見出し画像

シェアリングエコノミーと医療・健康・介護業界 その3

前回まではこちら

その1

https://note.mu/boonbeppu/n/nad993d45846e

その2

https://note.mu/boonbeppu/n/n3c30214e4e4f


この間に、「DeNAさんのwelq問題」(以下に詳しい)に端を発して、

http://jp.techcrunch.com/2016/12/01/welq-dena/

http://jp.techcrunch.com/2016/12/01/dena-moriyashu/

リクルートさんのギャザリーでの健康関連記事の掲載一時停止など、様々な「まとめサイト」の医療・健康関連記事の作成と引用、掲載についての報道と議論が盛んです。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161205/k10010795741000.html

タイムリーです。

初回の投稿でシェアリングエコノミーの研究者・著述家であるNYUのアルンさんの言葉をシェアしましたが、まさに。

以下再掲。

---------------------------------------

1つは、法規制の問題。ソーシャルやITの力で新しいサービスを考える人がいても、その構築や普及には、政府や専門領域からの規制というハードルが高いよね。

2つ目は、「信頼・信用」の問題。病気や健康に関することだからこそ、より「信頼できる」相手に頼みたい、「信用できる」プラットフォームを使いたい。それを構築できているプレイヤーがまだ少ない、ということかもしれない。

---------------------------------------------------

自分にとっては、シェアリングエコノミーについて考えているタイミングで"welq問題"(に代表されるまとめサイトの医療健康記事の作り方と提示の仕方の問題に関する議論)が世の中で起きているのは、このテーマを考える上でとてもシンクロしておりますのでそこも含めて「その次の形」を考えたいと思います。

(これは岡山の昨年の紅葉@岡山後楽園)


前回第2回は、定義について考えました。今回のお題は以下;

・シェアリングエコノミーにおける医療健康介護に関連する既存事業はあるか?

行ってみましょう。

(この季節、紅葉も落ち葉も美しいですが、色的に寂しいんで。我が家のゴムちゃんこと、フィカス・アルテシーマの新芽さん)


冒頭のアルンさんの著書には、たくさんのシェアリングエコノミー事業が紹介されていますが、明確に「医療・健康」に特化したものは特に前半では記述が見あたりません。親和性が高いと感じるのは、サービスに関するもの − 

ピア・ラーニングのトレードスクール:「プラットフォーム上で「教師」が知識とスキルを提供し、見返りに他人の知識、スキル、品物を受け取るが、金銭のやり取りはない」

創業者のウーラードさんの元々の発想は「芸術家の創造物を従来の金銭で評価するのは適当でない」とのことらしいです。これは、単なる市場原理では適正な普及・活用がなされないという考えからのようです。

つまり、

「需給関係に基づく価格決定では芸術家への適性な金銭配分がされず、結果として、保育や教育などの基礎的サービスを得るには金銭に代わる交換形態が不可欠となる」

とのこと。

→うーん、医療健康介護に関する情報価値にも似たような側面があるように思います。業界になんとなく残る、医療専門家側のマインド(「儲けることは罪悪」?)の要素はここではさておき。

同様に上記のトレードスクールとNYUのPhDコースに通うフランシスさんが作った「共同子守アプリ」のタイムズフリーも「トークン」によって「子守り負担」をシェアしあっています。誰か他の人のお子さんを子守りをすれば、トークンが発行され、子守りを頼めばトークンで支払う、という方式。

いいすね。これ。今や「親を叱る」><;ほどしっかりした我が家の小学生の息子たちが、手のかかる3歳くらいまでの小さい頃欲しかった^^;@日本。


以降も、贈与経済と市場性のグラデーションで様々なサービスが語られますが、「明確に医療健康介護に関連した事例」は残念ながらわかりやすくは出てきません。先日のシェアリングサミットでも同様だったので、まだ無いんでしょうか。。。

オランダの以下は介護のマンパワーを借りる、という風にも使われているとスピーカーのHarmen van Sprangさん(SHARE NL)も言ってました。

シェアリングエコノミーサービスのグラデーションの豊富さについての、一旦のまとめとして以下の記述がわかりやすいです。

「このように、シェアリングエコノミーサービスは業界、サービス、ビジネスモデルが多様だが、それだけではなく市場性と贈与性のミックスも様々である。利他主義者と資本主義者のどちらかが独占しているわけではないのだ。(中略)シェアリングエコノミーは、政治的に中立ではないものの、資本主義と社会主義の中間という興味深い新たな経済モデルを生み出している。この経済モデルは、経済と政治という両極にいる人々の要求とニーズを満たすのに適しているように思われる。さらに重要なのは、経済と政治のどちらの極にも与しない人々の要求とニーズをも満たせることだ。」

なんか、医療業界的に言うと、◯師会さんとか、各種専門◯会さんとか、縦割りになりがちな業界構造の主義・立場の違いを乗り越えて(気にせずに)「便利だから、気持ちいいから、得たいものが得られるから、エコだから(サステーナブルだから)」使われ、普及していくような、、、

中立で、利害対立の構造にある人たちにも双方に関係なくパラダイス的なプラットフォームが「あり得る」かのように感じてしまいます^^。既得権益を巡るプロセスから抜け出して成立するサービスがあるなら、それは「信頼できるタイムリーな医療健康情報」が欲しい一市民としては使いたいですよね。

ポジティブです。はい。


医療健康介護領域のストライクで目立ったシェアイリングエコノミーサービスはまだ無さそう、と書きましたが、、、部分的にはこの業界にも有用なものは、いろいろありそうですね。

ミートアップというサービスも紹介されています。これは「理想追求型」のコミュニティー支援サイトで、日本でも普及し始めているようです。

「健康&福祉」カテゴリがありました。

でもこれ、フェイスブックですでにリアルに集まる人たちのコミュニティーなど昔からありますよね。

つまり、従来の医療健康介護福祉の領域で営まれてきた専門家や行政の皆さんの営々とした活動・尽力がベースにあるので、その上に、インターネットの力、デバイスの力、IoTの力でどんな新しいツール・プラットフォームが出来上がるか、というあたりが気になるところです。

別の章では表組みで以下が紹介されていました。詳細説明なしなので、自分なりに調べて備忘録つけておきます。

pager:医療版Uberみたいな感じですね。

heal:上記pager同様、オンデマンド医師予約サービス

以上2つpagerとhealは以下ページに解説ありますね^^。勉強になります。

https://career.goodfind.jp/insight/lifestyle/1454/


care com:caregiverを探せるサイトみたいですね。イケダハヤトさんのブログに詳しいです。http://www.ikedahayato.com/index.php/archives/13550

cohealo:医療機器のシェアリング&配送サービス。以下に詳しいです。

http://social-design-net.com/archives/15817


なんだ、海外にはいろいろあるじゃないか^^。


(福山時代の落ち葉:昨年のですね)

一見、ストライクで目立ったものが無さそうに感じられた「医療健康介護系のシェアリングエコノミーサービス」ですが、国内はさておき、海外には特に米国に結構ありそうですね。困ってる&満たされてないニーズが日本より大きい&深刻なんだろうなと推測します。日本ほど医療保険の充実もしていないですしね。。。困ってるからこそ生まれる新しいアイデアとサービス。


さて、welq問題、「問題」と書いてますが、上述した観点で言うと「困ってる人」は果たして誰なんでしょうか?イノベーションを必要とするような、利害対立を超えてタイムリーでピュアな情報を求めている&(既存の医療福祉介護インフラでは満たされないニーズを抱えている)本当に困ってる人、本当に足りてない情報、解決すべき非効率や、見過ごすともったいない「余ってる資産」は、日本の医療・健康・介護の世界ではどこに、どのようなものがあるのでしょうか?

この辺の問いから始めるのが良さそうです。

次回は、自分なりの問いから自分なりの仮説と事業案(の種)をいろいろ考えてみたいと思います^^。楽しくなってきました。


本日、明日と以下のHealth2.0に参加させて頂くので、関連領域の予習としてすごく良い学習ができました。会場でも勉強します。

https://www.health2conjapan.com/program.html

(これも福山の田園風景。美しい瀬戸内の住み良い土地です^^)

この記事が参加している募集

コンテンツ会議

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?