です。

母体の株式会社シムラさんは創業100年のエネルギー事業を母体にした会社さんですが、ベンチャースピリットを持った経営陣が、ほぼ10年前に介護事業に乗り出しました。現社長の置鮎さんも温和で偉ぶらない素敵な方です。スタッフの皆さんとの接し方や経営陣の対話の様子を見ているとこの会社さんの人間関係がフラットでいい感じに距離が近いことを感じます。

そんなシムラグループならびにリュエルのスタッフの皆さんについて理解が進むうちに、「音楽療法」や「人員配置の手厚さ」「業務を支えるスタッフさんたちの熱意の高さ」という独特な強みをお持ちであることがわかってきました。同時に、介護業界全体が抱える「採用難」「介護の面白さややりがいをうまく伝えられていない」「3Kなイメージを払拭するのが難しい」という普遍的なお悩みも見えてきました。

ワークショップ冒頭では、現場の皆さん&認知症予防事業をされているヤマモトダイスケさんに座談会風にコメントいただきながら介護業界や認知症予防の現場の方々の「実感」についてシェアいただきました。

ヤマモトさんの認知症予防事業についてはこちら

そういう生の声を聞いていて、自分の中で、「mash-upしたい!」(mash-up:混ぜて合わせ、掛け合わせ)という欲望が湧いた人がいました。単純にスタッフさんたちに会わせてみたかったんですね。

haptic designのワークショップで知り合った慶応大学の金箱さんという人です。以下のポートフォリオサイト、是非ご覧ください^^。驚きとワクワクです^^。

http://www.kanejun.com

自分の理解では金箱さんは「やんちゃなミュージシャンでイケてるアーチストで熱い研究者」な人です。ええ、お若いのに相当なマレビトです。そんな金箱さんからは以下のような「共に遊ぶ」共遊楽器の研究開発事例について実際の演奏シーンや子供達や聴覚障害をお持ちの方々が遊んでる様子を動画で紹介いただきながら、そこに至った背景や想いについてシェアいただきました(風邪でお声が出ない中、プレゼンありがとうございました!)。

とにかくワクワクです。彼の目線や姿勢、開発されたり関わってきた楽器やおもちゃについては、ワクワクしかありません。自分の気づきとしては、

・共遊楽器(共遊玩具)という概念:聴覚や視覚といった身体障害を超えて「共に遊ぶ」ことができるおもちゃ(表面にザラザラの質感がついたオセロなど

・「音を体全体で感じる」聴覚障害のあるパーカッショニストのグレニーさんの言葉

・「音が見えたら、触れたら、面白いですよね?」という問いかけ

・「自分は物を創る時に、物自体について考えない。ゴールに至るための概念や環境や体験からアプローチしていく。そこが一番大事。形にするのは作業に近い。それも実際の道具を介してディスカッションしていく」という言葉

・「道具をつくる良さは、道具自体が自分の気持ちを伝えてくれること。そしてこちらが想像もしない使い方や意味や楽しみ方を、使った人が(勝手に)考えついたり作り出してくれることなんです」という発言

・"You have your music. I have same" という言葉。みんな違って、みんないい^^。

hapticという音や視覚情報を質感や触感のある何かに変える概念の可能性や、音楽という「全身で楽しめる」総合芸術の可能性。身体性を伴う「介護」という現場における可能性について改めてワクワクしています。


そしてもう一方、インスピレーショントークをいただいたのは、数々のアワードを受賞されているチームをプロデュースしビルディングされてきたタキザワケイタさん。プロフェッショナルワークショップデザイナーです。本日は参加者側で遊びに来ていただきました(ちゃっかり話題提供お願いしちゃいました)。

タキザワさんの共創プロセスはこちらのブログに豊富にシェアされてますのでご興味ある方は熟読オススメ!

http://takizawakeita.tumblr.com

タキザワさんたちが開発されたスマートマタニティーマーク&HANDについても是非ご参照ください。素晴らしい取り組みです。

自分の気づきをメモ

・スマートマタニティーマークは、「妊婦さんに席を譲りたい、譲る気がある」という善意がある。でも疲れてて気づくのに遅れた、スマホに夢中で気づくのに遅れた、そんな「発揮されなかった人の善意」みたいなものをシェアリングしやすくするツール。と理解しました。実は「善意のシェアリングサービス」の草分けになるんじゃないか、と。妊婦さん経験のある友人たちにこの取り組みを伝えると皆すごく共感したり喜んだり自分の体験を思い出して涙ぐむ人もいる。女性にとってそれだけ特別なタイミングを「デジタルデバイスで」優しくサポートする、そんな素敵なサービスとデバイス。しかも既存で皆が持っている「スマホ」というツールとすでにある「マタニティーマーク」という概念を活用。スマホとマタニティーマークのmash-up。

・&HANDは、10日くらいで創られたと聞いて驚愕。スマートマタニティーマークのエッセンスの横展開。聴覚障害のある方が電車遅延などで「音声情報がメインの状況の変化」に混乱している時に、周囲で同じ境遇にある人が「何が起こっているか」教えてあげたり、必要なサポートを「迅速に」提供するサービス。LINEという誰もが使い始めているプラットフォームにchat botの機能やスタンプを活用して安心を届けるというこれまた「デジタルで優しい」を実現している。これも同じく「善意のシェアリングサービス」。シェアリングエコノミーの本質はそこにあると思っているので、なんか自分の中で革命的。どんどん広がっていくといいなあ。


で、ここまで介護とは別の、だけどどこか通底している「目線」を感じながら後編へ。最初はワークショップデザイン的には「以上を踏まえてアイデア創発ワーク」を想定してたんですが、なんかみんな濃密なインプットにもっと「咀嚼したい」って感じが伝わってきました。振り返りや解説をいただこうと思ったグラレコのかすみさんからも「話したい人がいるんじゃないかな」とのお言葉をいただき、場に任せて、流れに流されまくって対話の再開。出てきたのが以下。

NPOミラツクさんのワークショップで出会った愉快なお兄さん、中尾「様」こと中尾のにいさん。まだ3回くらいかし会ったことないとは思えないほど勝手に通じ合える不思議な人です。笑いで場を盛り上げてくれたその中尾さんから最初の問いが。

採用や伝え方など、いろんな課題を持ちつつ、、、その業界の裾野を広げていかないと(人気を呼ばないと)どんな業界にも未来はないと思うけど、その辺どうなんですか?と。シンプルだけど、パワフルな質問。この問いから生まれたのが上記。

自分の気づきをメモ

・介護には「しんどい部分もある」のは事実だとして、その事実をごまかしても嘘ついても仕方がない。そこを見ないように見せないようにしても片手落ち。どう伝え、それを超える魅力をどう伝えるか

・共遊ツールのすごいところは「健常者が障害者にゲームで負ける」が普通に起こるところ。東北や福島が震災で課題先進地域として、世界に先駆けてイニシアチブを取れるのと同じで、障害を持った人たちは健常者の「先輩」であるという「視座」。そこから世界を見ると何が起こるか?「要介護者」は我々の先輩。そこから介護の世界を見ると、何が起こるか?「どこから、何を、どう見るか?」

・介護現場で様々な職種が協力しあって安心安全快適を創造していくように、我々も、「介護の人と介護の外の人」が協力しあって「つながって」安心安全快適を共創できたらいいなあ。だって、誰もがいつかは要介護者になる可能性があるんだし、身近な人の介護に直面する可能性はあるのだから。

以上のグレラコ(ファシグラ)は、前日の募集にもかかわらずご参加いただき多方面に助けていただいた松本花澄さんによるものです。心からの感謝を。右脳と左脳を自在に行き来するグラレコスキル。世界を変えると感じています^^。

リュエルの玄関に咲いてた春らしいお花^^。


【対話の場、全体を通して】

終わって2日経って、あの場は「必然だった」と感じます。外部の人はそれぞれ皆すごい忙しい方々で、事前には、集まれる保証も、可能性も結構あやふやでした。でも集まれました。そもそもこういう新しい実験的な場を開催することを承認んしてくれたシムラ社の経営陣の皆様やリュエルの皆様のおかげでもあります。そういう承認が場合によっては得られないこともありえます。今後も試行錯誤と実験精神で進みたいと思います。

主体的・内発的な興味と想いと情熱(そしてワクワク)がクロスする場にしたくて、実験的に初回でもあり、ピュアな場になって欲しかったので、そうなった感じがしていて、嬉しいです。参加いただいた方々から喜んでいただけたので、2回目、3回目も可能性があるかなとも思っています。

それこそ、対話を通じて、今後の進み方を共創していけたらいいな、と思っています。お互いが求める問いの意味合いを共創していく。自分も、そんな対話を紡いでいくことに奉仕し続けたいと思います。

そして何より、自分にとってこの場づくりは「仕事」でしたが「仕事じゃない」ものでした。今後もずっとそういう仕事の仕方がしたいです。「仕事」しているのに「生きててよかったなあ」と思いました。参加してくださった皆さんの生き生きした表情や、笑顔を見ながら、途中何度か、泣きそうになりました。つい最近、命に関わる怪我をして死んでておかしくなかったのに、天才脳外科医に命を救われた友人のことを想いました。お互い、生きててよかったなあ。与えられたこの命、お互い大事に使おうね。

そして探求は続く。


「幸福とは、すべてが奇跡であるかのように生き、その過程がことごとく必然だったと思えること」 byアインシュタイン
奇跡は感謝をもたらし、必然は自己肯定感を生む。

まさにそんな体験をせていただきました。すべての方に感謝。


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